銀髪の剣士
正直、直前に話していた内容でラルフ様――というか、平原先生の女運がとてつもなく悪く、女性に求める内面のハードルが恐ろしく低くなっているとわかったので、女神と言われても自分でもびっくりするほどにときめかない。
むしろ、彼にしては珍しく興奮を隠さない様子の方が気になる。…まあ、十中八九、アンダーソン嬢救出の手掛かりなんだろう。それぐらいは私でもわかる。
ただ、どうしてそれがラグンジェ夫人と関係するのだろう。
ラグンジェ夫人はゲームに登場すらしなかった。となると、やはり初期の頃は彼女が攻略の鍵を握っていたのだろうか。
…そんなに気になるならばラルフ様に聞けばいいじゃないか、と。
ええ、先程聞きましたとも。
ラグンジェ夫人とゲーム攻略は何か関係があるのか。
これに関しては、あっさりと肯定した。
だがしかし、どの攻略キャラに対し、どのような関係があるのか?という問いには、曖昧に笑ってはぐらかされた。
―――気になる!!!
ラルフ様が唯一の協力者である私に対してはぐらかすってことは、私が知って何か不都合が起きるってことだ。それはわかるけども!でも気になる!ロクなシナリオじゃないんだろうけどさ、ここまで来て秘密って、そりゃあないでしょ!
「リーリエ、そうむくれるな」
「…むくれてませーん」
困ったように笑うラルフ様だが、こればっかりは譲れない。
「ラルフ様が教えてくれないなら、勝手に推理しますから」
「…知らない方がいいこともあるんだぞ?」
やんわりと忠告されても、耳を塞いで反抗してみる。私だってラルフ様を困らせるのは本意じゃないけど、と耳から手を離してじとりと彼を見た。
黙っていたラルフ様だが、そのうち仕方ないと言わんばかりに首を左右に振った。
「…わかった。ただし、危ないことはしないこと。いいな?」
「はあい」
よし、と大人びた笑顔を浮かべる彼を見て、これ以上だだをこねるのは「私は貴方と違って子供です」と宣言しているようなので話題を切り替えた。
「もう夕方ですね」
空は夕日で橙色に染まり、擦れ違う私達と同じくらいの人達もどこか名残惜しそうに家路を辿る。
夜は夜でパレードがあるのだけれど、そちらは成人してからでないと参加出来ない。
つまり、ラルフ様とはそろそろお別れの時間だ。
「色々あったが、今日は楽しかった。付き合ってくれてありがとう」
「そんな…此方の台詞です。誘ってくださってありがとうございます」
本当に、色々あった。色んなお店を一緒に回って、色んなものを見て、…彼の新しい一面も見ることが出来た。
「頂いた懐中時計も、大切にしますね」
「ああ、気に入ってもらえたなら、」
良かった、と続いたであろう言葉は、この場には似つかわしくない悲鳴でかき消された。
此方の方へと物凄い勢いで駆けてくる、一頭の巨大な機械仕掛けの馬。たしか、まだ一部でしか取り扱ってなかったはず。
手綱も何もないその馬は店を蹴飛ばし、あらゆるものを破壊している。
……っていうか、こっちに突進してるね!!?
「リーリエ!」
私の手を強く引いたラルフ様の背中が見えた。
――いや、いくら優秀な彼でも危ないって!
頭の中が真っ白になった私はとっさに、足元にあった小石を馬目掛けて思い切り投げつけた。
カンッ!ガンッ!ドンッ!と三つほどの硬い音が鳴り響く。
一つは、私が投げた小石が運良く脚の接続部に命中してバランスを崩させたこと。一つは、ラルフ様の護身用の剣が、見事に動力となる魔法石を砕いた音。
そして――フードを被った見知らぬ人が、翼でもあるかのように高く跳躍し、その細身に似合わぬ大剣を振り回し、……もう一つの急所である首を、跳ねた。
機械が崩れ落ちる騒音が遠くで聞こえる。
呆然としている私の元に、ラルフ様が走り寄ってくる。
「大丈夫か?」
「え、ええ…ラルフ様のおかげで」
「…いや、俺は本当大したことしてないんだけど」
言葉が乱れてるってことは、冷静に見えて結構テンパってるな。無理もないけど。
周囲の話を聞けば、どうやらあの馬は、とある貴族が買ったものだったらしい。買ったばかりのそれを説明も聞かずに動かしたところ、今のように暴走したんだとか。
騎士団が怪我人の確認をし、他の貴族達は慣れない荒事にパニックを起こし、誰も此方に気付かない。
そんな中、フードを被った人がゆっくりと歩み寄ってきた。こうして見ると、本当に華奢だ。背中に背負った背丈ほどの大剣はダンボールで出来てますと言われたら納得してしまう。…というか、あの身体のラインからして…女性、だよね?
女性とは思えない勇ましさを見た為に些か信じがたい。
「お怪我はありませんか?」
だがしかし、私達にそう問い掛ける声は男性のものではない。落ち着きと労りに満ちた声は、頭の中をすっきりとさせてくれる。
「は、はい、危ないところをありがとうございましたっ」
「……貴女様のおかげです。私はザラフィーニ家の者です、ささやかですが御礼をと考えておりますので、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
私は頭を下げ、ラルフ様はじっと彼女を見詰めていた。
そんな私たちに、女性は静かに首を左右に振った。目元まで深く被ったフードのせいで、その表情、そして顔立ちがどのようなものかわからない。
「名乗る程の者ではありません。では、私はこれで」
そう言って一礼した直後、強い風が吹いたことも伴って、僅かにフードがズレた。
その顔立ちに目を見開く。
肩まで切りそろえられた銀髪、化粧っ気のない顔を、私は知らない。けど…私は、私は彼女を知っている。
美しくも気性の荒さが伺える、軽くつり上がった紫の瞳と、紅など塗らなくとも妖艶な雰囲気のある柔らかそうな唇。
長さは違えど、きらきらと輝く雪のような銀髪。
……いや、待って。でも彼女はこの世界では目に障害を抱えている。なのに、どうしてそんな彼女がこんな場所で、あんな勇ましい行動が出来る?
様々な疑問が頭の中を過ぎる。
「キャロライナ・アシュベリー公爵令嬢」
隣から静かな、けれどはっきりした声が聞こえ、思わず目を見開く。
目の前のフードを被った女性は、ぴくりと身体が震えた。
「…何を」
「いえ、貴女様の姿が、とある令嬢の面影を感じたので。成長なされたら恐らく貴女様のようなお美しい女性になられるだろうと思いました」
「…私はただの旅芸人ですよ。貴族のご令嬢に似ているなど恐れ多いです」
そう言いながら、彼女はフードで顔を隠し直す。そんな彼女に、ラルフ様はす、と目を細めた。彼を見る彼女の雰囲気は、警戒心をわかりやすく醸し出している。私は思わず息を呑んだ。
「…お忙しいようでしたのに、引き止めてしまって申し訳ありませんでした」
しかし、そんな私たちをお構いなしに、少し微笑んだラルフ様はそう言って一礼する。思わずずっこけそうになった。
いやだって…!あんな思わせぶりなことしといてそんだけ!?
「――いえ。ではこれで失礼します」
戸惑いや疑いの目を向けながら、彼女は背を向けて去っていく。
彼女の向かう先には、癖のあるキャラメル色の髪と、どこかあどけなさが残る大きな灰色の瞳を持つ青年がいた。
彼女を気遣うように何か話しかけ、こちらを警戒するよう睨むも、そのままローブの女性に引きずられるようにして離れていく。
私達も面倒になる前に、と無言でその場から離れ、現在は私達以外誰もいない公園に入った。
公園といっても一般的な遊具は一切無く、見事としか言えない花々が咲き乱れた庭園だ。
ここなら人がいない。念のために防音魔法を周囲にかけておく。
私は一度大きく息を吸うと、
「…どーいうことなんですかあああああ!?」
全力で疑問を叫んだ。肩に手が届かないので、その手を取ってブンブンと上下に振ると、遠い目をされた。
「…うん、あの場で爆発しないでくれてありがとう」
「危なかったですけどね!あの女の人、やっぱりキャロライナ・アシュベリー公爵令嬢ですよね!?あの!悪役令嬢の!あの人ここでは盲目なんですよね!?なのに何であんな強キャラになってんですか!アクションゲームの主人公か!!しかも彼女と一緒にいた人、あれ攻略キャラのファルスですよね?!悪役令嬢の従者で難易度高めの!!なんで旅人みたいな格好で一緒にいるんですか?!あとラルフ様なんであそこまで追い詰めてあっさり帰すんですか!?いやなんか不穏な空気だったから私としては安心しましたけどね?!っていうかやっぱりアレですか!薄々思ってたんですけど殿下って悪役令嬢のこと好きなんですか!!この世界どーなってんですか!?!?」
「――本当に元気そうでよかった」
一気に疑問をぶつけ終わって肩で息をする私に、彼はぽつりと呟いた。どん引きされた気がするけど仕方ない気にしない。
「あーと…とりあえず、よく殿下が公爵令嬢を引き摺ってるのわかったな?」
「――だって、殿下、【あの女】って連呼してましたもん」
それは私が殿下も拗らせてると理解した、あの図書館での言葉だ。
『シェリー。お前は俺の心に簡単に入ってきた。笑顔で、無邪気に、まるで鍵のかかっていないドアを開けるように…あの女を、忘れられない俺の心に……!』
『 これは運命だ…!あの女では駄目だった、神はお前と結ばれるべきだと、あのようなことにしたんだ!! 』
『 なあ、シェリー。お前は俺の運命の相手なんだ。神が下さったチャンスなんだよ。なら、あの女と同じ…否、それ以上に完璧でなくてはならない。そうだろう? 』
……まるで取り憑かれているかのように、アンダーソン嬢に“完璧”を求める殿下。
その狂気の中心に、“あの女”がいることはこの台詞から見ても明白。
つまり、私の予想ではこうだ。
殿下は、昔とある女性と結ばれていた。その女性は殿下から見ても完璧な淑女で、殿下は彼女に心酔していた。
…だがしかし、何かを機に、殿下はその女性から切り離されてしまう。
このことが殿下の心に大きな傷を作った。それから時を経て、アンダーソン嬢に出会う。自分の心に触れて寄り添ってくれたアンダーソン嬢に、殿下は惹かれて、二度目の恋に落ちた。――ただし、アンダーソン嬢に、初恋の彼女を重ねたまま。
私の話に、ラルフ様はうんうんと静かに頷いている。話し終わった頃には、小さく苦笑を浮かべていた。
「よくわかったな」
「……正直、いくら没案といえどプレイヤーからしたら外れてほしかったんですけどね」
だって…!本当に、殿下アンダーソン嬢…つかヒロインのこと好きじゃないじゃん!初恋の人の面影を無理矢理ヒロインに押し付けて都合の良い身代わりにしようとしてるだけじゃん!!
「……で、一応聞きますけど、この初恋の君がアシュベリー公爵令嬢ですよね?」
「うん」
「欠片も似てねえ!!」
言葉遣いが汚いとか知るか!
たしかに二人とも美形だけど!タイプは全然違うじゃん!アンダーソン嬢は可愛い系、アシュベリー公爵令嬢は美人系、アンダーソン嬢は(表向きは)天真爛漫、アシュベリー公爵令嬢は多分だけどクールビューティ!!
面影を!押し付ける方が!無理が!あんだろ!!!
「あー…ほら…どっちも自分の心に触れた共通点がある…とか?一見全く違うタイプだけどその奥にある本質は似てる…みたいな?」
「思ってないですよね絶対!みたいな?ってラルフ様が言うとは思いませんでしたよ…ちなみにこの二人の本質、似てるんですか?」
「いや全然」
「スタッフが言うんじゃダメじゃないですか!!!」
フォローした次の瞬間真顔で否定するイラストレーター様に、力強く突っ込みを入れた。
……ネット小説でろくに話も聞かず、理不尽に婚約破棄する王子に「ぶわぁーか!」とか思ってたけど……この殿下に関しては「何でなんですか…なんでそうなったんですか…馬鹿ですか…馬鹿なんですか…」と頭を抱えたくなる。
そんな私の肩をぽん、と叩いたラルフ様は、柔らかい笑顔でこう言った。
「馬鹿なのは殿下じゃなくてシナリオライターだから、あまり殿下を責めないでやって」
「……ウイッス」
あと、前から思ってたけど、この人シナリオ担当の人には当たりきついな。いや、初期とはいえ相当酷い仕上がりだから仕方ないのかもしれないけど。
「…まあ、大体は君が想像した通り。さっきの女性はキャロライナ・アシュベリー公爵令嬢で、殿下の言う“あの女”だ。
……彼女と殿下は生まれた時に決められた婚約者だった。これは発売されたゲームも一緒だな。ただ、公爵令嬢に関しては大分設定を変えた。彼女がヒロインを苛めて攻略キャラに振られる単純な悪役になったのは割と後の話だ」
…うん。たしかに、ゲームだと良くも悪くも平凡な悪役なんだよね。庶民として暮らして来たヒロインを序盤から苛めてくる、攻略キャラに婚約破棄をされる辺りは、「あー」と思わず声を漏らしてしまうくらいに王道展開だ。
「…公爵令嬢は婚約者の殿下に夢を見すぎて理想を押し付けていた。これが殿下が彼女を嫌煙する理由の一つ」
「はい」
「初期はこの立場が逆だった」
はあ、とため息を吐くラルフ様はゆっくりと口を開いた。
「あの通り、公爵令嬢はチートキャラだったんだよ。剣を持たせれば名のある騎士すら打ち負かし、執務をこなさせればあっという間にその土地は潤う。幼い頃からその容姿は女神の生まれ変わりだと囁かれていた」
「おおう……」
なんだ、その【わたしのかんがえたさいきょうひろいん】。
それがヒロインならまだわかるけど、何でそれサブキャラにしようとしたし。
「で、そんな彼女が殿下の婚約者だ。あまりに彼女が完璧すぎる為、周囲からは殿下は些か見劣りする、と言われ始めた」
…なんだかなあ。殿下だって相当な高スペックだと思うんだけど。まだ幼い殿下に何を求めてるんだろうか。
「普通はこれがコンプレックスになってアシュベリー嬢を遠ざけるところだが……殿下は周囲の評価を“そのまま”受け取った」
「――つまり?」
「アシュベリー嬢は美しく、聡明で、何をやらせても完璧にこなせる淑女である。自分は勿論、この世界中の誰にも、彼女と肩を並べる、ましてや彼女を超える存在などありはしない。あってはならない。……そんな考えを持つようになった」
……それ、最早宗教じゃない?
幼い頃から妄執に取り憑かれた殿下を想像すると表情が引きつる。
「……そんな中、事件が起きた。殿下が公爵家を訪れた際、彼女はダンスの練習をしていた。そんな彼女だがその日は調子が良くなかったらしく、途中で転んでしまった。それを殿下は見てしまった。
普通なら、まあそう珍しくもない光景だが……殿下にしてみればこの世の神と言っても過言ではない完璧な婚約者が、目の前でわかりやすい失敗をしたんだ。そりゃあもう世界が崩れるほどの衝撃だったんだろうよ。
……『お前はキャロじゃない、お前は誰だ、キャロの真似をするな』とか、そんなことを叫んで渡されたばかりの護身用の剣で斬りかかった」
そう言ったラルフ様の目には同情の色が移る。それは発狂した婚約者に暴行された幼い公爵令嬢に対してか、幼くして狂ってしまった殿下どちらに対してなのか。
「……幸い大事には至らなかった。ただ、公爵家としては殿下は最早娘を嫁がせる相手ではなくなった。いくら幼くて王族で、家の威信がかかっていても、狂気にかられた男に大切な自慢の娘をやるわけにはいかない、と…そう思ったんだろう。結果、どうしても娘が嫁げ無いよう、大掛かりな嘘を作ることにした」
「――それで、盲目だってことに」
「そう」
思ったよりヘビーな内容に、眉間に皺を刻んだ。
大人の無神経な発言が二人の子供の人生を滅茶苦茶にしたんだから酷い話だ。
「一応バッドエンドでは公爵令嬢も登場する。……ただ、彼女がなんであの場にいて、完成時には攻略キャラになったファルスを引き連れてたのかは知らない」
「えっ」
思わず声を上げる私に、ラルフ様は腕を組んで考え込むように目を閉ざす。
「そこまで設定は決まってなかったんだ。まあ、後から色々と肉付けしていくつもりだったんだろうが…早々に没にしたからなあ。ファルスのキャラ案が出たのは割と後半だったから…モブとして存在してるんじゃないか?」
つまり、私達と同じ存在。攻略キャラのファルス、ではなく、公爵家で働くモブキャラのファルスということか。
「公爵令嬢はカリスマ性も備えていたし、あの様子から見て彼女に対して強い忠誠心もありそうだ。滅茶苦茶睨まれたし」
「あー…あの時のラルフ様、滅茶苦茶悪そうな感じでしたからね」
「えっ」
少しでも場を和まそうと笑ってからかう私の言葉に、目を見開いて上擦った声をあげながら此方を凝視する。
じ、自覚ないんかーい…!
ショックで言葉を失っているラルフ様に少し躊躇うも、私は正直に話すことにした。
「お前の正体は知ってる。バラされたくなければ俺の言うことを聞くんだな!――って感じでしたよ」
「うわムカつくな俺!」
「そうですか?結構乙女ゲームや少女漫画にいますよ、そういうキャラ」
「需要があるのは知ってるけど、現実にいたら嫌だろ?出会ったばっかで弱み握りましたってどや顔しながら相手を脅す奴とか」
「あー…たしかに」
あれか、二次元だから許されるってやつか。
「そっかあ…そりゃファルスも睨むわな…公爵令嬢も警戒してたし…そっかぁ…」
あ、本気でショックを受けてるぞこれは。
顔を両手の甲で覆って天を仰ぐその姿に私は内心慌てた。
いつもフォローして貰ってるんだ、こんな時くらい私が元気付けねば!
焦りから、深く考えるより先に口が動いていた。
「だ、大丈夫ですよ!確かにあの時のラルフ様、胡散臭いし腹黒くて威圧感半端なかったですけど!格好良くて私は好きです!!」
「………」
言ったことを後悔するより先に、真顔のラルフ様に頬を両手でむにむにと激しくマッサージされた。
「ごめんなひゃいいい…!」
「いや、君に悪意はなく、俺の為に言ってくれたのはわかる。ただ、やっぱりこの子は嘘が吐けないんだろうなあっていう和みと、これ嘘じゃなくて全部本音なんだろうなあっていう苛立ちと、あとこの子よく貴族社会でやってこれたなあっていう心配と呆れが混ざった複雑な感情を表してるだけだから、気にするな」
「気にひまひゅうう……!」
その後、ラルフ様の気が済むまで激しいマッサージを受けた。…結果として、ちょっとすっきりしたようだから良しとしよう…うん。
ちなみに、ラルフ様にもう一点、気になるところを聞いてみたところ、あっけらかんと答えた。
「ん?あの場で公爵令嬢に追求を止めた理由?まあ、あのまま殿下の元に連れてきゃ話は早いんだけどな…やっぱり俺達の命の恩人だし、下手に無理強いして俺や君が公爵家に目ぇ付けられても困るなって思ったから。
まあ…アンダーソン嬢ももうちょっとくらい持ちこたえるだろ」
……なんだろう、私の中のラルフ様=生真面目な王子様像がどんどん崩れていく。
こっちの方が好きだからいいけどね。




