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登校

「それじゃあ行ってきます!」

「車に気を付けて行ってくるのよ!」

月宮孤児院の表札のかかった門を抜け、レーヤは育ての親であるカナさんに手を振り返し荷物ーまあシルバーのアタッシュケース一つだけどーを積んだ自転車を漕ぎだした。



帝国歴5449年、西暦にして2034年、4月。今日、俺、レーヤ・ツキミヤは念願だった帝国第一校高等部に入学する。


通称一高と呼ばれるこの学校は、帝国の文官武官を生み出すいわゆる難関エリート学校である。この学校ではバルナリア帝国のあらゆる天才が集い様々な事を学ぶ。入試試験は勿論とても難しく合格率は3パーセントを下回る。だが、この学校に入った時点でかがやかしい未来はほぼ約束されたも同然なので、ここを目指す者は多い。



そう、それがたとえ、人間(下等種族)であっても、この学校に入れば将来就職先には困らない。


俺は、自分をここまで育ててくれたカナさんにとても感謝している。6歳のクリスマスの夜に孤児院の前に刀の入った刀袋とペンダントと一緒に捨てられた俺を、まるで自分の子供のように育ててくれたのだ。いつか恩を返さなければとは思っていた。


だから駄目元でも帝国第一校に受けてみた。


魔法は使えず、頭脳はそこそこだが、天才というほどでもない。運良く実践試験で最後の方まで勝ち残っていただけだ。



まあ、補欠合格だしクラスは1番下のクラスだけどな…。人間だからまあ、受かっただけ良かったかな。


自嘲気味に少し笑って自転車から降りた。自転車を駐輪場に置き、校門に入る前に服装の確認をする。


オレンジのニット帽、は規定違反じゃない。

片目が長い髪に隠れていても問題では無い。

刀、も規定違反じゃない。流石一高。

支給された学ランもしっかりボタンをとめている。

銀色のアタッシュケース、も忘れていない。



門をくぐると機械音声が聞こえ、同時に一瞬浮遊感を感じる。門、というのはバルナリア本国にある一高にワープするためにNo.7エリア(少し昔、地球と呼ばれていたらしい)の中心部に置かれたゲートなのだ。



つまり、ここはバルナリア。昼でも月が二つ出ている異世界なのである。



『レーヤ・ツキミヤ。1年D組、認証シマシタ。重力安定魔法、設定完了シマシタ。』


最新の警備システム付の様だ。潜るだけで瞬時に潜った者のデータを解析し、侵入者の場合はすぐに…後はご想像にお任せする。


それにしても





…敷地広すぎるだろ!



いつの間にか迷子になっていた。


誰かに聞くか?

いや、そもそも周りに誰もいねえよ。

さっきまであんなに学生がいたはずなのおかしくないか?


日本から輸入したらしき桜がヒラヒラと舞い落ちるのみである。


入学式まで後10分を切っている。が、ここが何処だかとんと検討もつかない。


「新入生ですか?入学式ならここを右に曲がったところが会場ですよ。早くお行きなさい。」


突然背後から声をかけられレーヤは驚いた。



気配を全く感じれなかった…!



人一倍気配には敏感だと自負していたレーヤには衝撃だった。目の前の40くらいの着物を着た女性に警戒しつつ返事を返した。


「はい、ありがとうございます。」


すると女性はふふふ、と笑った。


「そんなに警戒しなくても良いのですよ。つい癖で気配を消してしまうだけです。何も敵意があったわけではありません。」


つい癖っでってどんな癖だよ!一歩間違えれば変態の域だぞ!


と心の中で内心ツッコミつつ警戒を少し解いた。


「お名前は?」


そう聞かれ、レーヤは、は?となる。


「失礼、自分の名前から言うのが礼儀ですね。私はオルカ・ディ・バルナリア。この学園の理事長をしております。」



バルナリア家⁈⁈



バルナリア家とは名前の通り、このNo.7エリアを含めバルナリアを支配するバルナリア帝国の皇族である。人族、獣族、鬼族、竜族をまとめ上げる魔族の中のトップでもある。


多分、俺はこの人に本気で潰しにかかられたら瞬きしてる間に消しゴムのカス以下のミンチになる自信がある。

最早、確信さえある。


「1年D組、レーヤ・ツキミヤです。オルカ様、バルナリア家の方とは知らず、私の数々の無礼をお許しください。」


レーヤが頭を下げるとオルカは困った様な顔をした。


「ここではバルナリア家としてではなく、理事長として居ります。ここではオルカ理事長と呼んでください。貴方は何も悪い事はして無いのですから頭を上げてください。」


頭を恐る恐る上げ、改めてオルカ理事長を見た。


魔族なはずなのに魔族特有の角がない…。だが、オルカ・ディ・バルナリアと言えば隠密系の魔法の持ち主と聞いた事があるな…隠しているのか、角を。

確かに魔族として扱われるのは面倒な時があるだろう。なにせ5種族のトップなのだから。


一々畏まられたら窮屈だろうしな。



「…レーヤ君。考え中なのかもしれ無いけど後1分で式は始まってしまいますよ。」

「…え。」


思い出したああああああああ‼︎


オルカに一礼し、全速力で会場に向かう。


「あらあら。私が送って差し上げるつもりでしたのに…。」


オルカは少し苦笑すると魔法を使って会場に瞬時に移動した。

レーヤ君はてさて、式に間に合うのでしょうかね。どっちにしろ誰かに怒られそうですけどね…。

さて、次のお話は大分新キャラが出る予定です。というか新キャラ出さないと話進みませんよね。


新キャラ設定作り頑張ります。

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