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ぼっちな俺とラブコメは関係無い  作者: 窓野水斗
生徒会で活動するぼっち
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ぼっちとクリスマスはマジで関係無い

 今日も寒い、明日も寒い。喚起は恐ろしいもので、暖房設備の努力を一瞬にして打ち消す。まさに幻想殺し(イマジンブレイカー)だ。俺の温かい部屋の幻想を壊しやがった。

 止まっていた俺だが、まだ死んでいないので動きだす。ウィーンガシャン。

 蘇りしゾンビ、坂墓は腐った脳内をフル活用して、一つの結論を導き出した。

 ……そう。人に押し付けるだ。


 人間、誰しも限界がある。だからその限界を超えるには他人の力が必要なのだ。

 だから、オラに力を分けてくれ!!


「おい、奈津。このお悩みの返事を頼む。俺は専門外なんだ」

 そう、この他人に押し付ける時の快感!たまらないぜぇ。

 どうやら納得したらしく、「分かりましたー」と言ってパソコンを受けとった。

 その後も猛スピードでキーボードを打ち込んでいた。途中、「ぐふふ」と変な笑いがあったりしたが、そこは皆、見てないし聞いてないことにした。


 誰も返信の内容は確認せず、いや、確認する間も無く送信ボタンを押してしまった。

 まぁ……いいか。なんかどーでもいいし。

 よく考えると、人に押し付けたんだから、俺が気にする必要は無い。もうこのまま全部押し付けよ、ぐふふ。


「あーー、よかったらあと残りもやってくれるか?お前のタイピング超早いし」

 こいつ絶対家でBL小説書いてるわ。もはやこの分野でしかこのタイピング速度が出せないと思ってしまうくらいだわ。


「はぁ…、たしかにそうですね。私、タイピングだけは早いんですよ」

 「頼んだ」と言い残し、俺は自分の席に戻った。

 窓を覗くと、白い雪がはらはらとまっていた。冬を感じさせる白い雪は、俺の心も体も冷やしてしまうものだと、思っている。

 しかし、いつかその白い雪を楽しめる日が来るのかと考えると、楽しい家族とのクリスマスが楽しめないので、止めておこう。

 俺は少しだけ雪を見てから、仕事に戻ったのだった………。


       ◇◇◇◇

 

 生徒会室は暖房設備が整っている。だからあまり寒さを感じない。

 だからこそ、危険なことがある。

 ーーそう、換気だ。あれは死ぬ。

 せっかくあったまった空気を一気に冷ますのだ。ガラスだって温めて急に冷やすと割れるんだ。人間でやると、どうなるか……恐ろしい。


 ただえさえ俺の頭はひび割れているのに、さらなるダメージを与えたいのだろうか。

 結論を言うと、換気って換気扇を回すだけじゃいかんのか?………だ。

 それにしても、暖房あったけー。


「んっ、そろそろ喚起するか」

 瑠美は席から立ち上がり、窓の鍵に手をかけた。ここから死へのカウントダウンが始まる。

「まっ、待て!そんなことしたら…死んじゃう!皆!」

 俺の忠告はもう遅く、窓が「カラカラ」と音を立てながら開いてしまった。

 極寒地獄風(ニブルヘイムウィンド)が俺の体に襲ってくる。他の役員達は足にブランケットなどをしている。

 くっ……。俺だけがこの自然に適応できずに死ぬのか。まあ、人間環境にも適応できてないからな…。しょうがない。


 勢いよく入ってきた風が俺の体に触れた。ふん、触れたな、俺の体に!

 しかし触れたら打ち消す能力など持っていないので、もろにダメージを受けた。

「ご、ごはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。さ、さみぃぃぃぃぃぃ」

 雑魚キャラの死に声を出して、俺はのたうちまわった。まあ、雑魚ですけど、なにか?

 開き直った雑魚宣言も、意味は無く、寒さはジョジョに俺の体を蝕んでいく。くっ、スタンド能力は使えないのか。


「る、瑠美。早く窓を……窓を閉めてくれぇ。頼むよーー」

 もう最後はドラえもんに泣きつくような声になってしまったがしょうがない。コタツでも出してもらうか。

 しかしコタツをだしたらきっと出ることは出来ない。そう、永遠に…。


「んっ、ああ分かった」

 瑠美は窓を閉め、そのまま席に戻った。

 また部屋が温まるのはいつだろうか?………本当、喚起って恐ろしい。そう俺は思ったのだった…。


 この生徒会室が少しあったまってきた頃…。

「くはぁーー、終わったぁーー」

 金沢が腕を組み、背伸びをした。

 だが、あからさまに小さい。

「お前、牛乳とか飲んでるか?カルシウムは大切だぞ。今が成長期かもしれないんだから、後悔はするなよ」

 俺なりの、すごく優しい言葉をかけたはずだったのに、金沢はすごく不機嫌だった。

 おいおい、俺は今日牛乳より甘い優しさなのに、何で怒るんだよ。あっ、もしかして煮干し派か?なら悪いこと言ったな。


「あんた、私は別にチビじゃ無いのよ。私より小さい子だってたくさんいるんだからね」

 ずんずんとこっちに言いよってくる。いや、這い寄ってくる。

 もう這い寄れおチビさん!でこのタイトルいいんじゃね?と思ったことは、無かったことにしよう。


「まあ、下には下がいると言うしな。それにチビで苦労することはあんま無いし。デカイ方が苦労が多いと思う」

 デカイと色んなところに頭をぶつけて、視点が高く、下の物を見ずらい。つまりチビとの衝突確率が高いのである。

 俺だったらこんなガキとぶつかって救急車呼ぶのはゴメンだから、背が高くなくて良かったー。普通が一番、ぼっちが一番だな。


「坂墓ー、あんた絶対に私のことを馬鹿にしてるでしょ。いーわ、分かったわよ。今度私の背が高くなる方法を考えてきなさい。いーい?」

 その小さい体で、両手を腰にあてるポーズは何処か様になっていた。なんでだ?

 と言うか、そういうの苦労したことが無い俺が考えても意味無いだろ。

 そもそも小さい方が子供料金で電車使えたり、大人も優しく接してくれる。めっちゃ得じゃね?


「まあ、とにかく頑張りまーす。」

 俺はやる気の無い返事を適当に返し、そのまま残っている仕事に手をつけた。

 しかしまだ終わりそうにない。あと冬の寒さもまだ終わりそうにない。俺はそのことがすごく辛い事だと思うのであった…。

 


 

 冬の一日は餅で始まり、餅で終わる。どうも窓野です。餅と白玉の違いってなんなんでしょうね。はっきり言うと、どっちも美味いから、どうでもいいんですけどね。さあ、クリスマスなんて忘れて、雑煮を食べ、正月気分を楽しもう!

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