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第31話 確認に来た人たち

連続投稿です。

29話からお読みください。


朝。


村に、

馬の音が響いた。


一頭。

いや、二頭。


鎧の擦れる音。


(……王国兵だ)


ざわめきが、

一気に広がる。


ローディス王国の紋章。

くすんだ色。


だが――

本物だ。


兵は、

四人。


多くはない。


「……魔獣の件で来た」


先頭の男が、

淡々と言う。


「被害は?」


「……今のところ、

ありません」


父が、

前に出る。


兵は、

頷くだけ。


安心の色は、

ない。


「森には、

入ったか?」


「……いいえ」


「正解だ」


その言葉に、

わずかに、

緊張が走る。


正解――

ということは。


「……出る可能性が、

あるということですか」


父の問い。


兵は、

一瞬だけ、

言葉を選んだ。


「……高くはない」


「だが、

ゼロでもない」


(……やはり)


兵は、

村を見回す。


家の数。

人の数。


――視線が、

わしをかすめた。


(……見られる)


だが――

何も言われない。


(……まだ、

“普通”の範囲だ)


兵の一人が、

低く言う。


「……辺境は、

後回しだ」


聞こえた者だけが、

聞いた言葉。


だが――

意味は、

全員に伝わった。


兵は、

森の方角を確認し、

簡単な印を残す。


「……異常があれば、

合図を上げろ」


合図。


来るかどうかは、

別として。


昼過ぎ。


兵は、

村を出た。


助けは、

残らない。


安心も、

残らない。


だが――

“確認された”という事実が、

残った。


(……もう、

知られている)


それは――

守られる可能性であり、

切り捨てられる可能性でもある。


夜。


父は、

いつもより、

遅くまで起きていた。


母は、

黙って、

湯を沸かす。


わしは、

布団の中で、

天井を見る。


(……王国は、

味方じゃない)


だが――

敵でもない。


それが、

一番厄介だ。


ローディス王国領の辺境、

ミルネ村。


王国は、

確かに、

ここを見た。


そして――

“問題が起きるかどうか”を、

待つ側に回った。


少年は、

静かに理解する。


世界は、

助ける前に、

まず“見極める”。


それが――

大人の世界なのだと。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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