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物語前前夜
僕は向かっている。彼女の所へ。退屈な学校を抜け、彼女の部屋を目指す。
砂漠をざくざく歩くと小屋があった。僕は何かを感じてそのドアを開いた。
「いらっしゃい」
彼女のおかげで、僕はやっと自分というものと向き合うことができたんだ。
黒い建物を目指した。階段を上り、最上階にたどり着く。ドアを開ける。今にも壊れそうなそのドアの向こうに、何が待っているかはわからない。けれど、彼女は僕にとって大切で、それ以上でもそれ以下でもなくて、この思いはかけがえのないものなんだ。
ドアを開けると薄っすら明るかった。何だろうと思うと、白い明かりの玉が浮かんでいた。
「蛍というのよ」
金髪の少女が、ベッドの上にいた。