7話 ポイ捨て
2人はこれからの修行について考えていた。
男女で2人っきりの森の中を歩いていく。
かりんとうを食べ、お互いに顔を見合わせながら、笑っていた。
「俺の巫女よ、次は滝の修行にしようか?」
「滝……ですか」
真凛はかりんとうを食べながら空を見上げる。
その様子をまるで監視するかのようにやつは見ていた。
「冷たいですよね」
かりんとうを食べるようにつぶやく。
その時のかりんとうは甘かった。
「ああ、冷たいぞ」
言い合いをしながらも滝へと向かう。
緑が周りに囲まれている道を通り抜け、道を探していた。
「そうですよね」
真凛は少し顔をしかめると、前へと出る。
そして、くるっと振り返った。
「幻覚さんも一緒に入るんですよね?」
少し口角を上げ、微笑む。
先程まで空気がピリついていたが、今では和やかになっていた。
「俺も入るのかい?」
「そうですよ」
真凛の口元が少し緩む。
「ふふ」
そう漏らすと前へと進んでいく。
後を追う、神。
彼はニッコニコに笑っていた。
「俺も入るか」
「そのほうがいいですよ」
時折、振り返り、やつの様子を確認している。
バレないようにそっと。
「俺の巫女、ところでここは今どこだ?」
目を点にして訴えていた。
「どこでしょうね」
少し、ため息をくつ。
その時の顔は目が死んでいた。
「わからないのかい?」
「はい、わからないですね」
当たりは一面、緑に囲まれており店一つもなく夜になると真っ暗になる。
そんな、なに一つ明かりもなく電話もないその場所で2人は遭難していた。
「どうしましょうか」
真凛はポケットを漁るが中には何も入っていない。
白い服に着替えた時にポケットの中身を抜いていたのを忘れていたのだ。
「どうするのだ?」
やつは聞いてくるだけで何もしていない。
ヒモ人間だった。
「考えてください」
そうは言いながらも真凛はまだポケットを漁っている。
「何かあるのかい?」
「いえ、かりんとうしかありませんよ」
かりんとうの破片を取り出す。
それは意外と大きく、やつはびっくりしていた。
「デカいな」
指1本分の大きさのかけらをじっと見つめ、食べようとしていた。
「腐ってますよ……多分」
いつのかわからない。
それを真凛はまたポケットの中へと直す。
「捨てないのかい?」
「ポイ捨てになるので」
やつはじーっと見つめ、聞いてくる。
「なんだいその……ポイなんとかは?」
「ポイ捨て、ですね……」
真凛はやつにポイ捨てを説明した。
ポイ捨てとはそこら辺に捨てることと、下手をすると犯罪になることをだ。
「な、なるほど?」
そう頷くと落ちているゴミを拾おうとする。
「幻覚さん、何してるんですか?」
落ちているゴミはただの葉っぱだった。
「それ、葉っぱですよ」
真っ赤な紅葉を拾い上げると、それを真凛に渡す。
「俺の巫女よ……あげる」
「ありがとうございます」
2人はお互い見つめ合う笑いあった。




