ぼっちと冬休みは関係ある?
冬休み……それは、短いのに行事がたくさんある休みである。夏休みと冬休みの長さを比べてみると、夏休みの四分の一程度しか、冬休みはない。
だったらもう冬休みの長さ四倍にしようぜ!と思うが、世界はそんなに甘くない。
では……、冬休みはどう過ごせばいいのか?俺はそんなことをふと考えた。
「冬休み………、もうすぐかぁー」
まだまだ全然寒い12月のなかば、金沢が唐突に呟いた。あっ、生徒会室あったけー。
冬休み……。素晴らしい!なんて素晴らしい休みなんだ!あと半年ほど休みを長くしてもいいのに!
……なにを考えても、もうすぐ冬休み。なにをしようか、なんも考えていないな。
「あっ、ねーねー。クリスマスパーティーしない?」
「はーー、なんでガキはそうクリスマス、クリスマスうるせーんだ?サンタクロースが来れば満足だろ」
俺ん家は、いい子じゃ無いからって小学生の頃からプレゼント貰ってねーんだぞ。親手抜きしすぎだろ。いや、手すら抜いてない。
そもそもいい子の判断基準なんだよ。性格腐ってたら悪い子なの?まだ小学生は腐ってねーよ。
ん?そういやクリスマスイブの日って俺だけ残して「あっ、仕事がー」とか言って、カップラーメンの置いて出かけて行ったな。妹もつれて。
そして「どこ行ったの?」っていくら聞いても「仕事だよ」としか答えてくれなかったんだ。
今になって気づく。多分、俺のプレゼント代を使って外食していたんだ。
だって妹、まだプレゼント貰ってるも。あれ?まだプレゼント貰ってる?
サンタクロースいないことぐらいあの妹は知ってるのに貰ってる?俺は?俺……は?
小学一年生の頃、サンタクロース信じてた俺は?小学一年生で衝撃の事実を知らされた俺は?
若干小学一年生でサンタクロースいないと知って、学校中に言いふらしたことを思い出す。……真実は残酷だ。
てか親最低だな。今更ながら。
こんな可愛くない子供でも、夢くらいは見させてくれよ。
まっ、どーでもいいや、泣。
「は、はー?ガキじゃないしー。もういいわ、あんたなんか誘わない」
「おいおい、俺なんか誘うつもりだったのか?やめといて正解だな。俺、クリスマス大嫌いだから」
基本的に、クリスマスの親の態度が。
基本的に、クリスマスの雰囲気が。
基本的に、リア充が。
「まあまあ、クリスマスの過ごし方は自由ですからね。じゃあ坂墓君は、どう過ごすんですか?」
奈津が「むきー」とか怒っている金沢を止めて、俺に聞いてきた。
てか、「むきー」とかボディービルダーかよ。
「あ?俺か?俺はな、基本的に帰りにケンタッキー寄って、チキン買って、家でクリスマパーティーだな」
「あー、いいですね。家族とやるんですか?ぐふふ、卑猥」
綺麗な口調から、腐った口調に変わったが、スルーだ。てかどこが卑猥なんだよ。
「いや、俺を置いて家族は外食。残った俺で、一人クリスマスパーティーだ。もちろんプレゼントもある。自分から自分へのプレゼントだがな」
クリスマスあるあるだと、サンタクロースに頼んだ物じゃない、いわばパチモンが届くんだ。だから俺は自分で買う。もちろん自腹だ。もはやプレゼントじゃねー。
「あっ、あー、いいですね。うん。とっても……」
あんだけ「ぐふふ」言っていた奈津もほらご覧の通り、黙っちゃいました☆
「あはは、ふふ、さみしいやつね(笑」
その代わり、金沢が笑い出した。めっちゃ失礼だ。このガキ。しばくぞ!
うん、別に面白いところもないし、さみしいところもない。なんで笑うの?毒キノコでも食ったのか?
「はー、面白い。やっぱ坂墓はぼっちだわ。ね、坂墓っち」
俺を馬鹿にしたいようだが、ぼっちは俺への褒め言葉だ。ぼっちとは人類の進化系、つまりこいつら猿人とは違うのだ。
「俺はぼっちだけど、なにか?ぼっちだとリスクでもあるのか?俺はリターンしかないと思うが」
俺はこのくだらない会話を終わらせるために、わざと難しい言葉を織り交ぜた。
はっ、このガキには分かるまい。
俺は心の中で、勝利の笑いをした。
鞄から、栄誉ドリンクを取り出し、心の中で乾杯をする。
「ふー、美味えな」
「あー、はいはい。リスクとリターンね」
なに⁉︎と思い、とっさに振り向いた。金沢が真顔で言っているのが分かる。Google先生に教えてもらったわけじゃ無いらしい。
ここで俺は一つのことを思い出した。生徒会メンバーは、全員テストの順位が10位以内だと………。
「くっ、そういやお前は頭良かったんだな。まさに体は子供、頭脳は大人、その名は……」
「やめんかぁぁ!」
俺は金沢にドロップキックをくらわされて、たち膝をついた。
「ごほぁぁぁぁぁぁぁ」
これがドMの奴だったらご褒美かもしれないが、俺は違う。めちゃくちゃ痛い。
ちくしょう、右手が疼くぜ。闇の炎を解禁しちゃうぜ!はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
…………しかし、なにも起こらなかった。
……コイキングの跳ねるかよ。
「悪い、俺が悪かった。よし、アイスおごってやる。これで買ってこい」
俺は財布から300円取り出し、金沢に渡した。
「わー、ありがとう。買ってくるね」
そのまま金沢は去って行った。……ちょろいぜ。ガキーー。
「まったく、何をやっているんだ坂墓君は」
瑠美が生徒会室に入ってきた。今まで職員室にいたのだろう。
「俺は悪くない。地球が悪いんだ」
「スケールの大きい話ね……」
瑠美は「はぁ…」とため息をつきながら、席に座った。
「……で、金沢さんは何をしに行ったのか聞いてもいいかな?」
「あ?そりゃあアイス買いに行ったんだよ」
俺は素っ気なく答え、栄養ドリンクをちびちび飲んだ。金沢がちびなだけに。
まあ、近くにコンビニあるからもうすぐ帰ってくるだろう。
しかし、冬休みかぁ……。今までただのゲームやり放題休みかと思っていたが。なんかした方がいいのか?墓参りとか。
初詣とかは人がたくさんいて嫌なんだよな、墓参りとかは、人が少ないし、静かだし。
まっ、墓参りはお盆にしたし、いいか。
んー、冬休み、なにをやろうか……。
俺は寒い冬の過ごし方を考えるのだった…。栄養ドリンクをちびちび飲みながら。ちびちび飲みながら(2回目)
もうすぐ冬休み!冬休みですよ、お母さん!クリスマスプレゼントはもちろんありません!なんか「ケータイの通信料がクリスマスプレゼントね」とか言われました。つまり、俺にクリスマスプレゼントはもう来ません。さようなら、俺のクリスマス。




