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第24話 村から、外へ

連続投稿です。

23話からお読みください。


その話は、

朝の集まりで出た。


「……北の村に、

行くことにした」


言ったのは、

村の若い男――レグだった。


畑仕事は真面目。

力もある。


だが――

家族はいない。


「このままじゃ、

先が見えねえ」


言葉は、

率直だった。


誰も、

責めない。


ミルネ村では、

“出る”という選択も、

生き方の一つだ。


「……危ないぞ」


年長の男が言う。


「分かってる」


レグは、

笑った。


「だから、

行く」


(……逃げじゃないな)


わしは、

その表情を見て思った。


これは――

“選んだ顔”だ。


準備は、

早かった。


大した荷物はない。


塩と、

乾いたパン。

古い短剣。


行商人の話を、

信じたのだろう。


「王国の兵が、

来てるって」


「……なら、

まだマシだ」


村の入口で、

皆が見送る。


母が、

少し不安そうに言った。


「……戻ってくるの?」


レグは、

少し考えてから答えた。


「……分からねえ」


正直な答え。


それで、

十分だった。


出発の前。


レグは、

わしの前に、

しゃがみ込んだ。


「お前、

大きくなったら、

外、行くか?」


突然の問い。


(……どうだろうな)


「……わからない」


そう答えると、

レグは笑った。


「そうだよな」


頭を、

軽く撫でる。


「分からねえってのは、

まだ、選べるってことだ」


(……なるほど)


その言葉は、

胸に残った。


レグは、

手を振り、

歩き出す。


背中は、

まっすぐだ。


村の外へ。

森とは反対の道。


やがて、

小さくなって、

見えなくなった。


(……外に出る、

ということ)


強さだけでは、

足りない。


覚悟。

タイミング。

そして――

理由。


夜。


一人、

畑の端に立つ。


風が、

通り過ぎる。


(……わしは、

まだここだ)


今は、

この村に、

理由がある。


だが――

レグの背中は、

確かに、

道を示した。


ローディス王国領の辺境、

ミルネ村で、

一人の若者が、

外へ出た。


それは、

誰にも知られない旅立ち。


だが――

幼い一人には、

確かな“未来の選択肢”として、

刻まれていた。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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