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第十六話「憧れと好奇心のその先」

はじめまして、宵月の兎です。

この作品を読んでくださってありがとうございます。 

楽しんでいただけますと幸いです。

ゆっくり更新ですが最後まで頑張ります。



「マリー! もしかしてあれがマリーの畑かしら? 」


 ノクターンの森の手前には細い小川が流れており、その手前の一角にマリーの畑を見つけた。


 一見、花壇かな?と思ってしまう様な小さな畑であるが、綺麗に手入れされ、畝に沿って植えられた様々な野菜たちは、瑞々しい葉を伸ばして育っていた。


「すごいわマリー! なんて立派な畑なのかしら」


思わず感動で手を叩いて喜んでしまった私に、マリーは慌てて言った。


「お、お嬢様! 立派などと大袈裟です! あまり大きく育たなくて…もう少し畑を広げたいとは思っているのですが、一人で管理するのはなかなか難しく」


 頬に手を当てながら、悩ましげに語るマリーだったが、初心者にしては上出来すぎる畑を目の前にして、私はテンション爆上がりである。 何しろ、前世の私は農家の娘だったのだ。 


 ここでようやく、この世界で目覚めてからずっと考えていた事を実行に移す時が来たようだ。 


『予感』のような曖昧な感覚ではあったのだが、

自分にはいわゆる『転生チート』的な能力があるだろうなと確信をもっていた私は、いよいよあの言葉を唱えてみることにした。

 

見た目は子供、中身はJKの私なので、常識と厨二な好奇心がせめぎ合い、なかなか勇気が出なかった。


この期に及んでも、

『やっぱり、声に出すのは色々な意味でリスキーすぎる』と、モジモジするもう一人の自分を奮い立たせ、頭の中で唱えることにする。 


目を閉じて、具体的にイメージを固めて唱える――


(――ステータスオープン!)


『フォン』と軽い音を頭の中に感じて、恐る恐る目を開けてみる。


 目の前には、アニメやゲームでお馴染みの、半透明のステータスボードが展開されていた。


(――ほ、ほんとに出たぁーー!!)


 思わずガッツポーズをかましてしまい、マリーが怪訝な顔で私を見つめている。


(――ハッ! おっといけない!)



「ま、マリー? ど、どどどうかした?」


「いえ、お嬢様の様子が急におかしくなったので」


 挙動不審な私に、訝しむように見つめてくるマリーを見て、私は確信した。


(この反応……? そうか、マリーには見えてないんだ!)


 これは嬉しい発見だ。


 マリーに見えないと言うことは、他の人にも見えていないと言う事。 そもそも、この世界の人々が皆ステータスを見れるかは定かでないが『他人のステータスを見ることは出来ない』と分かっただけでも儲け物だ。 自分を守りやすくなる。


(--どれどれ? 私のステータスはどうなってるかなぁ?)


 マリーにバレないよう、ざっと見ただけだかとんでもない事実が分かってしまった。


▼オーレジア・フォン・デ・シュヴァルツェンベルク

【種族】人族 ・♀・七歳・転生者

【ランク】不明

【魔術適正】火・水・風・土・木・雷・闇・精霊魔術・無属性魔術

【魔力値】:15000/50000(魔素供給♾️:限定解除)

【戦闘力】:150/150

【体力値】:98/300

【スキル】前世の記憶・星屑の叡智・空間掌握・植物

博士・状態異常無効・幻惑・毒耐性・鑑定・万物錬成・家政・精霊の愛し子


(--ヤバすぎ! ステータス盛りすぎ!)


 さすがの私も慌てるレベルで盛り盛りだった。


(--精霊魔術ってラノベ界隈ではかなりレアだったはずじゃない? しかも、魔力値すでに50000はずるいでしょ! 魔素供給が鍵付きってなに事っ!?)


 何より気になるのは、既に持っているスキルだ。


 色々気になるが、今大切なのは、鑑定・星屑の叡智・植物博士だろう。


 衝撃の事実の数々に驚きすぎたのと、早くスキルを試したい気持ちが最高潮に高まりすぎて、とにかく動悸が止まらないが、とりあえずマリーが心配するので一旦、意識を切り替える事にした。


「マリー、唐突な質問なのだけれど…この世界の魔術適正やスキルってどの様なものがあるのかしら?」


 一体どこまでマリーに話せるか判断するために、まず一般常識を知らなければ話にならない。 


 ちょっと面食らいながらも、マリーが教えてくれる。


「そうですねぇ。 一般的には、王侯貴族は魔力値が高く複数の適正を得る者も一定数おります。 身近な方で言いますと、お父上であるジークハルト公爵閣下は水属性と雷属性をの適正をお持ちで、魔力量も豊富である事から、この国で三本の指に入ると言われる程の魔術師でございます。」


さらにマリーが教えてくれた情報だと、前国王の時代に第一騎士団団長を務めていたので戦闘スキルもかなりのだとか。 また、母である公爵夫人のモルガーナは強い火属性の適正があり、ご実家の家系は稀少な光属性を顕現する者が多い事から、公爵に見初められ結婚したそう。 


 

「ちなみに、お嬢様の双子の妹君であるリュシアナお嬢様は光属性の適正がおありとの事にございます」


(−−へぇ~。 だから私に光属性の魔法適性がないのかな?)


「なるほどねぇ〜。 ちなみに国内で一番の魔術師は?」


「はい、それは宮廷魔術師長であり、魔術騎士団団長であり、王国で唯一のハーフエルフであらせられるアベル・フォン・ダ・アイシュヴァルツ魔術伯様でございます。」


マリーは、うっとりと憧憬のこもった表情で続ける。


「火・水・木・闇の四属性を顕現されており、現在まで数百年にも渡り魔術師として王国に仕えておられ、現代最強の魔術師として君臨されておられます。」


(--おぉう! 魔術師団長様でも四属性持ちですか……)


やばいじゃん私! 絶対にステータスがバレない様にしないと!

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。少しずつ物語が動き始めます。

次話もお付き合いいただけたら嬉しいです。

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