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第56話 村の外の朝

連続投稿です。

55話からお読みください。


朝。


太陽が、

完全に昇った。


(……明るいな)


村の中と、

同じはずの朝。


だが――

違う。


音が、

散っている。


鳥。

虫。

風。


全部が、

バラバラだ。


(……守られてない)


村は、

人の暮らしで

空気が整っていた。


ここには、

それがない。


道を、

歩く。


王道といっても、

土と石の道だ。


轍。

足跡。


(……人は、

通る)


だが――

“見て”はいない。


立ち止まる。


水筒を、

開ける。


一口。


(……うまい)


それだけで、

少し落ち着く。


昼前。


初めて、

すれ違う人。


二人組。


商人か、

旅人か。


視線が、

一瞬だけ交わる。


相手は、

何も言わない。


(……当たり前だ)


村では、

挨拶があった。


ここでは――

ない。


昼。


日差しが、

強い。


影が、

短い。


(……思ったより、

歩けてる)


だが――

体が、

慣れていない。


“気”で、

姿勢を保つ。


“魔力”は、

使わない。


今は、

温存。


午後。


道を、

外れたところ。


小さな、

水たまり。


泥が、

不自然に崩れている。


(……足跡)


人じゃない。


獣だ。


新しい。


(……来るな)


そう思った瞬間――

藪が、

揺れた。


小型の獣。


狼に似ている。

だが――

目が、

濁っている。


(……魔獣、未満)


精霊でも、

魔獣でもない。


“汚れた獣”。


距離は、

近い。


(……逃げる)


剣は、

抜かない。


木剣だ。


意味は、

ない。


横に、

跳ぶ。


足場が、

悪い。


(……村じゃない)


転ぶ。


肩を、

打つ。


獣が、

唸る。


(……まずい)


“気”を、

強める。


最低限。


踏み込み――

木剣を、

地に叩きつける。


音。


大きな音。


獣が、

怯んだ。


それだけで、

十分だった。


獣は、

森へ逃げた。


(……勝ってない)


息が、

荒い。


心臓が、

早い。


肩が、

痛む。


(……これが外)


誰も、

助けない。


偶然も、

続かない。


立ち上がる。


土を払う。


(……学ばないと死ぬ)


確信だった。


夜まで、

まだある。


だが――

休む場所を、

考えないといけない。


ローディス王国領、

王道沿い。


少年は、

初めて知った。


村の外では――

「無事」は、

自分で作るものだと。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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