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老武術家の最期
初めて作品を書きます。
異世界転生、成り上がり譚ではございますが、
自分が読みたい物語を、長編で
じっくりと書いていければと考えています。
お付き合い頂けると幸いです。
――満足のいく人生だった。
わしは、生涯を武に捧げた。
拳を磨き、技を研ぎ、強者と相対することに喜びを見出してきた。
老いてからは孤児院を立ち上げ、
行き場のない子どもたちに飯と寝床、そして武を教えた。
己より優れた才能を持つ者が育っていく姿を見るのは、
何よりも誇らしかった。
「先生、ありがとうございました」
最期に聞いたのは、
巣立っていった弟子たちの泣き声だった。
目を閉じる。
体は動かず、呼吸も浅い。
だが、心は不思議と穏やかだった。
――悔いはない。
そう思った瞬間、
意識は静かに闇へと沈んでいった。




