ぼっちとクリスマスは関係無い6-3
坂墓はお悩み相談の返信に手こずる。金沢、奈津は共に論外。瑠美は果たして論内なのか⁉︎
俺は確認するため、金沢の近くまで行った。
今日もツインテールだけが素晴らしい。
金沢からツインテールをとったらもうツンデレしか残らないくらい。
いや?ちょっと待て…。ツインテールの無いツンデレ?
そんなものはツンデレではなぁぁぁぁい!
てかなんで俺はこんなこと考えてんだ。
我にかえり、ノートパソコンを金沢の前に置いた。
金沢は書類を書くのをやめ、パソコンの画面を見た。
「お悩みの返信、こんなんでいいか?」
「はぁ?あんた馬鹿じゃないの?そういう意味じゃ無いわ。もっとほら……アレな感じの…」
金沢は言葉がつまり、もじもじしている。
「つまり……お前は恋をしたことが無いからよく分からないと…言う意味だな?」
「うっさいわね。私でも恋ぐらいしたことあるわよ!」
顔を赤面にして怒った。いやー、ツンデレやなー。
あれ?デレが無い?………ただのツンじゃねえか。
なに?ツンドラのように寒い?うん、そうだな。寒い寒い。
こんな素晴らしいツインテールなのにツンデレじゃないなんてけしからん。
からかうしか無いな、なんかむかつくし。
「そうか……。いつ?」
俺の唐突な質問に、金沢はピクっと固まる。
なにを固まっているのだろうか?ぷくく。
俺は必死に笑をこらえる。
「ち、中学二年生のころよ……。」
目が泳いでいる。これは嘘だな。
それにしても、なんでツンデレはこう意地っ張りなんだろうな?どすこーい!
「へー、なら告白したのか?どうやって?キスした?」
もう最後のは個人的な興味からなのだが、多分答えられないだろう。
ふっ、キスはストロベリーの味だぜ!とか言うキス魔は撲滅。
キスする前に歯磨きしとけ、このポンコツ。
えーと、俺は誰に怒っているのだろうか。
まっ、いいや。どうだって。
って、まだ金沢は答えられないのか。
金沢は色々考えてそうな顔をしている。
……なんか俺がいじめているみたい。
「こら、坂墓君。金沢さんをいじめない」
奈津がさすがに止めてきた。
いや…僕もやりすぎだと思ったんですよ。かんにんやー。
俺はバッグを取りに行き、中からぺろちゃんキャンディーを取り出した。
もちろん俺が食べるわけでは無い。
「ほら、金沢。ぺろちゃんキャンディーだぞ」
「わーーい!ぺろちゃんキャンディーだ!あはは」
金沢はこっちに幼稚園児のようにはしゃぎながら来た。
なにこいつ、三時にお昼寝とかしてそう。……でもなんか可愛い。
おっと、さすがにロリコンルートは避けたい。犯罪はさすがにな……うん。
「おいちい。ありがとう、坂墓」
ぺろちゃんキャンディーを舐めながら、満面の笑顔で金沢はお礼を言った。
よし、餌付けしよう!!
こうして俺の少女ブリード生活が始まった……。
………嘘です。犯罪です。捕まります。
話がそれすぎたので、本題に戻すか。
まず俺の返信は間違っていると分かったので、二人にも聞いてみる。
「瑠美、このお悩みの返信、どうしたらいいと思う?」
瑠美にパソコンの画面を向けた。
「うーむ。恋愛小説はよく読むが……実際の恋はしたことが無いんだよね」
恋愛小説を読むこと自体、以外だ。
なんかいつも参考書読んでるイメージだったわ。以外に乙女だな…。
「じゃあ恋愛小説の恋で考えてみてくれ」
恋愛小説もきっと恋をした乙女が書いたはずだ。………きっとな。
「坂墓君!なんで私には聞かないんだ」
明らかにこの話には対象外だった奈津が突っかかってきた。
「いや…お前の恋は性別が違うから…な」
俺は完全な正論を言った。しかし正論はねじ曲がった極論にねじり潰される。
「愛に性別は関係なぁぁぁぁぁぁぁい!!分かるかい、分かるかい?坂墓君」
「お、おう。そうだな………うん」
おらの負けだ。
俺はその圧倒的な戦闘力に言葉も出なかった。
これが恐怖ってやつか。鳥肌が止まんねー。
蛇にからまれた蛙もこんな感じなのか。まさに今からまれている、俺。
俺は冷や汗をかきながら、そっとノートパソコンを閉じたのだった……。
恋ってなんじゃらほい!そう考えたのは二時間前のこと。…うん、多分恋をしていたらこんな小説を書いてないな。つまり恋とはぼっちと全く関係の無いこと……??




