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隣国へ(1)

 そういえば地上に出るまでの行程で新たな暴食之化身ベルゼブブの能力が解放された。

 能力3:ストレージ…荷物や武器などを無限に亜空間内にしまって置く事が出来る。要らなくなったものはこの中に捨てることが出来る。魔物の死体を入れれば自動解体することが出来る。


 しまうときは起動してから入れたいものを放り込めばいい。取り出すときも起動してから取り出したいものを取ればいい。自動解体は魔物の使える素材や魔石などの必要な部分だけを残してあとは廃棄することが出来る、というものだ。とても便利である。現在魔物から奪った武器やら魔石やらが数本入っている。魔石というのは魔物の心臓部付近にある魔力を含んだ石のことだ。加工してから日常に使う道具の部品として扱う物らしい。売れば金になる。基礎教養でやった。今までは剥ぎ取り用のナイフがなかったから蒸ししていたが勿体なかったな。ミノタウロスのがあればかなりの金になったかもしれないのに。



 さて、出口を見つけて地上に出たことだし、拠点を探しますかね。とはいえこの国の場所を拠点にしていたら王国の奴らや勇者達と鉢合わせてしまうかもしれない。そうなると実に面倒だ。死んだと思われたいたはずの人間が生きていたら騒ぎが大きくなり、復讐の計画が頓挫するかもしれない。となると隣の国に行くしかない。幸い、この場所は王城から離れているためすぐに見つかることはないと思われる。


(道分かんねえんだよな……)


 そう。隣国へ行くと言っても道が分からない。それに血だらけの服で歩いていたら危険人物扱いされて職質されかねない。この世界に職質とかあるのかは知らんが。それに武器も魔物が落とした品質の悪い剣だけでは心許ない。


(城下町に行くか…)


 ここで文哉が考えたのは城下町作戦だった。

 基本的に王城にいる勇者達とは会いにくいだろうし、騎士には見つかるかもしれないが、騎士は俺の顔を覚えてないと思うから誤魔化せるだろう。幸い、城下町への道は分かる。ついでに親切な人に聞いて隣国への道を教えてもらおう。


 ー歩くこと30分ー


(ここがこの国の城下町か。そういやこの国の名前って何ていうんだ?まあもうすぐ出ていくから知らなくていいけど。)


 商売をするもので賑わっており活気がある。道行く人を見てみると、人間だけに限らず、猫耳や犬耳を生やした亜人、鱗のようなものをまとっている者(リザードマンって言うんだっけか)、羽を生やした者、尻尾がある者など様々だ。中には蜥蜴のような生物が馬車らしき物を引いている。


(まずはこの服を何とかしなきゃな……)


 現在、血まみれの服で城下町を歩いているのだ。皆が俺に視線を向けて通り過ぎていく。居心地が悪い。


 適当な服屋に入り魔石を通貨代わりに使い、服を何着か買う。試着室に入り、買ったばかりの服に着替え、前の服はストレージ内に捨てる。残りの服はしまっておこう。


(次は武器屋だな)



 武器屋の看板らしきものを掲げた店に入る。案の定武器屋だった。


「いらっしゃい!おっ、あんちゃん。何を買いに来たんだい?」


 ガタイのいい店主が軽い感じで接客する。


「とりあえず軽くて扱いやすい剣をお願いします。予算はこのくらいです。」


 そう言って魔石をストレージからカウンターの上にジャラジャラ出す。


「魔石でのお支払いか。ってこんなに!?どうしたんだよこの量!?」


「普通にダンジョン行って魔物倒してました。」


「あぁ?それだけでこんないったのか。まあいいや。それならこれとかどうだ?」


 店主がそう言って店の奥から剣を持ってくる。


「これはミスリルで作られた魔力伝導性のいい剣だ。少し値は張るといえ切れ味がいいし何より扱いやすい。使用者が魔力を剣に通すことで切れ味が増す。さらに刀身まで少し伸びるんだ。おまけに敵を斬ったときの血を弾くから切れ味が落ちないぞ。注意点は魔力が少ないとほとんど意味がないということだか……」


 店主がその剣のポイントをアピールする。


 ふむ…魔力の量は多分多いだろう(魔力増強【大】ってスキルあったし。)説明を聞いた感じ便利そうな剣だ。


「中々いいですね。それ買います。いくらですか?」


「魔石だとこのくらい貰えりゃ十分だ。」


 そう言ってカウンターの上から魔石を取っていく店主。魔石の大きさや品質によって値段が変わるというのはあるだろうが量でいえば半分くらい取っていった。


「それとこの辺で評判のいいオススメの宿を教えてくれませんか?」


「それなら月雲亭ってところがオススメだぜ。ちょっと待ってな。地図を書いてやるから。」


 そこは飯がうまいところらしい。

 店主が地図を書き終わって俺に渡してくる。



「毎度ありー!これからもご贔屓にな。」



 ーこうして店主と別れを告げたー


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 店主に言われた宿屋に行ってみる。見つけた。

 ドアを開けて入る。


「いらっしゃい。何泊の予定だい?朝と夜は食事付きだよ。」


 恰幅のいい女将さんがそう言う。


「1泊で。支払いは魔石でお願いします。」


「毎度あり。では部屋に案内するからね。」


 借りた部屋はベッドや灯り、トイレといったシンプルな設備だったが結構質がいい。何より驚きなのはシャワーと風呂がついているのだ。トイレやシャワーに関しては昔に召喚された勇者が魔石を加工して、温水を定期的に供給出来るようにしているから成立しているらしい。すげえな、昔の勇者。


 着替えたとはいえ血を浴びて気持ち悪いからとりあえず風呂に入る。体を拭いて着替えたら部屋の戸をノックされた。


「ご飯だから食堂に来なー」


 お、飯が食えるのか。では行きますか。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 飯が俺の前に並べられる。って米があるじゃねーか!異世界にも米ってあったのか!大方昔の勇者が植物の改良を行って故郷の味を〜とかそんなことだろうが。他の料理は肉のステーキ、植物のサラダなどだ。何の肉で何の植物かはよくわからん。


 勇気を持って肉に齧り付く。う、うまい。噛んだ瞬間に溢れ出る旨味の詰まったエキス。歯ごたえがあり、それに絶妙にマッチする感じにテイストされたタレ。確かに店主の言ったとおりだな。


 その勢いで飯は完食した。


(ふぅ〜… うまかった。ごちそうさんと。)


 そして部屋に戻り寝る準備をする。明日はこの国を出て隣の国に行かなきゃな。睡魔はすぐに襲ってきた。

 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 朝。女将さんがドアをノックして朝食の時間を報せに来る。

 朝食もうまかった。女将さんに隣国の場所を聞き、行き方を教えてもらう。その国の名前はアルノアというらしい。それを聞いてから宿を引き払った。





いざ、アルノアに参らん!

次回でアルノアに到着します。タイトルは「隣国へ(2)」です。お楽しみに。

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