夏休みの図書部part4-2
前回から結構日が経ってしまい申し訳ございません。
今回は前回よりは長くなった・・・かな?
お待たせしてすいませんでした。
階段を上り終えて無事、図書室に辿りついた。
「はぁ・・・何回登ってもここは疲れるわね」
「本当に。しかも教室が遠いというのも含めて大変です」
二人して呼吸が荒い。もう少し休まないとしっかりしたスケジュールを作ることは難しそうだ。・・・主に先輩が。
僕たちは図書室に入って休憩することにした。
「失礼します。丸橋さん、こんにちは」
いつも通りの挨拶を交わす。そんな僕に丸橋さんは
「敬語、崩してもいいのに。何回言ってもやめないんだから」
僕に対して、無理難題をぶつけてくる。
「いえ、立場上崩してはいけないので。それに、1人くらいまともな生徒がいないと図書部の存続に関わりそうなので」
本当に心配なのだ。現在、先輩が先生に対してタメで話しているので僕までそうなるわけにはいかない。もし、僕まで先生にタメで接したら図書部の評価は確実に下がるだろう。ていうか、僕の成績の方が落とされそうだ。
「そっかー。私から話しておいてもいいのよ?そのことに関して」
わざと小声で丸橋さんは言う。
この人はどうしても、僕の敬語を崩したいのだろうか・・・。気になったが聞くのはやめておいた。だって、もしかするとプライバシーにかかわることかもしれないから。考えすぎかな。でも・・・
「どうしてもというのなら、敬語、やめてもいいですよ」
でも、丸橋さんが何か敬語に関するいやなことがあったのなら図書部員としてこれからも世話してくださるのだから成績など気にしていられない。僕の言葉に対し、丸橋さんの反応は・・・
「え!?大丈夫?」
何故か逆に心配された。図書部の人って先生までこうなの?素直に受け取ってよ。丸橋さんは僕のおでこに手を当てる。熱ないから大丈夫ですよ・・・。というか、顔が異常に接近しててすごい緊張する。
「丸橋さん・・・。大丈夫ですよ。熱もありません。ただ、丸橋さんが、おおか言ってくるからたまにはいいかなと思っただけです」
言いすぎただろうか・・・。そんな僕の心配をよそに丸橋さんはこういった。
「自分で言っておいて言うのもなんだけど。無理しなくていいよ?まぁ、そこまで言うのならお言葉に甘えて。私のことは『先生』でいいよ。丸橋さんなんて、いいずらいでしょ?敬語とタメはその場面で変えていいし。まぁ、よろしく」
もう少しハードな感じになるのかと思っていたが、案外簡単でよかった。敬語とタメの切り替えをつけたのは丸橋さん・・・先生の配慮だろう。僕は先輩みたいに度胸がないから、ほかの先生たちがいる前では敬語を使ってもよいということかな。
「こちらこそ、よろしくです。今更ですけどね」
「まぁ、確かに今更だね。いいじゃないの。で、早速敬語だけど、どうしたのかなあ?」
意地悪そうな顔でこっちを見てくる先生。僕は間違えました、と言って訂正した。
こうして、僕と先生の敬語崩し計画は終わったのだった。
・・・目的、忘れてた。
僕はいつも通り書庫に行こうとして、本当の目的を思い出した。
「先生、今大丈夫ですか?」
先生がこちらを振り向く。あ・・・。
「・・・さっき、敬語なしっていったじゃん。慣れないのはわかるけど」
「すみま・・・ごめんなさい」
やはり、急に変わると大変だった。「ごめん」はどうしても言えなかった。先生に「ごめん」はちょっと・・・やっぱり言いづらい。でも、先生は許してくれたみたいで
「別にいいけどね。私は笠原君が敬語を崩してくれたこと、本当に感謝してるから」
そういった先生の顔には、今までに見たことがない暗い表情が出ていたような気がした。
僕は休憩している(正確には本を読んでいた)先輩を呼んできて、早速夏休みの件について話し始めることにした。
「よし。始めるかー」
先輩が言う。僕たちは丸テーブルを三人で囲んで各々が担当した調べものなどを出すことにした。
「まずは、やまのぞちゃんから!」
「はい。えっと僕が調べてきたのは、キャンプする場所までの道、食材などの料金ですね。キャンプは二泊三日で食材費は5000円から10000円と考えてます。また、キャンプ場の2km手前までは車でいけるみたいです。ですがその先は歩きということになります」
山の斜面を2kmと言うと少しキツイが頑張ってもらうしかない。僕は短く説明をして席に座った。
「なるほどねー。ねぇ、やっぱり山の2kmってつらいのかな?」
やっぱり心配なのはそこなのだ。図書部に運動ができる人はいない・・・のだ。
「少し、つらいと思います。下見、いきましょうか。今週か来週末に」
「だね!私も一回も見ないで行くのには自信がなかったし。特に道に迷うと計画が崩れてくしねー」
先生もそう言ってるし、大丈夫かな。
「よし、次は私ね。私は山の周辺のことを調べようとしたんだけど、一人じゃ無理だから、役場の資料を貰ったわ」
そう言った先輩は、自分のバッグからファイルを三冊だした。結構な量だ。
「これが資料。役場の方に聞いたら、殆どいらないからっていってくれたの。あ、コピーだから大丈夫。原紙はさすがに貰えないからねー。けど、写りもいいし土地の高低差を現す線も入ってるみたいだし、これなら歩く時間とかおおよその物を割り出せるんじゃないかしら?」
なるほど。それはいい手かもしれない。珍しく先輩がナイスアイデアを出した。
「それはいい方法かもしれません。できるかわかりませんが・・・」
僕は一部の資料を借りることにした。
「さて、次は私ね。私は・・・まぁ運転だけれど。その他緊急事態にも備えないといけないから、色々な場面の怪我の処置の仕方を調べてきたよー」
そういった先生は先程の先輩と同じく、カバンから資料を出した。先輩が持ってきた資料ほど分厚くはなかったが、相変わらず資料が多かった。僕、何も資料っていうものを作ってこなかったな・・・。
「えーと、この資料が・・・」
ここから先生の話は10分以上に及んだ。先生も張り切っていたのだろう。話し終わった後の先生の姿と言ったら、ちょっとだらしなかった。
「先生、これ机に貼っておいていい?」
相変わらず違和感がある喋り方だが、決めてしまった以上仕方ない。時期になれるだろうし。
「あれー?何の紙だっけそれ」
「さっきした資料見せのまとめ。あと、下見の集合場所とかかな。重要だからなくさないでね!」
先生は、一見しっかりしてそうだったがこの部活に入って先輩と同じくうっかりミスが多い人、ということが分かった。そのため、少し面倒くさいことになっている。こないだは、図書室の鍵を無くして学校中を探しまわったことがある。これを教職員全員で探せば楽だっただろうが、校長先生とかに伝わると色々とマズイので仕方なく三人で探すことになったのだ。通りがかる先生たちの目線と、言い訳が苦しかった。
「あーそれね。わかった。全然大丈夫だよー。そこに貼っておいて」
「わかりま、わかった」
やっぱりなれない!
そんな僕を、盗み見た先輩は「私にもタメで喋ってほしいなぁー」などと言っている。
さすがにそれは無理だった。
けど、それも慣れっていうものがあって・・・
「では、先輩にもタメで。これからもよろしく・・・」
ちょっと自分に挑戦してみた笠原であった。
どうでしたかね?
今回はやまのぞちゃんが先生に対して敬語を崩したのですが、自分がその設定になれておらず、読み返しては敬語があると直すという状態です(笑)もともと、敬語を頻繁に使い、タメではそんなに話さないキャラの予定だったのですけどねー。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
次回は下見は飛ばして早速キャンプに行く予定です(笑)
※2015/09/16 (水) 03:07 本文一部修正・あとがき修正
※2015/09/18 (金) 11:00 本文一部修正←最後の方です。一言付け加えました(笑)
次回もよろしくお願いします!