17歳のオーディション
私は、歌手を夢見る17歳 赤瀬 椿。
歌手になりたいと思ったのは、7歳の頃から。
お母さんに連れられ初めてある歌手のコンサートに行った。
高崎咲
テレビで見ない日なんてなく歌唱力、ルックス、スタイル、センス全てが完璧な彼女。チケットもなかなか取れない中で、なんとか手に入れた
そこで見た感動は、今でも忘れられない。大勢の人の中でスポットライトが
彼女を照らしていた。 彼女の歌声が近くで聞こえる。思わず息を呑んだ。
7歳の私には、あまりにも大きな感動で言葉にできなかった。
でも私は、その時「歌手になりたい、、、、、、」と思った。
「ねぇねぇ!お母さん!」
「なに?」
「わたし大きくなったら歌手になりたい!」
「椿ならきっとなれる!お母さんが応援するわね!」
お母さんは、私を抱っこしてぎゅっと抱きしめてくれた。
歌で人を幸せにしたい!人に感動を与えたい!そして私も舞台に立って光を浴びて多くのファンの中で歌いたい!
いつしか私の日常には、いつも歌があった。 歌を歌う事が私の生活の一部でなくてはならないものだった。
家の中でも 外を歩いてる時でも お風呂の時も 寝る前も
私は、歌が大好きだ。
そして、月日が流れ私は、17歳になった。今年で受験を控える中、私は勉強に専念しながらも誕生日プレゼントでもらったギターを弾きながら歌っていた時、
「コンコン」と部屋をノックをする音が聞こえた。
「何?」
「椿ちゃん、ちょっとお話ししても大丈夫?」お母さんの声が聞こえた。
「いいけど、、、、、どうしたの?」
お母さんが部屋に入ってきた。
私は、ギターをしまった。
お母さんは、なぜかよそよそしかった。
「あのね、、、椿ちゃん」
「何(笑)そんな言いにくい事なの?」
「これからの事なんだけど」
「ん?うん」
「椿ちゃんもう17歳で受験生でしょ?」
「うん」
「椿ちゃんが歌を歌うことが好きなことはすごく分かるよ。でもねお母さんの気持ちは、歌じゃなくて大学に目を向けて欲しいの」
「えっ?」
私は、思わず声が漏れた。
「もう歌をやめろってこと?」
「そういうことじゃなくて」
「お母さんは、、私にもう歌を歌ってほしくないの?」
「ちがっ」
「私だって大学行くために勉強も頑張ってるのに、、、歌を歌うなっていうの!そんなの嫌よ!」
「違う!歌で食っていくなんて難しいから心配なのよ私は、椿ちゃんにはもっと歌以外にも視野を広げて欲しいの!歌手になる夢もいいけどでも歌以外で」
「もういい!お母さんなんて嫌い!」
「椿!どこにいくの!」
私はスマホを持って家から駆け出した。外は、暗くて寒い
お母さんは、いつも私の夢を応援してくれると思ってた。
誰よりも励ましてくれて歌うことが好きだってことは誰よりも知ってたはずなのにお母さんに歌をやめろなんて言われたことなかったのに
私は、涙を拭って走った。
ブランコに座り夜風に当たりながら考えていた。
(このまま音楽の道を諦めるべき?何年も頑張ってきたのに。。。。これで終わりなの?そんなの嫌、、、でも大学にも行きたいし親の心配もかけたくないでも歌手になっても売れるわけじゃないしどうしたらいいんだろう)
私は、また涙が溢れてきて
暗い公園で私は声を殺して泣いた。
家にも帰れないし「私どうしたらいいんだろ、、、、、、」
「大丈夫?」
帽子を深く被り全身の黒の服ですらりと背の高い女性が立っていた
「あっえっとこれは、、、、、」
「何かあったの?これ使う?」
女性は、バックからハンカチを出してくれた
「ありがとうございます、、、、」
「私でよければ話聞こうか?何か気分が晴れると思うんだけど」
「じゃお言葉に甘えて、、、、」
私は、今日あったことを話した。
昔から歌を歌うのが好きなこと、歌を仕事にしたいけど親に反対されたこと
でも歌が好きだし諦めたくないでも歌で食っていくのは厳しいから
歌を諦めて大学に行って普通の人生を歩むか 大学を諦めて歌に専念して先の見えない人生を歩むか、、、、
お姉さんは、真剣に初めて会ったばかりの私の話を聞いてくれた。
「なるほどね、、、、お母さんの気持ちをわかるしでも夢は諦めたくないよね、、、あなたの話を聞いてると私の小さい頃を見てるみたいでなんだか同情するわ 気持ちは、痛いぐらいよくわかる」
「お姉さんもそうだったんですね、、、、、」
「私も夢があってね。でもまだ高校生で親の手を借りないと生きていけなかったでもねそれでも私は、夢を叶えられたわだからあなたも諦めないで」
「はい、、、、、諦めません!でも、、、まだ不安なんです。自分昔から歌を歌うのが好きで歌を歌っていたけど上手いのかどうかもわからないし、、、、」
「じゃ今から一曲歌って見せてよ」
「そんな私まだ人前で歌ったことないですし!下手かもしれないし!」
「大丈夫!変なんて思わないからあなたの実力を見せてよ」
「わ、わかりました。じゃ一番好きな曲歌います」
「おっ!楽しみ!」
私は、立ち上がってお姉さんの前に立った。
私がずっと好きな曲。「高崎咲の愛の花を歌います」お姉さんは、一瞬驚いた顔を見せたがすぐ真剣な顔になった。
「ららら〜暗い道で二人歩いてゆく。この愛は、冷たすぎて」
暗い公園に私の歌声が響く。
観客は、一人 でも私は、目を瞑って歌う。
「あ〜あなたに会いたい〜今すぐに〜あなたの腕の中へ帰りたい、、、、それが私のしあわせ」
私は、スポットライトを当てた一人の歌手のように大勢のファンの中大きな会場で歌うように感情を込めて歌った。
パチパチパチパチ
お姉さんが、拍手をしてくれた
「すごいわ!こんな歌に感動したの久しぶりよ!まだ女子高生なのに!なんて素敵な歌声なの!」
「そんな、、、ありがとうございます!まだまだですけど褒めてもらえて嬉しいです。」
「あなたは、原石よ!絶対に歌手になれるわ!いや歌手にならなくちゃ!」
すると、お姉さんは、バックの中からチラシを渡してくれた
「来週この事務所でオーディションがあるの。ここに出てみてあなたなら絶対に受かるわ!」
「ありがとうございます!」
チラシの内容は、歌のオーディションだった。
私は、新しいチャンスを掴んだと思った。
いつの間にか時間が23時になっていた。お姉さんとは、その後別れて
私は、急いで家に走った。気持ちは、嬉しさで溢れていた。
オーディションは、書類審査から始める。
書類審査に自分の歌を録音して事務所にまず送る。
それから合格が来たら第二次審査へと進む
第二次審査は、審査員の前で歌を披露する。
初めてのオーディション。私は、自信はあったし全身全霊をかけて挑むしかないと思えた。もし受からなかったら大学の受験勉強に進むしかない。
公園であったお姉さんのために私の力を信じてくれる人のために
まず課題曲を決める。
私は、いつも歌ってる一番好きな曲を課題曲に決めた。
高瀬咲の曲「愛の花」
「ららら〜暗い道で二人歩いてゆく。この愛は、冷たすぎて」
何度もスマホに録音して練習をしてオーディションに送った。結果は、7月の夏。
それまでに私は、受験勉強に励んだ。
お母さんは、このオーディションを応援してくれた。
お母さんの親孝行のために私は、このオーディションに命をかけた。
オーディション結果当日。
結果は、メールで送られてくる。
今日の23時59分までに合格の通知が来なければ私は、大学の勉強に専念する
私は、神社に向かって神頼みを始た。
(神様 どうかオーディションに合格できますように歌手になれますように)
夜空に願いを込めて私は、強く強く願った。
私は、家に帰ってお母さんと一緒に夜ご飯を食べた。
「受かるといいね」お母さんが言った。
「うん。受かって欲しいな」
「椿なら受かるよ。あなたの歌は、世界一よ」
お母さんの言葉がジーンとくる。
「ありがとう。」
私は、夜ご飯を食べてそのままお風呂に行きパジャマに着替えてスマホを確認した。
すでに合否通知のメールが送られていた。
赤瀬 椿様。こんにちは。
○○株式会社の○○です。
ご応募誠にありがとうございます。
○○様の応募書類にてご経験などを拝見させて頂きました。
一次審査の結果が出ましたのでご連絡いたします。
厳正な選考の結果、
一次審査通過となり二次審査に進んでいただくことが決定いたしました。
今後とも何卒よろしくお願いします。
〇〇事務所より
(私が受かった? 嘘!受かった!これ夢じゃないよね!やったーーー!)
「お母さん!私1次審査受かったよ!やったー!2次審査に行けるよ!!」
「本当に!さすが私の子!これなら2次審査も通過できるわよ!」
私は、お母さんの元へ駆け寄りぎゅっと抱きしめてもらった。
お母さんの匂いは、いつも落ち着く。私は、これからの未来絶対にうまく行きますように願った。絶対に歌手になろうと強く思った。
2次審査は、審査員の前に出て歌を披露する。審査員の心を掴めるように今日から特訓することにした。
毎日、ボイトレをして週末には、カラオケに行き高得点を狙う。
喉にいい食べ物を毎日食べて毎日腹筋を鍛えた。
今まで重ねた努力を無駄にしないように必死で本番までに歌の特訓をした。
人前で歌を歌うのが緊張しないように放課後音楽の先生にお願いをして歌を聞いてもらった。
「音程も安定してるし声も伸びやかだね。あなたいつも歌が上手いと思ってたけどここまでとは。さすが1次審査に受かるまであるわね」
「ありがとうございます!」
「でも本番まで気を抜かないようにね!頑張ってね!期待してるわ!」
「はい!」
音楽の先生から好評をもらい私は、スキップをしながら階段を降りていた
すると近くから女子3人組の話声が聞こえた。
(同じクラスの子だ、、、、バレないようにしよ〜)
自分は、早足で階段を下ろうとした瞬間
「てかさ〜知ってる?椿ちゃん歌手が夢なんだって!」
「へぇーそうなんだ。確かに音楽の授業中いつも一人大きな声で歌ってるよね」「でもそれがどうかしたの?」「なんかね今歌のオーディション受けてるらしいよ」「「まじ!」」「それも1次選考通ったらしい」「すごーい!」「もう本格的に歌手になろうとしてるんだ〜」
息を呑んだ。私の話題をだったから。
「でもさ、、、歌手なんてきっと無理だよね(笑)」
「うんうん(笑)そんなの一握りだし上手くいくわけないよね(笑)」
「あの子に歌手は無理だよ(笑)流石に」
「どうせ受かっても売れないよ」
笑い声が響く。3人組は、そのまま移動していくのが分かったが
私は、足が石のように固くなったかのように動けなかった。
今まで自分の夢を否定されたことなんかなかった。いつでも肯定してくれる人が周りにいたから。心がぽっかり穴が空いたかのように切ない気持ちになった。 心が壊れていくようだった。
それから、私は逃げるように学校から出た。
涙を我慢しながら家まで走った。家に着くとお母さんが夕ご飯を作っていた。
「おかえりー今日は、椿が好きなカレーよー」
私は、泣いてることがバレたくなくて何も言わずに自分の部屋へ走った。
「椿ー?」
お母さんが不思議そうに私を呼んでいた
私は、布団にくるまって声を聞こえないように泣いた。
誰にもバレたくなかった。こんなにも皆んなが私に期待してくれているのに今自信がなくなっているなんて。
(お母さんごめん私もう無理かも、、、)
すると、ドアがノックする音が聞こえた。
「椿?どうしたの?何かあった?音楽の先生との講評どうだった?」
お母さんが心配で様子を見にきてくれた。でも今は、何も話したくなかった。
「先生に何か言われたの?でも椿なら絶対上手くいくからねきっと大丈夫よ」
お母さんの励ましが今は、心が痛い。余計私を惨めにさせた。
(ごめんなさい。お母さん、、、、心配ばかりかけて、、、、私、、、、、、もう無理かも、、、)
私の弱音に応えるようにお母さんが話し始めた。
「お母さんね、椿が小さい頃から歌を歌ってるところ見てきたけど椿なら絶対歌手になれるって思ってる。だって心の底から歌が好きなの伝わってくるんだもの、、、、、良い?誰かに何言われたって椿の歌は、世界一よ。何かいう人は、椿の売った声をまだ知らないから言えるだけなの。聞いたら多分腰抜かしちゃんだから!それぐらい椿の歌は、価値があるのよ。元気出して一緒に2次審査まで頑張ろう!お母さんは、あなたの味方だよ!」
ドアノ向こうのお母さんの笑顔が浮かぶ。
涙が溢れてきた。お母さんだけは、いつも味方だった。
私もそれに応えなくちゃ意味がないじゃない、、、、どんなこと言われたってお母さんが味方でいてくれてる、、、、、
私は、ベットから起き上がって部屋のドアを開けた。
お母さんは、笑って私を見ていた。
「カレー食べよう。話は、その後!さっ!冷めちゃうよ」
「うん!」
私は、お母さんに抱きつきながらリビングまで向かった。
オーディション当日。
私は、ガチガチに緊張していた。2次審査の会場までお母さんに送って貰った。スタッフから自分の番号をもらい順番が来たら審査員がいる部屋に行き審査員の前で名前 年齢 歌う曲 を伝え歌を披露する。
そこには、30人ぐらいの男女が椅子に座って待っていた。皆んな少し緊張してるように思えた。
自分も手が震えてきた。緊張でお腹痛いし吐きそう。でも順番もうすぐだし、、、、
(神様。力を貸してください。絶対に成功させてみせます!だから、私に勇気をください!)
私は、祈った。
これからの事、どんな未来があっても立ち向かってみせるだからオーディションに受かって歌手になって支えてくれたお母さんに恩返しできますように
そして私の歌でたくさんの人を感動させれる歌手になれますように。
最後の神頼みとして心の底から強く願った。
「次の人ーお入りくださいー」
私の番が来た。
立ち上がって部屋に入る。審査員4人が、椅子に座り第一審査で送った私の書類を見ていた。
すると、そこに見覚えのある人がいた。すらっと背が高くて黒い帽子を被り黒い服を着た、、、、
(((((公園で話を聞いてくれたお姉さんだ!!!!)))))))))
私は、思わず声をあげそうになったが必死に堪えた。
まさかオーディションの審査員だったとは、、、、、、、、
(余計緊張する、、、、、)
スタッフの人からマイクをもらった。
「赤瀬 椿 17歳 愛の花を歌います よろしくお願いします。」
審査員の目を見てマイクを強く握りしめた。
「ららら〜暗い道で二人歩いてゆく。この愛は、冷たすぎて」
私のこの思いを歌詞にのせて精一杯歌った。ここまでチャンスをくれた人思いいつまでも支えてくれた人。浮かべながらありがとうの気持ちを込めた。
「あ〜あなたに会いたい〜今すぐに〜あなたの腕の中へ帰りたい、、、、それが私のしあわせ」
「ありがとうございました!」
パチパチと拍手が聞こえた。
お姉さんが、微笑みながら拍手をくれた。
(お姉さんも、、、、このオーディションを進めてくれなかったら今頃私は、ずっと路頭に迷っていた。お姉さん。ありがとう、、、、、)
そのまま部屋から出て会場の外に出た。
すると、お母さんが待っててくれていた。
「どうだった?上手くできた!」
「うん!今までより最高の出来だった!」
「椿なら絶対にうまくいくと思ったわ!さっ!家帰ろう!今夜は、ご馳走よ!」
2次審査が終わった疲れが出たのか家に帰ったら寝てしまっていた。
その時の夢は、たくさんのファンの中で歌を歌っている自分だった、、、、、
2次審査の結果は、12月の上旬。
私は、結果を忘れるぐらいに受験勉強に勤しんだ。
毎日放課後まで残って勉強してもし歌手になれなかったらのために頑張った。
お母さんは、気を遣ってオーディションの話はあえてしないでくれた。
結果のことばかり考えたらおかしくなりそうだから。
でも、あの時のお姉さんの顔は、どこかで見覚えがあった。
黒い帽子の奥の微笑み。どこかで見たような、、、、?
それだけが気がかりだったが受験勉強が大変でそれどころではなかった。
そして、12月の上旬。私の運命が決まる日。
結果は、1次審査と同じくメールで発表される。
私は、学校が終わって小走りで家にかえってお母さんと一緒に結果を来るのを待った。
緊張して私もお母さんも何も話さなかったが心の中では、必死に祈っていた。
メールの通知が来た。私は、固唾を呑んでメールを開いた。
赤瀬 椿様。こんにちは。
○○株式会社の○○です。
この度のオーディションのご参加いただき誠にありがとうございます。
二次審査の結果が出ましたのでご連絡いたします。
厳正な選考の結果、
オーディションの2次審査を通過いたしました。
おめでとうございます。
「受かった。」
「えっ?」
「お母さん!!!受かったよ!!!!!!!!私、歌手になったんだよ!!!」
私は、お母さんと抱き合いながら嬉し涙が出た。
「やったー!!やったよーーーー!歌手になれたんだ!!!」
お母さんも私と一緒に泣いていた。今まで大変なことがあったけどお母さんのおかげでここまで来れた。でも今からでもお母さんに恩返しができると思った。その日は、久しぶりにお母さんと外食をした。
私の大好物のカツ丼を食べた。その時の味は、格別に美味しかった。
次の日。いつものように私は、朝学校に向かっていた。
「こんにちは」
女性の声がして振り返ると、そこには、黒い服と黒い帽子を被ったあのお姉さんが立っていた。
「久しぶりです!!審査員をやってたなんて思わなかったです!でもオーディション受かってほんとよかったです!」
「いいのよ。」
すると、お姉さんが帽子を取ってにこっと微笑んだ。見えた顔は、
私が幼少期にコンサートに行った 高崎咲 だった。
「た、高崎咲さん!」
「あなたは、原石ね。見つけられてよかった。これからもきっとあなたは、
いい歌手になれるから。私が見つけたんだもの。絶対に成功できるわ!」
目の前に、憧れの高崎咲がいることに頭が追いつかなかったがこれまでの感謝を必死に伝えた。
「ありがとうございます。あの時、私すごく悩んでてもし高崎舞さんが声をかけてくれなかったら私、夢も諦めていました。私、高崎舞さんのファンでいれてよかったです。」
高崎舞さんは、微笑んで私の手を握ってくれた。
「私ねあなたの歌声を初めて聴いた時に、この子の歌には、パワーがあると思ったの。人を幸せにする。あなたが、この世界に入って人の前に立ってもらいたいと思ったの。あなたがオーディションに受かってくれて私は、あなたと同じくらい嬉しいわ。あなたに出会えてよかった。きっとすごい歌手になる。
頑張ってね」
強く握ってくれた手は、暖かくて涙が出そうになった。
私も、強く握り返して微笑んだ。
「絶対にすごい歌手になります!。」
その日から私の新しい人生が開いた。 数年後
私は、オーディションが受かって歌手になってから5年。
最初は、中々認知してもらえなくて苦労したけど今は、たくさんのファンを持てた。
そして、今年は、念願のアリーナ単独ライブを開催する。
時間は、かかったけどお母さんに私の歌う姿を見せれることが一番の親孝行だ。
そして、まだ17歳だった私を見つけ出してくれた歌手の高瀬咲さんにも感謝しきれないぐらいででも今こうやって歌を歌い続けることができていることが感謝の表しなのかもしれない。
今日は、受験生に向けてのメッセージを送る動画を撮る。
私は、カメラの前で自分の学生時代を思い出しながら喋った。
「私は、今困難な道に立っている人に言いたい。夢を否定されてもあなたたちには、ちゃんと力があるよ。支えてくれる人がいる。頑張りをわかってくれる人もいる。泣きそうな時に励ましてくれる人がいる。もし近くにいなくても私はあなたたちの味方です。だから負けないで。」
私は、カメラに向かって微笑んだ。
私は、歌が好きだ。歌うことが大好きだ。その大好きで人を笑顔にしたい。
私は、諦めない。たくさんの人の夢まで背中を押してあげれるまで
fin