何処までも正常に壊れてる
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
恋愛経験踏んでないから、こうなるんだよ。
と、言われれば何も言えませんね。
長い付き合いになっても言えない事の一つや二つはあるものだ。それが露見したとき、人間というのは、精神的に不安定になる。自分の居場所は此処にあるか、受け入れてくれるか。そんな事を考えてしまう。
今回もそんな時だった。あんまり見せたくない見苦しい姿を見せてしまって、空気が凍る。それでも、彼女は何の気なしに抱き締めて、ただあやす様に背を摩った。
「気にしなくて、良いからね。良いも悪いも、口にしてくれて良いからね。毎日聞くのは堪えるけど偶になら、無理にとも言わないけど、貴方の気が向いたら、何でも言ってくれて良いからね。
貴方とはお友達だからね」
ただそう言って、落ち着くまでそうしてくれた。
悩みや愚痴を聞いて欲しい時には、誰でもない。彼女の顔が浮かんだ。肯定も否定もせず、ただ何でもない顔で『そうなのね』という言葉が聞きたくなる。
けれどもふと、こんな思いが脳裏を過ぎった。
――本当に苦しくないのだろうか。実は無理して抱えては居ないだろうか、と。
だから会った時に聞いたのだ本当にお前の精神は大丈夫なのかと。
「貴方とはお友達だから受け入れられる。歯止めが効く。でも貴方が恋人だったら、私はただの幼子に戻ってしまう。だから、気にしなくて良いよ」
そう不可思議な言葉を残した。怪訝な顔をする俺に対して、彼女は笑う。
「本気で気に入らなかったら、前からでも後ろからでも刺す準備するから、そこは心配しないでね。でもそれ以外ならば、ある程度は構わないよ。貴方はお友達だからね」
この物騒な台詞を生涯忘れる事は出来ないだろう。
ある時、彼女の友達と会うことになった。彼女とは真反対の、やや男勝りな女傑だった。良いも悪いも口に出す性格だと踏んだ故、彼女の問を投げ掛ける。
「彼女の事がよく分からない」
そう投げ掛けたとき、友人は口を真一文字に引き結んでから、意を決した様に口を開く。
「一見すると、何処までも正常、けれども何処までも壊れている。
あの子にとって、友人こそが恋人なんだ。だから本気で嫌な事以外は受け入れてくれる。けれども恋人というのは、自分の写鏡。全て自分の思想を図って欲しいし、思い通りに動いて欲しい。だから恋人の方が受け入れられる範囲が非常に狭い。
忠告しとくけど、あの子を恋人にしたがるのはお勧めしないよ。君を殺してしまうから」
――本気で嫌なら前からでも後ろからでも刺す準備するから。
という彼女の発言が頭を過ぎる。あれを、恐らく何の気なしにやりかねない。そんな正常で壊れた存在。
友達だから出来ても、恋人だから出来ないのが多いんですよ。歯止めの効き方が違うので。
お友達相手ならば、九割くらい相手に合わせる事が可能です。それでも全然苦ではない相手をお友達です。
苦だったら即刻離れます。
でも恋人の場合はそうじゃないんですよ。
九割近く私に合わせて欲しいんです。
此処が真反対なので、『恋人、彼氏を望む事がそもそもおこがましい』という判断になってます。
余りに見ず知らずの人に弱みを見せない方がいい。
というのもちょっとこの理論が入ってるんです。
人の関係によって、許容量が違うので、無闇矢鱈に弱音を吐きまくるのはまぁ危険。
しっぺ返しが怖いので、辞めた方が良い。
そんな話でした。