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第34話 少年と呼ばれるまで

連続投稿です。

32話からお読みください。


それから、

いくつかの季節が巡った。


ミルネ村は、

変わらない。


畑は、

畑のまま。


森は、

森のまま。


だが――

わしは、

もう「幼子」ではなかった。


朝。


父の隣で、

鍬を持つ。


重い。


だが――

持てる。


「……無理はするな」


父は、

それだけ言う。


(……分かってる)


体は、

確実に、

少年のものになっていた。


背が伸び、

手足が長くなる。


力も、

増えた。


だが――

“出さない力”の方が、

もっと増えている。


昼。


村の子どもたちと、

簡単な取っ組み合い。


遊びだ。


遊び、

のはずだ。


だが――

相手は、

本気になる。


(……ここまで、

来たか)


力を、

一段落とす。


技を、

さらに落とす。


それでも――

負けない。


「……強くなったな」


誰かが、

そう言った。


褒め言葉。


だが――

少し、

距離のある響き。


(……“違い”が、

見え始めている)


夕方。


母が、

布を縫いながら、

こちらを見る。


「……もう、

子どもって感じじゃないわね」


「……そう?」


「ええ」


笑う。


だが――

少し、

寂しそうだ。


夜。


一人、

村の外れ。


星を、

見上げる。


(……選択肢が、

増えてきた)


村に残る。

外に出る。


学ぶ。

戦う。


今は、

まだ決めない。


だが――

“決められる年齢”に、

近づいている。


“気”は、

体の奥で、

静かだ。


“魔力”は、

周囲に、

自然に馴染む。


二つは――

互いを、

知り始めている。


(……急ぐな)


前世の経験が、

そう告げる。


強さは、

準備が整った時に、

勝手に現れる。


ローディス王国領の辺境、

ミルネ村。


一人の少年は、

名もない日常の中で、

次の扉の前に立っていた。


それは、

冒険の始まりではない。


だが――

もう、

始まってもおかしくない場所だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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