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第二話「穢れし者」

はじめまして、宵月の兎です。

この作品を読んでくださってありがとうございます。

※暴力描写があります。


ゆっくり更新ですが最後まで頑張ります。

「—あなた……な——て――!」


微かに、声が聞こえる。


――なにもお、うるさいなぁ……


とにかく身体が重くて、寒くて、なんだか酷く眠い。 


「穢らわしい――このバケモノめっ! お前など産まなければ……わたくしは――!」


――あれ? これ、話しかけられてるの私、か……な?


声に応えようと、重たい瞼を持ち上げようとしたその瞬間――


――バシンッ!!!


「――っ!? 」


突然の衝撃だった。


 何か金属の棒のような板のような物で左頬を力いっぱい殴られたようだ。 


 激しい痛みと衝撃で、脳が揺れ意識が飛びそうになる。 しかも、殴られた勢いでバルコニーの柵まで吹き飛んでしまい鉄策に背中も強打してしまった。 

『ゴキッ』っと嫌な音が鳴ったと同時に背中にも激痛が走ったことで、奇しくも意識を繋ぎ止めることが出来た。


 あまりにも理不尽な暴力。 痛みや恐怖よりも先に怒りが沸き上がる。


――ふっざけんな!


 怒りが熱い炎のようなエネルギーとなって、体の中で暴れ回っている。 体内で荒れ狂う『熱』をそのままに、声のする方を仰ぎ見ると――


「――えっ?」


思わず間抜けな声が出てしまった。 


 激しい衝撃と痛みで目覚めたつもりが、まだ夢を見ているのだろうか……? 視覚と聴覚そして今最も仕事をしている痛覚からの情報を脳内で処理しきれず、何度も瞬きをしてしまった。


――今見えてるのって……え? 


荒れ狂っていた体内の熱が、わずかに落ち着きを見せる程度に動揺している。


――これって……一体いつ? いやまず、どこ?

 う~ん、いや、 そもそも誰?


 私は、明らかに現代ではないと思われる石作りの狭くて殺風景な部屋の、今にも崩れそうなバルコニーの錆び付いた柵に身体をもたれさせながらなんとか立っている。 

 私は、『目覚める前』から、怒り狂う女vs自分という謎の修羅場に直面していたようだ。


私の瞳が、とうとう『その女』を捉える。


「――っ! その瞳をこちらに向けるなと何度言えばわかる! この穢らわしい悪魔!!」


――いやいや! もお、誰ぇ!?

  このおっかないおばさんっ、すっごいキレてる! 


 私はその女を視界から外さないよう注意しながら、周囲を見渡す。

 

 体中が痛みで悲鳴を上げる中、なんとか自分の置かれた状況を把握し、ようやく意識がはっきりしてきていた。 


 最も、状況を把握したとは言っても、絶体絶命のピンチであること以外の詳細は一旦考えないように思考を無理やり切り替えたと言った方が正しいのだが。


 目の前には、こちらの事情などお構いなしで激しく怒り狂う、三十代後半と思しき豪奢なドレスと、

ギラギラ宝石が輝くジュエリーで着飾った、嘘みたいにド迫力の貴婦人が仁王立ちしている。


 その手に持っている、私を殴った凶器と思しき金属製の扇子で口元を隠し、視線で射殺そうとしているかと思うほどの眼光でこちらを睨みつけ、全身から殺気を放っている。 


――まてまて、どんだけ憎まれてんの私! 身に覚えないけど!


「お前のような『穢れ』を産んだせいで、わたくしがどんな思いをしているか! 何度殺そうとしてもしぶとく生き残って、気味が悪い! ヴァネッサ! 早く始末なさい!」


「はい、奥様」


 私は、警戒しながらもさっと周囲を観察した。


 唾を撒き散らしながら喚きちらし、不穏な言葉を叫んでいる女を視界に捉えた瞬間、事態が動いた。


 怒り狂う女の後ろに、影のように控えていたのであろうお仕着せを纏った女が、瞬きよりも早いスピードで突然私の目の前に迫ってきた--


最後まで読んでくださって、ありがとうございます。少しずつ物語が動き始めますので、次話もお付き合いいただけたら嬉しいです。

感想はいつでも大歓迎です。


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