第十八「農業改革」
はじめまして、宵月の兎です。
この作品を読んでくださってありがとうございます。
楽しんでいただけますと幸いです。
ゆっくり更新ですが最後まで頑張ります。
つるんと丸っこいフォルムを思い浮かべながら、片手を地面に向けて唱えて、ミニチュア版のゴーレムを2体作り出してみた。
(--か、かわいーっ!)
私と同じくらいの身長の、白くて丸いマシュマロみたいなゴーレムが完成した。
「では、あなた達にはお仕事を手伝ってもらうわ。」
畑仕事をするように指示すると、うんうんと頷いてくるりと方向転換し、ぽてぽてと畑に向かって歩いていった。
先ほど土魔法で耕した新たな畑に畝をつくらせる。
可愛いうえに、スムーズに命令に従ってくれるので大助かりだ。
ふと、夢中でスマート農業を実現していく私の耳に、微かな囁き声が聴こえてきた。
「まぁ、やっぱり素敵!」
「美しい魔力の輝きだ」
「ワタシもお手伝いしたぁい!」
ふわっと風に乗って花の香りが鼻腔をくすぐり、微かに小さい鈴の音の様な声が聞こえた気がして、周囲をぐるっと見回すが、私以外誰もいない。
(--すごい既視感。 これってやっぱり……?)
ふと、周囲を見渡していると、少し離れた所にこんもりと積み上がった何かを見つけて近づいてみる。 ラズベリーの様な木の実やきのこ、トマトやブロッコリーによく似た野菜から、カボチャの苗や種芋にも食用にも出来そうな芋類など、前世で見た様な野菜の苗が、蔦を編んで作った様な大きな籠いっぱいに、いくつも積み上がっていた。
「え? これは一体?」
しばし呆然としていると、マリーが道具を手に戻ってきた。
「え? お、お嬢様こちらは?」
「わたくしにもさっぱり分からないのだけれど、気づいたらこんなに食べ物や野菜の苗が置いてあったの。 その様子だと、マリーが用意してくれた訳ではなさそうね」
不可思議な現象を共有したくてマリーに同意を求める視線を送ると、マリーは畑を凝視していた。
「……あ。」
「お嬢様? あのゴーレムは?」
ジト目で圧をかけてくるマリーに苦笑しながらも、私は正直に申告した。
「な、なんとなぁく……畑仕事をしてくれるお人形がいたら便利なのになぁって思ってイメージしたら、あれが生まれたの。 初めて魔術を使ったにしては上出来ではないかしら?」
マリーは、一緒ポカンとした表情でフリーズしていた。
(お嬢様には土属性の魔力適正が……? いやでも、七歳でここまで…? )
「お嬢様? 他に隠していることはございませんか? 白状するなら今のうちでございますよ?」
口元は笑っているが目が全然笑っていない。
(--こ、こ、コワイ!!)
「え、えーと……たぶん、なのだけど『鑑定』が使えそう……です。」
テヘっといった感じで白状したら、マリーが一瞬遠い目をして私の両肩をガシッと掴んでくる。
「いつからですか? いつそんなスキルを? 『鑑定』は、宮廷魔術師でもなかなか会得できないスキルとして有名なのですよ? 」
ゆっさゆっさと揺さぶられ、ガクガクと頭を振りながら(--ふぅん、めちゃくちゃレアなスキルだという事ねぇ)と内心でほくそ笑みつつマリーに言った。
「という事は、私のスキルがバレる事は滅多にないという事、よね? よかったわ」
片方の人差し指をアゴにちょんと当てながら、へらりと笑って言った私に対し、マリーは、今度は白目を剥いて動きを止めた。
しかしすぐにクワッと目を見開き、さらに私をガクガクと揺すりながら「お嬢様! あなた様は、まだたったの七歳なのですよ! なのに、なのに! あぁ、わたくしはこの先一体どうお守りしていけば--」
マリーの悲痛な叫びが、ノクターンの森に響き渡った--
最後まで読んでくださって、ありがとうございます。少しずつ物語が動き始めます。
次話もお付き合いいただけたら嬉しいです。
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