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第41話 母の目に映るもの


朝。


土間で、

鍋を火にかける。


いつも通りの、

朝。


……でも。


(……最近、

あの子)


静かだ。


元から、

騒ぐ子じゃない。


でも――

違う。


“落ち着いている”。


子ども特有の、

焦りがない。


畑から、

戻ってくる姿を見る。


背が、

伸びた。


手足が、

しっかりしている。


(……大きく、

なったわね)


声をかける。


「……森、

深く入ってない?」


「……入ってないよ」


嘘じゃない。


でも――

全部でもない。


母親には、

分かる。


隠し事をしている、

というより――

“抱えている”。


それが、

少しだけ、

怖い。


夜。


ハルトと、

火を挟む。


「あの子……

変わったと思わない?」


ハルトは、

少し考えて――

頷いた。


「……変わったな」


「悪い方向じゃない」


「だが……

遠くを見ている」


その言葉に、

胸が、

きゅっとなる。


(……どこへ、

行くの)


リネアは、

望まない。


強さも、

名誉も。


ただ――

生きてほしい。


無事で、

笑って。


布団を、

かけ直す。


寝顔は、

まだ子どもだ。


(……置いて、

行かないで)


言葉にしない。


リネアは、

祈るだけだ。


ローディス王国領の辺境、

ミルネ村。


母は、

何も知らない。


だが――

“変化”だけは、

確かに見ていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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