5話 正座
あれから2時間も正座をしていて、足がしびれているが、未だに修行は続いていた。
鳥のさえずりしか聞こえない。
真凛は一度も姿勢を崩していなかった。
「俺の巫女、次はこの神社を出るぞ」
やつはすっと立ち上がる。
着ている着物の帯がなびく。
今日は赤色を来ていた。
黒い着物に赤い帯、変な感じだ。
真凛も立ちあがる。
その拍子にすこし服がはだけた。
はだけると言っても下着はギリ見えない。
やつの鼻からは赤いものが垂れていた。
「おぉぉ……」
それは着物にまで垂れ、黒色から赤へと変わっていっていた。
帯の赤よりそっちのほうが綺麗だ。
やつは、まじまじと見て、さらに鼻血を出してる。
そこに美代子が現れ、やつを引っ叩いた。
「いっって……」
その瞬間、ばあは真凛の服を直す。
「あんた……ピンク色が見えてたよ……」
ボソッと呟いた。
(はぁ?)
真凛の顔は段々とタコのようになっていく。
それを見たやつはもっと染まっていっていた。
「み、みたんですか……幻覚さん」
震える声で聞く。
今にも真凛は恥ずかしさで逃げ出そうとしている。
「み、見てないぜ……」
鼻を手で押さえても赤いのが垂れていた。
「この……変態」
くるっと背を向ける。
真凛は気が気ではなかった。
(クソ野郎)
その間、美代子は神にビンタをし、その反動で床に赤いのが垂れる。
まるで地獄絵図であった。
「俺の巫女……す、すまなかった」
やつは頭を下げる。
珍しくニヤけていなかった。
「……」
真凛は一度も神の方を見ていない。
「別に……いいですよ」
そうは言ってもまだ後ろを向いたままだった。
「いいのか……?」
だんだんと近づいてくる。
「仕方ないですね……幻覚さん」
真凛はチラッと振り返る。
すると神と目が合った。
「目……あったな」
そう言うと段々と近づいてくる。
今度は心臓の音が聞こえた。
「そうですね……」
真凛は避けようとしなくなった。
「それじゃ、行こうか……俺の巫女」
やつは少し低い声で誘ってくる。
「行きましょうか……幻覚さん」
そうして2人は神社の外へと行くのだった。
しばらく歩いていると、近所のおばちゃんに出会った。
「おや、真凛ちゃん、散歩かい?」
「は、はい」
首を縦に振る。
おばちゃんはニコっと笑って去っていた。
「誰だ今の」
神が聞いてくる。
「近所の人ですが何か?幻覚さん」
「そうか」
さっきのことが気まずいのか神は何もしてこない。
「行きましょうか……幻覚さん」
真凛達は次の場所へと向かうのだった。