ぼっちと職場体験は関係無い5-7
坂墓は木場に職場体験の場所を一緒にしようと誘われるが…
木場に呼ばれ、席を立った。
「なんだ?話って」
すると木場が爽やかないつもの笑顔で
「職場体験、僕と一緒のところに行かないか?」
「はあ?」
思わず呆れてしまった。
こいつはなぜ俺にこだわるのだろうか。こいつは仲間外れがいるのが嫌なのか?
いや違う。他にも仲間外れっぽいやつはいる。仲間外れ、ぼっちがいない世界なんで無い。
その集団になじめず、ぼっちなる。別に悪いことじゃ無い。
なじめないのだから。合わないのだから。
人には合う合わないあるはずだ。好き嫌いももちろん。
ただ俺は好き嫌いが多いだけだ。
いわゆる野菜全般嫌いみたいなやつだ。
いや、好きは多くないな。全く多くない。
ただこいつが俺になんらかの執着心を持っていると思った。
「なんで俺なんだ?」
「僕が君と行きたいからだ」
そんなはず無い。俺と行きたいところなんてあるはずが無い。
だって俺が行きたくないのだから。
「俺がお前と行くと思うか?」
「ああ、君は優しいから人の頼みを断れないから」
こいつは俺のことを優しいと言った。
だがこれは優しさでは無い。俺が優しくしてると思ってないからだ。
優しいなんて嘘でしかない。優しい人間なんでいない。
つまり人は優しく無い。
それは優しさではなく計算かもしれない。それは表面だけかもしれない。
優しいなんてほとんどが自分のためにすることなんだ。
優しくして自分のイメージアップするなんてよくあるだろ?
俺は優しさを信じない。
「行かねーよ。それに俺は優しく無い」
「…知ってる」
顔をこっちに向けてきて、まじまじと見られた。
優しく無いって知ってるなら優しいなんて言うなよ、それとも俺を喜ばせようとしたのか?それこそが嘘の優しさだ。
「あっそう、ならいいんだ」
だんだんイライラしてくる。
はたしてなににイライラしているのだろうか。
カーテンから眩しい光が部屋に満ちた。
「お前なら他に行くやついるだろ」
「いるよ…」
全く調子がくるう。今はこいつの態度にイライラしているのだろうか。
「でも僕と行きたいんだ」
また爽やかな笑顔だ…こいつは俺をバカにしているのだろうか。
それともこいつはこの表情が体に染みついてしまったのだろうか。
自分のイメージを壊さないように。
「俺が一緒に行くやつがいないからか?もしそうならやめろ。俺は一緒に行くやつがいるほうが嫌なんだ。」
いつのまにか口調が怖くなっていた。
多分こいつのしつこさにイライラしているのだろう。俺はしつこいのが嫌いだ。
諦めることをなかなかしないからだ。諦めることは何よりも大切だ。
諦めることで次が始められるのだ。
まあ俺は次なんて始めませんけどね、諦めてばっかだわ。
ノーコンテニューだわ。
「よく喋るね。昔の君なら多分僕のことなんて無視していたはずだ」
…確かに。昔の俺、前までの俺なら多分無視していただろう。
前までの俺と今の俺、どこが違うのか。どこが変わったのか。
まるで間違い探しのように探していった。
「君は生徒会に入ってから変わったんだ!」
強く激しく熱く言われた。そしてどこか他人行儀に聞こえた。
そして歯ぎしりをしてしまう。変わった、それは俺が否定してきたことだ。
人は簡単に変わらないと。
しかしどこかで自分は変わったのかと思うようになってしまった。
人が変わるのはその人になにか大きなことがあった時だ。
俺にとって生徒会に入ることが大きなことだったのだろうか。
そんなこと…分からない。
俺が今まで分かろうとしなかったことだから…
「変わったかどうかは俺が決めることだ。他人に色々言われる筋合いはねえ」
「だね。悪かった。でも職場体験のことは頼むよ」
あっさり謝られた。だが職場体験にどうしてもと頼んでくる。
まあ、俺も行くところを迷っていたんだが…こいつと一緒に行くのかー。
女子がわいわい来てなんか嫌な思いをしそうだな。
「まあ、しょうがない。職場体験を同じところにするぐらいなら」
「ありがとう」
どうやら木場は満足したらしく笑顔でどっかに行った。
俺はあいつと同じ場所を書いて先生に出しに行った。
先生も3回目は無いだろうと思っていたのかなにも言われなかった。
一息ついて生徒会室に向かった。
歩きながら考え事をした。
俺は生徒会に入ってから変わったのかどうかについて…
俺は変わっていないと思っている。変わったと思いたくないのだ。
坂墓千田果は変われないと今まで思っていたことが崩れるから。
俺は変わらない。これからも、いつまでも。…と思いたい。
生徒会室に入って軽く挨拶をした。
「よお」
「あら、坂墓遅かったわね今日」
「ちょっとな」
俺が言葉を濁したのが不満なのか金沢がむすっとふくれていた。
「あっそう、…元気なさそうだから心配したじゃない…」
後の言葉が小さくて聞こえなかった。
この子こんなに声小さかったけ?ワクワクさん並に声でかかったよな。
はい、今日は大きな声の出し方を教えるよ!まずお口にセロハンテープを貼って、お口を大きくします!…みたいな感じ。
俺も小さい頃はワクワクしたものさ…
「坂墓君、これ仕事ね」
「うわー、多いな」
思わず愚痴が出てしまうほど多かった。
だが俺はその程度ではまだ大丈夫だ。希望がある!
「坂墓ー、これお願いー!」
金沢がさらに上乗せした。
「お、おい。こりゃないだろ」
書類のお山が完成しましたー。
なぜ俺がこんなに…しかも普通の量じゃないな。どうやったらこんな量に…
書類の提出日を見たら6月の20日だった。
「おい…この提出日は…」
「あー、それね、それそれ。忘れてた」
会長さーん。困るぞ、上司の仕事を部下に押しつけるなんて!
そして忘れてたー☆では済まされないほどの過ぎた日にち…どんなけ忘れれば気が済むんだ…認知症?
あー、僕は皆さんに認知されてませんでした。これこそ本当の認知症(笑
俺の認知を超えた存在にひれ伏せ!ふっははははは!
あー、寒い寒い。最近寒いよな。なんでだろ?
★☆★☆★☆★☆★☆★☆
「ふぅー、終わった」
山積みだった書類を片づけた。
もう6時かと思い外を見るともう真っ暗だ。日が沈むのが早くなったな。
まあ、アホみたいに遊ばないしな。それより寒いのはどうにかして欲しい。アイムコールド!
こんな寒い日にはラーメンが食べたくなるなぁ…いや、無駄な出費は減らさねば。
「お疲れ様」
瑠美だけ残ってほかのやつらは帰ったようだ。仕事押しつけて帰ったのか…さすが格差社会!
もう疲れMAXだわー。こんな時にはグミを噛んでコラーゲン補給&眠気予防だ。
お肌ピチピチ若返る。…俺の肌年齢は10歳だな!まだ奥様若いわねーと言われるレベルだ。
奥様達のレベル高えー。
「じゃあ帰るわ」
「帰りにどっか寄らないか?」
帰ろうとしたら瑠美が誘ってきた。
「ラーメン屋に行くか?」
ラーメンが頭から離れない。ラーメンラーメンラーメンラーメン〜ラーメンマーン♪
…ラーメンマンが頭から離れない!
「そうだな。寒いしラーメンが食べたいわ」
同意がとれたことで戸締りをして生徒会室を出た。
早希にラーメン食べてくるから晩飯いらんとメールをした。
まるで夫婦!ボクノオヨメサンハイモウトデス!…どこのこんなに可愛いわけがない妹だよ!
二人で校門を出て近くのラーメン屋に向かって歩いた。
さ…寒い!なにこれ寒波?だれの必殺技だよ…かっこいいな。
手から寒波出すとかまじすげ〜。タオパイパイとか出来そうだな、なんか。
瑠美も寒いらしく体がブルブル震えていた。…ここでお兄ちゃんスキル発動!
「これ使え」
俺の上着を渡した。
ふっ、お兄ちゃんたるもの寒そうな可愛い女の子を見かけたら上着を渡す。常識だな。
「あ…ありがとう」
顔が赤くなり照れているように見えた。
なーに気にすんな。お兄ちゃんが勝手にしたことなんだから。お兄ちゃんは正直言って、ありがとう!お兄ちゃん!っていって欲しかった…グスン
坂墓と木場、二人の関係性に変化は訪れるのでしょうか?ホモな展開はくるのか!(無い




