【嫁が地球人の子供を拾ってきた(´・ω・`)】
※・基本、このお話は、登場人物が一人で語っているのみで、他の登場している人物が出てくることはありません。
・顔文字を使用しております。
・そういった事が苦手、又拒否反応が出る方は、ブラウザバックを推奨いたします。
元いた所へ返してきなさい(´・ω・`)
……え、酷い傷を負って、寒空の下に放り出されていた?(´・ω・`)
……傷が癒えるまで、だからね?(´・ω・`)
【数日後】
そう、許してしまったせいだろうか(´・ω・`)
傷が癒えても、地球人の子供は、今日も宇宙船の中ではしゃぎまわっている(´・ω・`)
当初の塞ぎこんでいる姿でいるよりかは、いいのだけれど(´・ω・`)
あのままだと、船や、あの子自身が危ないな(´・ω・`)
……仕方ない、注意しよう(´・ω・`)
……僕は嫁以外の誰かと話をするのは苦手だけど、これも勉強だな(´・ω・`)
……行こう(´・ω・`)
………。
……。
…。
無闇やたらにさわったら駄目だよ?(´・ω・`)
え、いや別に怒っているわけでは(´・ω・`)
……(´・ω・`)
……いいかい? 叱る、注意する、怒るは全て役割が違うんだ(´・ω・`)
“叱る”は間違ってしまったことを教え、今後行わないように(´・ω・`)
“注意する”何が正しくて、何が間違っているのか、それを理解するために(´・ω・`)
“怒る”というのは自身を守るために行うモノ(´・ω・`)
僕は、今機材が故障してしまわないよう、どんな事をしたら壊れてしまうのか、それを君に教えている(´・ω・`)
だから怒っている、というのは違うんだ(´・ω・`)
……え、難しくてよくわからない?(´・ω・`)
……そうだねぇ、確かに君は今知る事が数多くあって、次から次へ知っていくのはとても難しい(´・ω・`)
これは僕が間違っていたね、すまない(´・ω・`)
嫁にも注意されるんだよ、『あなたはもっと、相手にあわせて話をしなさい』ってさ(´・ω・`)
僕なりに、わかりやすく伝えているつもりなのだけど(´・ω・`)
いやいや、自身を変えていく、というのはとても難しい(´・ω・`)
……だから、うん、そうだね(´・ω・`)
君も僕も、まだまだ学んでいかなければいけない、というわけだな(´・ω・`)
一緒に頑張っていこうじゃないか(´・ω・`)
だから、まぁ(´・ω・`)
そのためにも、まずは泣き止んで、美味しいモノを食べて心を元気にさせよう(´・ω・`)
何を知るのも、心の健康があってこそ、だからね(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
やあ、お帰り(´・ω・`)
うん? 何か良いことがあったか、だって?(´・ω・`)
……そうだねー、うん。僕は一つ、知る事ができたよ(´・ω・`)
どんな種族であれ、子供はとても魅力があって、素晴らしい生き物だって(´・ω・`)
え、最初に言っていた事?(´・ω・`)
……わかっているさ(´・ω・`)
地球の探査のために訪れてはいるが、地球の文明はまだまだ発展途上(´・ω・`)
僕らのような存在は認知されても、交流を深めるのは早計だとね(´・ω・`)
……だから、今の時間は長く続けてはいけない、それはわかっている(´・ω・`)
けどね(´・ω・`)
だからといって、縁が生まれ、触れあい、言葉を交わす(´・ω・`)
そうしてえた絆までも、僕は否定したくない(´・ω・`)
ああ、ごめんね、君も寂しいんだってわかっている(´・ω・`)
本当に申し訳ない(´・ω・`)
そうだね、うんそうだ(´・ω・`)
彼の記憶を消して、この時間が全てなかった事になっても、僕らは覚えていよう(´・ω・`)
彼と、僕たちの交流を(´・ω・`)
この温かくて、そして切ない記憶をしっかりと刻みこもう(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
大分元気に、そしてよく笑うようになった(´・ω・`)
注意をしても、怯える事もなくなったし、よかった(´・ω・`)
あのままでは、何を言っても、正しく理解する事はできなかっただろうから(´・ω・`)
やはり、何かを知るためには、心の健康が大事なんだと再確認できたよ(´・ω・`)
……え、何だい?(´・ω・`)
……そうか、通信が来たか(´・ω・`)
……これ以上の干渉をやめろと(´・ω・`)
一応、ばれないようにしていたつもりだけど、やっぱりばれていたんだね(´・ω・`)
わかっている(´・ω・`)
いくら地球より発展した文明で育ったとしても、僕らは別に特別な存在じゃない(´・ω・`)
星の規定に背けば、どうなるかなんてわかっている(´・ω・`)
本当なら、この子とずっと一緒にいたいと願っても、それをしてしまえば、それは彼の不幸を招くだけになってしまう(´・ω・`)
僕らのわがままで、そんな悲しい結末、迎えさせたくない(´・ω・`)
だから、ね(´・ω・`)
あとほんの少しだけ、あの子と一緒に笑っていよう(´・ω・`)
僕らの上司も鬼じゃない(´・ω・`)
僕らがきちんと彼を星に返したら、それ以上とやかくいわないさ(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
【別れの日】
君を今から、ある施設へと送っていく(´・ω・`)
大丈夫だ(´・ω・`)
元いた所へ帰らなくていいように、君が健やかで幸福な日々を送れるよう、微力ながら全力を尽くす(´・ω・`)
もう、君が飢え、理不尽な暴力に怯えなくていいように(´・ω・`)
これはちょっと過干渉なのかもしれないが、構うモノか(´・ω・`)
僕ら夫婦は君の事が大好きだから(´・ω・`)
だから少しだけ、依怙贔屓をさせてもらう(´・ω・`)
ちょっとした援助をして、君にプラスになるように働きかける(´・ω・`)
実際に会うことは、もうできないけれど(´・ω・`)
それぐらいは、させて欲しい(´・ω・`)
そして、今から言うことは覚えてなくても構わない(´・ω・`)
君は、この日々を忘れる(´・ω・`)
今から、特殊な措置を施して、僕らの存在を忘れて貰う(´・ω・`)
それが、僕らのルールだから(´・ω・`)
君にとってはとても身勝手に想うかもしれないが、そうすることが、君にとってのプラスだと僕らは信じている(´・ω・`)
ただ、どうか(´・ω・`)
どうか、幸せになっておくれ(´・ω・`)
僕たちの、可愛い息子(´・ω・`)
君は、僕たちの事をどう想っていたのか、わからないけれど(´・ω・`)
僕らは君を、愛すべき家族だと想っている(´・ω・`)
愛してるよ、心から(´・ω・`)
……さようなら(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
うん、よく頑張ったね(´・ω・`)
最後まで、君は泣かなかった(´・ω・`)
本当に、偉いよ(´・ω・`)
だから、もういいよ(´・ω・`)
目一杯泣こう(´・ω・`)
愛していたことは、決して忘れない(´・ω・`)
けれど、悲しみも、消えない(´・ω・`)
僕らはその両方を抱えて生きていくと決めた(´・ω・`)
だから、忘れないためにも、今だけは、泣いていいんだ(´・ω・`)
僕も君も、彼を本当に愛していたのだから(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
時間が流れ、僕らの存在が認知され、交流を許されるようになった(´・ω・`)
大々的に行うのはまだ早いと、交流しているのはごく僅かだけれど(´・ω・`)
それでも地球は、これからも少しずつ文明を発達させていき、遠くない未来、他の惑星の知的生命体との交流を重ねていくのだろう(´・ω・`)
とはいえ、僕らは仕事以上の関わりを求めていない(´・ω・`)
僕らと地球人は寿命が数倍も違う(´・ω・`)
そのため、息子と呼んだ彼は、既に息を引き取っている(´・ω・`)
愛した人間は、そこにはいない(´・ω・`)
だから、もういいと、そう思っていたのだけれど(´・ω・`)
時間が進み、しっかりと僕らを認知し、わずかばかりの交流を経たためか(´・ω・`)
地球のとある動画サイトに、「僕のお爺ちゃんは、宇宙人と過ごしていた時期がありました」とそんな事を言い出す少年が現れた(´・ω・`)
どこか、懐かしい面影をもっている子供(´・ω・`)
その少年は「もし、生きている内に、その存在が当り前になったら、読んで欲しい手紙があると僕に託しました。今からそれを読み上げます」と手紙を読み始めたのだ(´・ω・`)
その内容は――――(´・ω・`)
……………。
………。
……。
…。
――拝啓、僕を愛してくれた人達へ。
幼い頃、死んでしまうかもしれないときに、助けてくれた事、本当にありがとうございました。
最初はただ怖くて仕方ありませんでした。
両親から酷い仕打ちを受けていた事、そして、拾ってくれた方々が今まで見た事のない姿をしていた事。
当時の僕は、僕が悪い子だから、お化けに食べられてしまうんだ、と思っていたのです。
けれど、僕を拾ってくれた方はとても温かく、常に優しい言葉をかけてくれました。
――大丈夫だから、怖い事はなにもないよ、と。
何度も何度も、自分が危害を加えないことを必死にアピールして、優しく接してくれました。
もう一人の方は最初、僕を連れてきた事に、良く思っていなかったようですが、それでも、僕のことをしっかり面倒みていてくれました。
僕が好奇心で辺りのモノを触ったり、騒いだりしても、怒るのではなく、注意して、それはいけないことだからね、と頭を撫でてくれたのです。
当時は難しい事ばかりでしたが、年が経つにつれ、その言葉の意味を理解出来た時、僕はとても大事な事を教わったのだと思います。
幼い僕は誰かが怒る事を「自分が悪い事をしたから」だと思っていたのですが、違うのです。
怒る、という事は、守るという事。
それは自分の大切な誰かであったり、大切にしているモノや、ルール。
人はそれを脅かされた時に、怒ることで、守っているのだと。
本来怒りは、誰かを傷つけるためでも、壊すためでもない。
自分が今まで生きてきた中で得たものを失いたくないからこそ、人は怒りという感情を持っている。
それを、悪いものだとか、怖いものだとか、そういう感情だけで見つめると、大事な事を見失ってしまう。
何で怒るのか、怒られているのか。
それを知る事こそが、何より重要なのだと。
幼い僕に、必死に説明していました。
あの方は、そういった事を、必死に言葉を重ねながら説明してくれたのです。
きっと、人に説明するのが苦手な方なのかもしれませんが、僕にとってその言葉の数々は何よりも大事な宝物になりました。
本当にありがとうございます。
そんな方々に拾って貰えた事、過ごした時間はとてもかけがえのないものだと思っています。
だからこそ、あなた達の存在が認知された時にこそ伝えたい事があるのです。
それは、僕はあなた達の事をしっかりと覚えているということ。
特別な処置を施されても、何かしらの要因で、僕はあなた達の事を忘れた事はなかった。
けれど、まだ僕が生きている間には、あなた達の存在は“いるかもしれない”という認識であり、僕がそれを口にしてしまえば、今度こそ、本当に忘れ去ってしまうのかもしれない。
それだけは絶対にしたくなかった。
だから、こうして手紙に残し、託しました。
いつかあなた達がみんなに知られ、僕の思いを伝えても問題ない時がきたら、伝えたい。
実の両親に愛されず、死んでしまうかもしれなかった状況で拾ってくれた事。
大切な事を教えてくれた事。
過ごした日々は、人生の中で、とても短いものだったけれど。
それでも僕を救い、ほんのわずかな時間でも一緒に過ごしてくれた事。
あなた達を、僕は勝手ながら父と母だと思っています。
父さん、母さん
愛してくれて、ありがとう。
僕も父さんや母さんを愛している――――。
あなた達の息子より
……(´・ω・`)
……(´・ω・`)
……だめ、だな(´・ω・`)
……こういう時、どんな表情を浮かべて、何を口にすればいいのか、さっぱりわからない(´・ω・`)
……まだまだ、学ぶべき事は多い(´・ω・`)
……だけど、一つだけ(´・ω・`)
……たったひとつだけ、言えることがある(´・ω・`)
……ありがとう、僕らを親だと想ってくれて(´・ω・`)
……これからも、愛しているよ(´・ω・`)
【嫁が地球人の子供を拾ってきた(´・ω・`)(完)】
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。