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 俺は波に揺られている。

 ここはどこだ?

 俺はこんな海は知らない。

 周りは何かも灰色だ、太陽が波を照らし、光を反射している。それすらも灰色で、しかしぽかぽかと暖かい。

 何もかもが灰色で、俺はそういう灰色の海で、波に揺られている。

 遠くから俺を呼ぶ声がする。

 ヒサ、ヒサくん、ヒサ、ヒサ。

 どこか、遠い所から俺を呼ぶ声がする。声が来る方向を見ると、砂浜が見える。放っておいてくれ、俺は今、良い気持ちなんだよ、ゆらゆら揺られて、海に浮かんで、時々塩水が口の中に入ってしょっからいが、それがまた楽しくて、馬鹿みたいにキャッキャキャッキャと喜んでるんだから。

 ヒサ!

 この馬鹿でかい声は何だ?

 波をかきわけ、声は近づいてくる、浮かび、揺られている俺に近づいてくる。

 ヒサ!……!ヒサ!……

 俺を呼ぶ声、馬鹿でかい声、奴もいくらか波を被っているらしい、時々途切れたり、遠ざかったりする、しかし、確実に近づいてくる、波を掻き分け、近づいてくる。このままだと捕まってしまう、捕まると良い気分にはなれない、自分の体を自分より遥か大きな何かに任せている、この安らぎから、離れてしまう。


 ヒサ!


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