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決意

 

 ー翌日ー


 迷宮についての説明があった。迷宮は突然発生するもので、内部では魔物が湧くらしい。

 魔力が急激に1箇所に集まることによって迷宮核ダンジョンコアなるものが形成され、それを好む魔物が大量に湧いてくるという理屈だそうだ。

 迷宮というのは階層があり、下に行くほど危険度も増すそうだが今から行くところは初心者用の迷宮で、危険は特にないらしい。



「それではこれから迷宮に向かう!はぐれないように!」



 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 王城を出発して30分ほど歩いただろうか。迷宮の入り口と思われる穴の前に着いた。


「ここが迷宮の入り口だ!

 訓練したお前らならここに出てくる魔物など余裕で倒せるはずだ。だか万が一ということもあるかもしれん。そのときは我々騎士団が護衛に入ろう!」


 なら一応は安心だな。俺は後ろからついてくだけだが。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 ー迷宮内ー


「キシャァァァッ!」


 狼型の魔物が雄叫びを上げて突進してくる。


「喰らえ!森羅万象斬!」

「ライトニングスパーク!」


 それを剣や魔法で次々と倒していく生徒達。


 中には生き物を殺すことに抵抗のあるやつもいるようだが。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 何の問題もなく最下層に辿り着いた。皆無事で良かったな。


「では計画通り行くぞ!かかれ!」


 ふいに騎士団長がそんなことを言った。何の計画だ?



 ー一瞬の間に俺は騎士団と生徒達に包囲されていたー


 これは何の冗談だ?

 騎士団長がこんなことを告げる。


「貴様はスキルを持たない役立たずだからここで始末してやる!これ以上王城に住まわせてもタダ飯を食っているだけであろう!」


「な、何言ってんだ!?俺は別に悪いことをしていない!」


 俺は激昂する。


「存在していることが罪なのだよ」

「俺達は王から命令されたんだ。お前を殺せば金やら褒美をやるってな。」



 この前絡んできた不良達が卑しい笑みを浮かべながらそう言う。


 コイツらグルだったのか…!もしかすると迷宮に行くってのも……!俺を嵌めるために……!


「で・は ここで死んでもらうとするかっ!!!

 風刃ソニックウェーブ!」


 不良のリーダーが剣を振り上げ俺に向かって風の刃を放出する。スキルによって強化されたそれを運動神経の悪い俺が避けきれるはずもなく、


 ー俺は吹っ飛ばされたー


 不良達の姿がどんどん遠くなっていく。最下層の端から端まで飛ばされたんじゃないだろうか。いつの間にか不良達の姿は見えなくなり、


「ぐふぅっ!」


 背中を壁に打ち付けた。意識が飛びかける。

 ゴボォと口から血泡を吐く。多分今ので骨が何本か折れた。

 風刃ソニックウェーブの影響を受けた腹からは裂傷が走っている。


 出血による痛みで無くなりかけの意識を何とか繋ぎ止め、


「こんなことしやがって!許さねぇ!」


 何とか立ち上がる。ここにいては魔物に襲われるかも知れない。


「とりあえず出口を探すか」


 魔物が襲ってきた場合戦う力の持たない俺はほぼ確実に死ぬ。今は死にかけの状況だし尚更。



 ー迷宮を彷徨い続けること数十分ー


「地図もねえから出口もわかんねぇ……どうしろってんだよ…」


 と呟いて道を進む。また行き止まり。

 しかし、行き止まりのところの壁に違和感がある。

 他の所と色が違うのだ。ふいに触れてみる。


 ーガラガラガラッー


 音を立てて壁が崩れ落ちる。


(隠しルートってやつか。もしかしたら出口が見つかるかもしれないな。)


 崩れた壁を先に進む。


 そこは祭壇のような場所だった。得体の知れない器具やら何やらが放ったらかしにされているが、錆びている物や朽ちている物がほとんどで元が何だったのか分からない。。


 昔何かの儀式が行われていたのだろうか。と思った矢先、


「ブモオオオォォォォォォォっッ!!」


 大地が割れ、牛の姿をした巨大な斧を持った怪物が現れた。


(な、何だあれ!?絶対やばいやつじゃねえか。)


 逃げなければ。そう思ったが傷のせいで素早くは動けない。怪物はこちらを見つけると斧を振り上げて無造作に振り下ろす。



 ドゴガァァァァァーンンンっ!!


 それだけで大地が砕ける。震動が伝わって俺を地べたに叩きつける。


「むぐぅ!」


「ブモオオオォォォォォォォン!!!!」

 怪物は再び咆哮すると俺の目の前に立ち、斧を振り下ろそうとする。


 ーああ、こんなところで死ぬのかー


 思えば異世界に召喚されてからロクなことがなかった。スキルを貰えず、無能の烙印を押され、クラスメイトに裏切られ、迷宮を彷徨う羽目に。挙句の果てにはこの始末。


「ホンっと最悪だぜ」


 迫りくる斧を眺めながらそんなことを思う。

 せめて異世界くらいでは幸せに生きたかったな。


 それで、いいのか?

 と自問自答をする。いいわけがない。いいはずがない。


 ー時間が停止する。ー


 そんな運命で終わってもいいのか?この俺は。いいや良くない。俺はまだ、生きたいっ!


 元々を辿れば王国が悪いんだ!こんな優しくない世界に召喚しやがって!ふざけるなよ!

 アイツもアイツでそうだ!よく同じクラスの奴を殺そうとしたな!許さない!許さない!許さない!


 ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさないゆるさ………


 ースキル 《憤怒之化身サタン》 を獲得しましたー


 無機質な音声が聞こえる。だが怒りに支配された感情ではそのことを理解しない。


 ー停滞していた時間が戻るー


「俺はまだ生きる!生きてアイツらに報いてやる!だから……!こんなところで終わるわけに行かないんだーっっ!!!!!」


 そう叫んだ瞬間、自分の前から広範囲にわたって炎が噴き出す。


「ブモォッ!?」


 その炎は怪物に乗り移り、その肉体を焼き焦がしていく。


「ブモォォッ!?ブモッ!ブモォォォッ!」


 のたうつ怪物。数分が経ち


 ーやがて絶命したー


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「何だ今の炎は?その前に何か声が聞こえた気がしたけど……」


もしやと思いつつステータスを確認する。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

名前:神崎文哉

種族:人

年齢:17歳

スキル:《憤怒之化身サタン


ー《憤怒之化身サタン》ー

能力1:使用者の怒りの感情に比例して技の効果や威力が増す(常時発動)

能力2:憤怒之炎ヘルファイア…自分を中心に広範囲に炎を放出させる。魔力のかわりに使用者の怒りを力に変換して使うことが出来る。

能力3:条件を満たしていないため未解放です

能力4:条件を満たしていないため未解放です

能力5:条件を満たしていないため未解放です


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


やっぱり得体の知れないスキルが追加されていた。

それにしても憤怒之化身サタンって………

カッコイイな。厨ニ心をくすぐるぜ!


「それはさておき」


ー俺は決意した。俺を裏切ったあいつらに復讐する!ー






やっとチュートリアルが終わりましたwここからが本編です。

ブクマありがとうございます。

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