第46話 焚き消されるもの
連続投稿です。
44話からお読みください。
朝。
森へ向かう、
二人の冒険者。
村人たちは、
距離を取って見送った。
「……頼んだぞ」
「任せろ」
鎧の男は、
自信満々だ。
(……悪人じゃない)
それが、
一番厄介だ。
森の縁。
女が、
杖を構える。
「――《火よ、
広がれ》」
詠唱。
魔力が、
整えられる。
次の瞬間――
炎が、
地を走った。
(……っ)
精霊の気配が、
弾ける。
逃げる。
逃げきれない。
弱い光が、
一つ、
二つ――
消えた。
(……やめろ)
声には、
出さない。
出せない。
火は、
効率的だった。
魔獣ではない存在を、
“不要な魔力”として、
均す。
女が、
息を吐く。
「……これで、
落ち着くわ」
だが――
“流れ”は、
乱れたままだ。
(……浅い)
知識は、
ある。
だが――
理解が、
足りない。
鎧の男が、
頷く。
「よし、
もう少しだ」
その時。
森の奥で――
“揺れ”が、
跳ねた。
(……来る)
大きくはない。
だが――
今までより、
濃い。
“均された”ことで、
一点に集まった。
(……そうなる)
自然は、
穴を埋める。
無理に削れば、
歪む。
冒険者も、
気づいた。
「……おい」
女が、
眉をひそめる。
「……少し、
強いわね」
(……少し、
じゃない)
これは――
“反動”。
少年は、
一歩、
前に出た。
まだ――
何もしない。
だが――
逃げ道を、
作る。
“気”を、
地に落とす。
“魔力”を、
薄く、
森に溶かす。
(……散れ)
命令じゃない。
誘導だ。
揺れが、
分かれた。
冒険者は、
気づかない。
彼らの視界の外で、
被害が――
最小に抑えられる。
夜。
村に戻る。
「……終わった」
冒険者は、
そう言った。
村人たちは、
安堵した。
(……終わってない)
だが――
まだ言えない。
今は、
“結果”を待つしかない。
ローディス王国領の辺境、
ミルネ村。
火は、
確かに問題を焼いた。
だが――
同時に、
次の火種を残した。
少年は、
それを知っていた。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
小さな選択の積み重ねを意識して書いています。
何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。




