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第一話 記憶の管理者とは

初めて作品を投稿します!温かい目で見守ってください!



 街外れにある森の奥深くにある大きな屋敷。そこは、記憶の図書館と呼ばれており今日静かに佇んでいた。千年も前から続いており、長い歴史が刻まれている。

 なかではせわしなく使用人たちが歩いていた。みな淡々と書類を運んだり軽く掃除をしたりと思い思いに仕事にふけっている。

 その中で、遠くから様子をうかがっている青年がいた。


 黒い髪をそのままに、左耳にはかすかに揺れる蝶のイヤリングをつけた青年。不安そうに紫色の目で周囲を見渡している。そんな彼に、話しかける使用人はいない。あくまでも自分でやれ精神なのかと思うだろう。しかし、それもまた違った。


 彼こそ、この記憶の図書館の主、"記憶の管理者"という人物である。


 記憶が保管されている記憶の書を、正しく扱うために管理する。その役目をシオンが担っているのだ。彼は十七代目である。


 そんな彼に向けてたまたま近くを通りかかった、女性の使用人が言う。


「シオン様。こちらに座ってお休みください。」


 女性はこれまた丁寧に、木で作られたシンプルな椅子をシオンに差し出す。シオンは申し訳なさそうに手をわずかに上げてそれを拒んだ。


「それは、申し訳ありません。私も、手伝わせてください!」


 しかし、それをさらに拒むものがいた。まさしく目の前にいる女性である。にこやかに笑みを浮かべているのはわかるが、シオンは目元を見るのが怖かった。


「いえ、シオン様。シオン様にはこれから大変な業務が待っているのです。雑用は我々使用人に任せてください。」


 まるで座れと脅しをかけられているようなそんな口調。シオンは断り切れずに小さく返事をした。


 ここ、記憶の図書館の主従関係は少し普通と違う。主が使用人に指示をするのではなく、使用人が判断して主に許可を得るという逆パターンである。だからこそ、シオンはその指示に忠実に従っているというわけだ。


 シオンは相変わらず不安そうに周囲を見渡している。そこに別の使用人がやってきた。


「シオン様!そろそろ、向かいましょう!」


 元気な声が今いる玄関ホールに響き渡る。シオンは苦笑いを浮かべながらその場に立った。その使用人は手を取るように案内する。


「今日は予約の人いっぱいですから、頑張りますね!」


 シオンはその明るさにまだ慣れないという風に「はい。頑張りましょう。」とだけ返事をした。そのことに誰も責めないし、深く追求しない。まだ、見えない壁がそこにあった。





 たどり着いたのは渡り廊下にある、部屋と部屋の間にある本棚の前。使用人は慣れた手つきで、スイッチである本を抜き取った。振り返り際に元気で明るい声を出しながら言う。


「さあ、シオン様!今日もよろしくお願いします!」


 本棚がずれて地下に行く階段が静かにシオンを導いていく。ぺこりと軽く会釈をすると、シオンは迷うことなく進んでいった。これが、彼の仕事の一つである。


 地下への階段は、案の定石造りでひんやりとした隙間風がシオンの黒髪を、イヤリングを揺らす。シオンは行く前に渡された予約者リストとを目で追って、ぽつりと声を漏らす。

「……今日は五人ですか。」

 出身地も種族も全く違う、赤の他人の記憶の書を探すのが彼の仕事である。


 長い長い地下の道を通るとようやく目的地であるゲートの前にたどり着いた。特殊な鉱石で作られた枠組みにシオンは手袋でそっと触れる。はじめは何もないかと思われたが次第に変化が始まった。


 みるみるゲートという名にふさわしい、淡い水色の光を放っていく。そして最終的にシオンはその光に包まれて消えた。





 目を開けると、そこはシオンにとって見慣れた真っ白な塔の中だ。上を見上げると、無限近く保管されている記憶の書がずらりと佇んでいる。


 そこに行くにはかなりの苦労を要するだろう。シオンはそんなことを気にしないというように前に進んでいく。


 その時、共鳴するかのように耳に着けているイヤリングが光った。水色の宝石が一本の線を描いて、最上階に位置する一冊の記憶の書を示している。


 それが予約リストの中の記憶の書なのだろうか。


シオンはそれを確認して思わず眉をひそめた。


「……最上階じゃないですか。」


 その光は一番上の本棚を指し示していた。


 面倒くさい、というよりもそこに行くまでに時間がかかってしまうという気持ちのほうが大きいようだ。小さくため息をつくと、中央に設置されている螺旋階段を使って、彼はその線の先を目指した。





 階段は上がるにつれて体力を失っていく、シオンはすでに肩で息をしていた。


「はぁ……はぁ……。」


 そんな声が漏れている。一歩一歩を踏み出すのに躊躇をしてしまいそうなほど、足が重くなってきた。シオンは(心の中で体力を作らないと)と思いながら無心で歩く。次第に、靴の音は小さくなっていった。


 数十分後。ようやくたどり着いた最上階。シオンはいったん息を整えようとその場にしゃがむ。


「あぁ……死ぬかと思いました。」


 普段は人に言えない弱音が、こんな広々とした空間の中ではポロリと出てしまう。もし一人でもいたら、にこにこと嘘をつくのだろうけど。


 シオンは肩で息をしながらお目当ての記憶の書に手を伸ばした。それに触れると、また、イヤリングは別の場所を示した。若干下の階である。


 毎度のことだが、シオンは思う。この階段だけで今日の体力を全部使っているのではないかと。


 それほど体力に余裕がないようだ。


 しばらくためらうように下を眺める。たくさんの書物がずらりと並ぶこの場所で、彼はふと最大の悩みを打ち明けた。


「この中に、私の記憶の書はあるのでしょうか。」


 記憶の管理者、シオン。世間一般に公表されてはいないものの、一つ最大の秘密がある。それは、記憶を管理する人でありながら記憶喪失だということだ。

<ゆるい説明>

記憶の管理者

ざっくりいえば記憶の書を管理する人を指す


記憶の書

ざっくりいえば記憶がそのまま書かれた書物。歴史書と思ってくれたほうがわかりやすい。


〈追記〉 ガラッと内容変更しました!

見づらくてすみませんでした!

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