第49話 冒険者の違和感
連続投稿です。
47話からお読みください。
――冒険者視点――
村を、
離れてしばらく。
街道を歩きながら、
女は、
杖を肩に担いだ。
「……妙ね」
鎧の男が、
振り返る。
「何がだ?」
「森よ」
「焼いた後の、
魔力の戻り方が……
早すぎる」
男は、
鼻で笑う。
「精霊が多かったんだろ」
「……違う」
女は、
足を止めた。
「“整えられている”」
「自然回復じゃない」
「……誰かが、
“流れ”を触った」
男は、
眉をひそめる。
「魔法使いか?」
「……詠唱の痕がない」
「魔力陣も、
残ってない」
(……じゃあ、
何だ?)
女は、
村の方向を、
一瞬だけ振り返る。
「……人為的なのに、
“道具”を使っていない」
「そんなの、
王都でも稀よ」
「学院の、
上澄みか――
それ以上」
男は、
苦笑した。
「辺境の村だぞ?」
「……だからよ」
女の声は、
低かった。
「“いるはずがない場所”に、
痕だけがある」
「姿も、
名もない」
「でも――
確実に、
そこに“いた”」
しばらく、
沈黙。
男が、
言った。
「……報告、
上げるか?」
女は、
首を振る。
「証拠が、
ない」
「それに……」
少し、
間を置いて。
「悪意が、
感じられない」
「守るために、
触った」
そうとしか、
思えなかった。
歩き出す。
「……気になる?」
「ええ」
「でも、
今は――
深入りしない」
女は、
杖を握り直す。
「触れたら、
壊れるものもある」
「……そういう力だった」
街道の先に、
夕日。
ローディス王国の空は、
今日も、
何も知らない顔で広がっていた。
だが――
確かに。
ただの辺境の村に。
“観測できない異物”が、
芽吹いている。
それを、
冒険者は、
初めて認識した。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
小さな選択の積み重ねを意識して書いています。
何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。




