旅の始まり
初めまして、作者の「紅き鋼」です。今回が初めての作品でワクワクしながら書きました。
私がなぜ小説を書こうと思ったかというと、アニメが大好きで作品の最終回を見終えた時に考える事があります。 新しい作品でこんなアニメがあるといいなぁ~と自分の中で思っていました。そして、だったら自分が楽しめる話を作ってみてはどうだろうか?と思い今にいたります。まだまだ未熟なうえ誤字脱字があると思いますが読んでくれます皆さんとワクワクできる作品にしていきたいと思います。では記念すべき第1話の始まりです。
「お願い・・・・・・」
「兄貴を助けて・・・・・・・・」
こんなはずじゃなかった。
時間なんて止まってしまえばいい。
普段は涙なんて無縁なオレだけど・・・・・考えれば考えるほど目から何かが溢れてくる。
「誰でもいい・・・・助けてくれ・・・・・オレはどうすれば」
病院の待合室で無意識に発していた時・・・・・・・・
そう・・・・あの時からオレの旅は始まった。
オレ、時野 椿年は18歳、高校3年になったばかり、髪は黒のショート、普段はジャージにデニムのハーフパンツ、見た目からよく男に間違えられる「オレは女だ‼」。もう気になっていると思うけど、口調は男ぽい。オレは気にしていない。
3年前に交通事故で意識を失い大きな手術をしたらしく、それから前の記憶がなぜか思い出せない。気がついた時には右肘に傷があり退院後オレの高校生活の始まりだった。
通学でもスカートに赤色の長袖ジャージというなんとも今どきの女子高校生とはかけ離れた服装で、生活指導の先生にも指摘を受ける事がよくあるが、いつも「腕のキズがコンプレックスで隠したいので仕方なく……」というお決まりのセリフでやり過ごしている。年頃の女子が言えば凄く説得力があり正直チョロイ。
何故そこまでジャージにこだわりがあるかはオレにもよくわからない。
記憶がないのは校内でも有名で、よく見覚えのない生徒が興味深々で話しかけてくるが正直ウザいと思っている。記憶が無くなくなる前のオレはそこそこ優等生だったらしく勉強、身体能力では困ることはなく高校生活をおくることができていた。
無くなった記憶はいわば「思い出。」
どこに誰と行ったかとか、昔は何をしていたのかわからなく、日常生活をする上で困る事はなかった。
そんなオレを気遣い、いつも心配してくれて面倒をみてくれていたのが兄貴だった。
兄貴は勉強もスポーツも出来るほうではなく、普通の大学生だった。でも、優しさに関しては誰よりもすぐれていた。毎日「朝ご飯はちゃんと食べたか?」「遊びに行く?何処に誰と会うの?」「今日休みなら一緒に映画にでも行かない?」
「あぁ~もう兄貴ウザい!オレのことは少しほっといてくれ」
毎日顔を合わせる度にいちいち話かけてくる。
その時オレは、ウザイ、このシスコン野朗!とか思っていた。
こんな状況になるまで気がつかなかった、俺の中では兄貴だけが頼れて、何でも相談ができて心の中では大好きな存在だった。
だが、こんな感情を表に出すことなんてないと思っていたが・・・この時ばかりは神という存在がいるとするのなら助けてほしい・・・・・・・そう思った。
時は2018年8月、兄は朝から大学へ行っていてその帰りに倒れたらしく兄貴が通院している南海病院から連絡があり、俺は高校が夏休みで家に居たからすぐに連絡が取れた。
連絡があった時は「軽い熱中症なので一様ご家族の方が迎えに来ていただいてよろしいですか?」と病院から連絡があった。
オレは疑いもなく病院へ足を運んだ。
「いつも人の心配しているくせに自分が倒れるとか、どんだけかっこ悪いんだよ。会ったら説教してやる」
そう、この時はただの熱中症だと思っていたからとくに心配していなかった。
兄貴は月に何回か病院に通っていて特に病気があったわけでもないのだがいつも「体が悪くなる前に見てもらわないとね」と言い通院していた。今回運ばれた病院も行きつけの病院だったからとくに心配することはなかった。
そう感じているうちに南海病院の前にオレは立っていた。