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第101話 子ども枠の外側

連続投稿です。

100話からお読みください。


朝。


ギルドに入ると、

いつもより受付の前が静かだった。


掲示板は、

すでに何枚か剥がされている。


(……遅くはない)


いつも通りの時間。

いつも通りの動き。


だが――

一つだけ、違った。


受付の女が、

こちらを見るのが早い。


「……トア」


名を呼ばれる。


それだけで、

周囲の視線が一瞬、動いた。


(……あ)


今までは、

呼ばれるのは順番が来てからだった。


今日は違う。


依頼書を出す前に、

“存在を把握されている”。


受付は、紙を一枚取り出す。


掲示板には、まだ貼られていない紙。


「今朝、追加で来たやつだ」


内容は短い。


・町外縁

・人目あり

・確認と報告

・半日

・銅貨四枚


危険は低い。

だが――

“完全な雑用”でもない。


(……様子見、か)


「やるか?」


断っても、問題はない言い方。


だが――

“任せる”という前提で聞かれている。


「……やります」


即答。


受付は頷き、

依頼書を差し出した。


「署名は、いつも通りでいい」


その“いつも通り”が、

少し前より、重い。


周囲では、

別の登録者が掲示板を見ている。


「……あれ、先に回されたのか」


誰かが、小さく言った。


不満ではない。

ただの確認だ。


(……そういう扱いか)


外へ出る。


依頼は、問題なく終わる。


確認。

記録。

報告。


余計なことはしない。


夕方。


ギルドに戻ると、

受付は一度だけ、紙を見直した。


「……問題なし」


銅貨が四枚、置かれる。


だが――

今日は、それだけじゃなかった。


「しばらく、同じ系統を回す」


「遠出は、まだだ」


「だが――」


一拍。


「“子ども向け”は外す」


言葉は淡々としている。


評価でも、期待でもない。


分類の変更だ。


「……分かりました」


それで十分だった。


外へ出る。


夕方の風。


(……信用って、こうやって変わるんだな)


褒められない。

目立たない。


ただ、

“任せて問題ない側”に、

静かに移される。


ローディス王国領、オーレムの町。


少年はまだ、

強くも、有名でもない。


だが――

ギルドの中で、

「扱い」だけは、確かに一段変わっていた。


それは、

戦わずに積み上げた成果だった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

小さな選択の積み重ねを意識して書いています。

何か感じた点があれば、感想で教えていただけると嬉しいです。

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