始めに
この小説は、小鳩子鈴さまの活動報告から生まれたポエムが元です。
もともとはたこす様が「歯が浮くほど甘いポエム」を私が書いたレビューのお礼に書いて下さったのが切っ掛けで、小鳩子鈴さまの活動報告が大いに盛り上がり、私も便乗させて頂きました。
まずは実際に、小鳩子鈴さまが活動報告であげられたポエムから
「おはよう、が言えなくて」
蝉の声を浴びながら着いた昇降口で
いきなり会えるなんて思わなかった
靴を履き替える後ろ姿で分かってしまうなんて
自分で思っているよりよっぽど
こっちを見て
私に気付いて
後ろからかけられた声に
振り返る彼の視界から
慌てて逃れて隠れる靴箱
汗でつぶれた前髪が
火照った頬が
意気地のない私を引き止める
クラスメイトと小突き合いながら遠ざかる
日差しの外から薄暗い廊下へ
少し伸びた背の白いシャツだけが眩しく見えた
これを受けての私ポエム
「素直になれなくて」
ふう、と息を吐いて
私は親友の肩を叩く
靴箱に隠れ熱い視線を注いでいた親友は
ひゃあ、とかわいい声を上げた
おはようと声をかける私に
はにかんだ笑みでおはようと答える
ああ、かわいいな、こんちくしょう
バレー部主将、タッパはお察しの私は
そんな私の肩ほどしかない親友の頭を
くしゃくしゃと撫でる
控えめな抗議の声を無視して
私は廊下をみやった
遠ざかる憎い背中に
ふんと鼻息を吹いてやる
この子の隣はまだ私の位置だ
奪うんなら覚悟しとけよ
小さくてかわいい親友
男勝りでがさつな私
幼馴染みの腐れ縁なアイツへ
悪態をついて胸の疼きを誤魔化す
窓の外からはうるさいほどの蝉の声
あんたたちみたいに素直な求愛が
人間も出来ればいいのにね
他にもたくさんの素敵なポエム、短文が集まっておりましたが、この短編小説に使ったのはこの2つです。
さあ、このポエムから想像を膨らませて書いた小説へようこそ!
甘酸っぱいスクールラブをお楽しみ頂ければ幸いです。
※次の投稿は本日の20時ごろ、後は毎日20時ごろ更新、「始めに」を入れて全5話です。