第44話 村の判断
朝。
村の広場に、
人が集まった。
理由は、
説明できない不調。
井戸の水。
家畜の様子。
森の気配。
「……このままじゃ、
落ち着かん」
「……魔獣か?」
「……いや、
姿はない」
言葉が、
空回りする。
年長者の一人が、
手を上げた。
「……冒険者を、
呼ぶ」
その一言で、
決まった。
(……早い)
だが――
それが、
普通だ。
“分からない”ものは、
外に頼る。
父が、
小さく息を吐く。
母は、
何も言わない。
わしは、
黙っている。
(……呼ばれた冒険者が、
同じなら)
問題は、
さらに揺れる。
昼。
使いの者が、
王道へ向かった。
数日後には、
誰かが来る。
(……その前に、
整理しろ)
夜。
一人、
森の縁。
“気”を、
沈める。
“魔力”を、
広げる。
(……精霊は、
怯えてる)
害意はない。
だが――
人の痕が、
刺激になっている。
(……戦えば、
悪化する)
分かっている。
だが――
村人は、
それを知らない。
(……選択は、
二つ)
任せるか。
先に動くか。
家に戻る。
父が、
言う。
「……無理は、
するな」
それだけ。
母が、
鍋を置く。
「……何かあったら、
言いなさい」
それだけ。
(……言えない)
今は。
ローディス王国領の辺境、
ミルネ村。
村は、
“正しい判断”をした。
だが――
正しさが、
いつも最善とは限らない。
少年は、
初めて知る。
何もしないことも、
選択だということを。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
小さな選択の積み重ねを意識して書いています。
何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。




