第48話 朝に残るもの
連続投稿です。
47話からお読みください。
朝。
鶏が、
鳴いた。
いつもより、
少し遅く。
(……生きてる)
それだけで、
胸の奥が、
緩んだ。
体が、
重い。
筋肉痛とは、
違う。
(……魔力疲労)
前世にも、
似た感覚はあった。
“出しすぎた”後の、
芯のだるさ。
父が、
外で声を上げる。
「……おい」
ただ事じゃない。
井戸。
水は――
澄んでいた。
だが――
冷たい。
昨日より、
“深い”。
(……底が、
落ち着いた)
村人たちは、
首をかしげる。
「……治った?」
「……なんで?」
冒険者の女が、
眉を寄せる。
「……変ね」
「焼いたはずなのに、
魔力が……整ってる」
鎧の男が、
腕を組む。
「……別の奴が、
手を出した?」
(……気づく、
か)
女の視線が、
一瞬、
こちらを掠めた。
(……勘が、
鋭い)
だが――
確証はない。
冒険者たちは、
予定を早め、
村を出た。
「……深入りは、
危険だ」
それが、
彼女の結論だった。
昼。
畑。
土が、
柔らかい。
作物の、
根が伸びている。
(……森が、
息をしてる)
だが――
体は、
正直だ。
集中すると、
視界が、
滲む。
母が、
気づく。
「……熱、
ある?」
「……大丈夫」
嘘。
でも――
言えない。
夜。
布団。
“気”を、
巡らせる。
“魔力”を、
休ませる。
(……限界は、
まだ低い)
それが、
分かった。
力は、
足りていない。
知識も、
経験も。
(……次は、
耐えられないかもしれない)
それでも――
後悔は、
ない。
ローディス王国領の辺境、
ミルネ村。
朝は、
確かに戻った。
だが――
少年の中には、
越えてはいけない線の感触が、
残っていた。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
小さな選択の積み重ねを意識して書いています。
何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。




