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第十七「わたし流?」

はじめまして、宵月の兎です。

この作品を読んでくださってありがとうございます。 

楽しんでいただけますと幸いです。

ゆっくり更新ですが最後まで頑張ります。



「そ、そうなのね。 ちなみに、妹は光属性と言っていたけれど、私はすでに魔力鑑定されているのかしら?」


 恐る恐る聞いてみたが、マリーの表情が曇るのを見て嫌な予感がしてきた。


「お嬢様がお生まれになった時のことをお話しするには、まずこの国に伝わる言い伝えをお話ししなければなりません」


 真剣な表情でマリーは話し始めた。


 大昔、この王国には精霊信仰があった。 人々は精霊と友愛を結び、長く平和な時代が続いた。 

 しかし、ある時代に現れた一人の冒険者により、その平和は打ち砕かれた。 その者は、伝説の竜を従え、宵闇のごとき漆黒の髪に星屑が煌めく黄金の瞳をもつと言われ、王国を混乱と恐怖に陥れた。古代魔法を使って精霊を殺し、竜を操って民を蹂躙する悪魔と恐れられ、王国全土を恐怖のどん底に陥れた。


 しかし、国を滅ぼそうとしたその者を、国王が撃ち倒し、突如として現れた聖女の力により、竜を湖の底に封印したと言われているのだそうだ。 ただ、古竜を封印する際に王族が呪いを受けたせいで、二度とこのヴァルムント王国に精霊は存在しなくなった。


「--と言うのが、この国に伝わる言い伝えでございます。 ですので…お嬢様の容姿がこの言い伝えに出てくる『悪魔』と同じであったことと、お生まれになってすぐ、黄金の瞳が見開かれ、そこに星屑と漆黒の炎が見えたとの事で、闇の属性持ちと決めつけられ、今この様に塔に閉じ込められたのでございます。 ですので、正式な鑑定はされておりません」


 ちなみに、鑑定をするには生後六ヶ月以降に神殿に行き、魔道具に魔力を流す事で判明するとの事。 生まれてすぐには魔力が安定せず、鑑定出来ないのだそうだ。


「じゃあ、私の本当の魔力適正は今のところ誰にも分からないって事ね? ちなみに、個人が鑑定を出来るスキルなどは存在しないの?」


 その伝説の真意は不明だが、生まれてすぐ塔に閉じ込められたおかげで、このチート能力を誰にも気づかれずにいられたのだから、ジアの孤独は無駄では無かった。 もし公爵家や王家にバレていたら、とんでもない目に遭っていた可能性の方が大きい。


「鑑定スキルでございますか……う~ん、少なくともわたくしは聞いた事がございませんね。 そもそも、なぜ幼いお嬢様が『スキル』などと言うお言葉をご存知なのでしょうか? まだ魔術をお教えした事は無かったはずですが……」


 マリーが、疑いの目を向けてきた。 しかし、この言い訳はすでに考え済だ。


「塔にある古い本で見たからよ。 この塔にある本の半分以上が魔術書で、私はそのほとんどを読んでしまっているのだから」


 ジアは本当に勤勉である。 しかも、この塔にある本の内容は全部頭に入っていて、おそらく、スキルにあった星屑の叡智により、自動的に検索され頭に知識が浮かんでくるのだ。


(--これ、めちゃくちゃ便利!)



 『栞』の魂が少しずつジアの身体に馴染んできているのを感じる。 そのおかげで、スキルを使いやすくなっている様だ。


 「私は国家レベルで厄介者という事は分かったわ。 それより、今はこの畑よ。 これからは、2人でお世話できるのだし、もう少し畑を広げて本で得た知識を色々試したいわ! 」



 マリーは納得できない様だが、なんとか押し切ったので、渋々頭を切り替えてくれた様だ。


 「見たところ、土に栄養が足りないのではないかしら? 家畜の糞や貝殻の粉末を土に混ぜた事はある?」


 前世の記憶にあるより、土の色が薄い気がしたのだ。


「家畜の糞ですか? えぇ、確かに庭師のトニーに聞いて一度混ぜ込んでもらった事がございます。 しかし、貝殻の粉末は試した事がございませんね。」


 マリーも試行錯誤していたようだ。 


「あと、同じ場所で同じ作物を何度も育てると、土が痩せてなかなか作物が育ちにくくなると本で読んだ記憶があるわ」


 これは、いわゆる『連作障害』ではないだろうか? これだけ丁寧に管理して、堆肥まで入れているのに作物の育ちが悪いというのなら、これが当てはまるのではないかと考えた。


「まぁ! そうなのですか? 確かに、毎回同じ場所に植えてしまっておりました……」


 マリーがまたまたガックリと肩を落とした。一人で試行錯誤していたのだから無理もない。


 私は励ます様にマリーの手を握った。



「それでも、ここまでしっかり管理が行き届いているのは素晴らしいわ! 今食べ頃の野菜を収穫して、新たに苗を植える準備をしてしまいましょう! 道具を持ってきてくれるかしら?」


 マリーは、気を取り直した様に頷き「すぐに戻るので、この場から絶対に動かない様に」と私に釘を刺してから塔まで道具を取りに早足で戻って行った。


(--さぁて、始めますか!)



 マリーが戻る前に色々やることをやってしまわなければと、私は頭の中で星屑の叡智に問い合わせる。


(--前世とこの世界にある食べ物の名前は同じ? この畑にぴったりの作物は?)


 すぐに頭の中に知識が溢れてくる。 どうやら、植物や作物の名前は大体同じようで、例えば人参や大根、ジャガイモなど、ほとんどのものは共通していた。


 続いて、土魔法で畑を広げられるか試してみた。


(--うわぁ、サクサク耕せる!) 


 クワなどの道具を使わなくても、魔法だけでみるみる畑の大きさが倍になった。 ここで、土属性の定番であるゴーレムを作れるか試してみる事にした。 もしゴーレムに畑仕事を任せられたら、マリーの負担が減ると考えたのだ。


(ゴーレムかぁ……。 やっぱり、どうしても『アレ』が真っ先に浮かんじゃうね )


 前世でゴーレムと言えば、やはり天空の城にいるあの可哀想なロボットを連想してしまうのが日本人というものだろう。 


……だがしかし! 私は一味違うのだ。


なぜなら、丸くて可愛いものが大好きだから!


 前世では、いつも無表情で先輩からも後輩からも『顔が怖い』と言われていた私だったのが、本当は可愛いものや美しいものが大好きな普通の女の子だったのだ。


(今世は好きにやらせてもらうんだから!! )


最後まで読んでくださって、ありがとうございます。少しずつ物語が動き始めます。

次話もお付き合いいただけたら嬉しいです。

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