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メモリージャッチメント  作者: 紅き鋼
9/10

その名は…………

彼女が泣きながらオレにしがみついてどれぐらい時間が経っただろうか?オレが彼女から離れようとすると女性とは思えない力で思いっきり抱きしめてきた。本当に何がなんだか分からなくなっていた。


すると奥の部屋の扉が開いて誰かがこっちへ向かって来た。

「シャーロット、そんなに抱きしめたら椿が潰れてしまうでぇ。程々にしときやぁ」

この聴いた事のある関西弁、オレは確かめる様にその声が聞こえる方へと視線を向けるとそこには、マイさんが呆れた顔をしながらこちらへ向かってきた。


オレはしがみついてる女性を引き摺る様にマイさんへと近づき、「マイさん!オレ…………」

「椿、あんたがここへ来たってことは覚悟は決まったちゅうことやな?」

マイさんが真剣な眼差しでそう言うとオレはそれに答えるように強く頷いた。



すると先ほどから気になっていた女性が起き上がってきた。

「ワタシつい嬉しくてパニックになっていました。でも、またツバキに会えるとは思ってもいなかったので、これは何かのサプライズ!デスか?」

オレは何が何だか訳がわからない顔をしているとマイさんが苦笑いしながら「あぁ〜〜椿はこの子とは初対面やったなぁ〜先に自己紹介するな。」

「この子はシャーロット訳あってウチが預かってるねん。仲良くしたってなぁ」


「マイ!!仲良くするじゃない!!ツバキとワタシは昔から仲良しデスヨ!!」

そう言うとシャーロットはまた抱きついてきた。

「ちょっと待てよ!!」オレは抱きついて来たシャーロットを突き放し、「オレは、え〜〜っとシャーロットさんでしたっけ?貴方と会うのは初めてなんだぜ、何で貴方はオレの事を知っているんですか?」


するとシャーロットは頬を風船の様に膨らませながら「ツバキ!!ナニ言ってるんデスカ?ワタシの事忘れてしまったのデスカ?昔みたいにシャロと呼んでください」

「ワタシは今までツバキの事忘れた事ないデスよ!!ワタシ、デスよ!!シャロ、デス!!ワタシのこと忘れましたか?」


オレは少ない記憶の中で必死に思い出してみたがやはり思い出せない………………


「ごめん、やっぱり思い出せない」


それを聞いて歯を食い縛る様な顔をするシャーロットの目から先ほどとは違う悲しい涙が溢れ、次第にそれは目からポツポツと流れ出したとたん、「もういいデス!!ツバキなんて大嫌いデス!!」


そう言うとマイさんが出てきた部屋へと走って行ってしまった。

「まあ、そうなるとは思ってたわ、ちゃんと説明してなかったウチが悪いわ」

「もう話してもええかも知らんな、あんたも覚悟してここへ来たことやし」

マイさんがそうオレに言うと白衣の両ポケットへ手を入れて深いため息を一回すると、「あの子はシャーロットやけどシャーロットじゃないんよ。」


オレはマイさんの言っている意味が分からなかった………………………

「じゃあ、あの人シャーロットじゃなかったら一体何者なんですか」

オレの質問に対してマイさんが少し考え込む様にこう答えた。


「中身は間違いなくシャーロットやでぇ、それはあくまで中身はや。」


少しの沈黙が続き、マイさんがその口から衝撃の一言が出た。



「シャーロットは自分の記憶だけをその体に入れた………………アンドロイドなんや」

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