はじめてのまほう
さて、どうしたものか。スキルのおかげで強くなれると言ってもまともに使えそうな攻撃スキルを取得していない。憤怒之炎を使うにしろ怒りの感情がないと使えない。あいつらに対する怒りが消えることはないだろうが今は落ち着いている。斧術に関してもミノタウロスが持っていた斧は大きすぎて持てそうにない。これでは魔物が襲ってきても殺すことができない。再生があるからこちらが死ぬことはよほどのことがない限りないだろうが。
(いちかばちか、試してみるか)
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迷宮を彷徨い、行きのときに何回か出てきたゴブリンを探す。ゴブリンは剣を持っていた。ということは俺の予想が正しければ剣術スキルを持っているはずだ。ゴブリンくらいなら素手でも剣を奪うことくらいは出来るかも知れない。その剣でゴブリンを殺せばいい。剣術スキルと武器を調達できる。もし失敗しても死ぬことはないだろう。
(いた…!)
とりあえず鑑定。
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ゴブリンソルジャー
種族:ゴブリン
スキル:剣術Lv1
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こっそりと後ろから近づいてゴブリンの首を絞める。筋力増強スキルのおかげかゴブリンの首からミシミシっと骨の軋む音が聞こえる。そのままもっと力を入れて、
バキボキバキッ!グシャッ!
首をへし折った。声もあげずにゴブリンは絶命した。
(それにしても臭えな…)
死体となったゴブリンから鼻を刺すような刺激臭がする。教養の授業でやった通り、ゴブリンは不潔なのだろう。
手に持っていた剣を奪い、スキルを確認する。
(ちゃんと剣術Lv1を獲得しているな。)
ちなみにレベルと言うのはそのスキルの熟練度のことでレベルが上がるごとにスキルが強化されるらしい。レベルのあるスキルとないスキルがある。レベルは10まであって、
1〜2…初心者
3〜4…中級者
5〜6…上級者
7〜8…達人
9〜10…剣聖、英雄など
となっている。鑑定でスキルレベルについて見ようとしたらそう出て来た。
ついでにゴブリンが持っていた剣も鑑定する。
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銅の剣(悪質)……銅で作られた粗悪な剣。切れ味には期待できない。
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(さて、武器の調達も終わりましたし行きますか)
出口を探しつつ歩きながら次々に出てくる魔物を剣で切り殺す。返り血を浴びて気持ち悪いが我慢する。途中何匹か珍しい魔物を見かけた。ソイツらを殺したからスキルが手に入っているだろう。ステータスを確認する。
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名前:神崎文哉
種族:人
年齢:17歳
スキル:憤怒之化身 暴食之化身
斧術Lv1 威圧 再生 筋力増強【大】 剣術L3 火魔法Lv1 風魔法Lv1 水魔法Lv1 地魔法Lv1 魔力増強【大】
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何と魔法スキルを覚えていた!剣術レベルが上がっているのは、剣術スキル持ちの魔物を何匹も殺したから熟練度が蓄積されていったのだろう。剣を使って戦ったのもあるかもしれない。
ちなみにこの世界の魔法の属性は、
基礎属性魔法…火属性、風属性、水属性、地属性の魔法
特殊属性魔法…氷属性、雷属性、光属性、闇属性、毒属性の魔法
固有魔法…その個人のみで使うことのできる特殊な魔法。様々な種類がある。
回復の魔法は光属性、水属性の一部の魔法と治癒魔法という回復専門の魔法がある。
この内容も基礎教養でやった。つまり俺は基礎属性魔法を全て獲得したようだ。
(それにしてもスキルが増えてきて見にくいな…スキルを種類ごとにまとめたり出来んもんか…それと年齢とか表示しなくていいんだけど)
あ、出来た。
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名前:神崎文哉
スキル:憤怒之化身 暴食之化身 基礎属性魔法Lv1 筋力・魔力増強【大】 再生 威圧 斧術Lv1 剣術Lv3
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折角覚えたのだから魔法を使ってみよう。まずは適当な魔物を見つける。よし見つけた。
(確かイメージだよな。イメージ。)
火の玉が敵に飛んでいくのを想像し、
「ファイアーボール!」
火の玉が敵を直撃。魔物は焼け焦げ絶命。
今度は槍のようにしてみよう。
「ファイアースピアー!」
燃え盛る槍が魔物の脳天を貫く。
(ウォッホ♪魔法って楽しい!)
この調子で各属性の魔法を色々な形状に変化させ魔物に打って遊んでいた
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(さて…そろそろここを出るとしますかね)
魔法が楽しすぎて遊びすぎた。ほんとにここを出たくなってきた。
ー迷宮をあっちへこっちへ彷徨い続け階段を見つけては上がり、ついに地上に辿り着いたー