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第50話 学ばなければ、守れない


夜。


灯りは、

落としたまま。


家族は、

眠っている。


(……静かだ)


だが――

体の奥が、

ざわつく。


昨日の夜。

森。

歪み。

押し返した感触。


(……次は、

同じ手は使えない)


力は、

偶然で通じた。


だが――

偶然は、

続かない。


“気”は、

磨ける。


前世で、

証明済みだ。


だが――

“魔力”は、

違う。


この世界の、

理だ。


(……知らなすぎる)


詠唱。

制御。

安全。


冒険者の言葉が、

頭をよぎる。


――真似はするな。

――命が安くなる。


(……正しい)


自分は、

まだ“遊び”で触っている。


本気で守るなら――

それじゃ足りない。


外に出る。


星空。


遠く、

王道の方向。


町。

王都。

冒険者。


(……行く、か)


すぐじゃない。


今じゃない。


だが――

“行く必要がある”。


村を、

守るために。


家族を、

守るために。


この世界で、

生き続けるために。


拳を、

握る。


前世の、

孤児たちの顔が、

一瞬、

浮かぶ。


(……教えるには、

まず学べ)


あの頃、

自分が言った言葉だ。


今は――

自分に向ける番。


戻る。


布団。


眠る前に、

一つだけ決める。


(……力を、

独り占めしない)


知識を得て、

正しく使う。


それが――

守るということだ。


ローディス王国領の辺境、

ミルネ村。


少年は、

初めて――

“学ぶために、村を出る未来”を

はっきりと思い描いた。


それは、

逃げではない。


守るための、

前進だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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