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第95話 任せられるということ

連続投稿です。

94話からお読みください。


それから、

数日が過ぎた。


仕事は、

似たようなものが続いた。


掃除。

配達。

倉の確認。


どれも、

銅貨四枚前後。


危険はない。

だが――

楽でもない。


失敗すれば、

その日の分が消える。


だから、

失敗しない。


特別なことは、

しない。


急がず。

省かず。

迷ったら、止まる。


(……同じだ)


前世でも、

そうだった。


地味な積み重ねが、

一番、効く。


ギルドに入ると、

説明は減っていた。


「場所は、ここ」

「期限は、これ」


それだけ。


理由を聞かれない。

確認も、少ない。


(……信頼、か)


いや――

信用だ。


信じてはいない。

だが、

疑う理由もなくなった。


掲示板の前。


札を見て、

迷う時間は短くなった。


距離。

時間。

人目。


頭の中で、

自然に整理できる。


(……これは、

行ける)


一枚、剥がす。


「配達/三件/日没まで/銅貨五」


三件。


少し多い。

だが――

町の中だ。


受付に出す。


女は、

札を見るだけで、

何も言わない。


帳面に、

印をつける。


それだけ。


外に出る。


町の音。

人の声。


顔を覚えられる仕事。


それでも、

足取りは乱れない。


(……逃げないと、

決めたからな)


夕方。


戻る。


三件分の署名が、

依頼書に揃っている。


女が、

一つずつ確認する。


印。

時間。

問題なし。


銅貨を、

五枚。


「……次も、

似たのがある」


独り言のように、

言われた。


だが――

聞き流さない。


「……はい」


それだけ答える。


ギルドを出る。


夕暮れ。


空が、

少し赤い。


(……早くなったな)


時間が、

じゃない。


自分の位置がだ。


ローディス王国領の町、

オーレム。


少年は、

前に出たわけじゃない。


だが――

後ろに戻らない場所に、

静かに立った。


この先は、

少しだけ速くなる。


だが、

一歩一歩の重さは、

変わらない。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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