表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奈落のイロハモミジ  作者: ツルギ
7/60

7、王の名前

7話です。よろしくお願いします。


 日が差し込み、その明るさで色葉は目を覚ます。寝惚け眼な顔に冷たい水で洗うと一気に眠気は吹き飛ぶ。顔を拭いていると、コンコンコンと扉をノックする音が聞こえる。


 「はい!」


 「失礼します。お着替えに参りました」

 

 鬼のお手伝いさんだった。色葉はされるがまま着替えさせられお化粧も施され、鏡を見ると今まで見たことない自分に驚いた。


 「すごい…」


 自分に見惚れていると、お手伝いさんは部屋を出ていきすれ違いに紅葉が部屋へ入ってきた。


 「おはよう」


 色葉はその言葉で我にかえる


 「おはようございます」


 「綺麗だ」


 色葉の頬を赤らめる。

 初めてのワンピースに戸惑っていたが白のレースが清楚さもあり可愛さもある。髪型もいつもとは違いゆるふわに巻いて華やかな感じに化粧されていた。

 紅葉は色葉に近づき息がかかりそうなくらい顔が近づく。


 「あ、あの…」

 

 精一杯の声を出すと紅葉はスッと離れた。


 「見てごらん」

 

 鏡を見ると色葉の首元には光の加減でキラキラと赤と青に光る宝石のネックレスがあった。


 「この宝石は初めて人間界に行ったとき買ったんだ。それまで気にいってずっと持っていたが、持っているより色葉がつけている方が似合うな」

 

 「とても美しい宝石ですね」


 色葉は宝石を鏡越しに見つめていると鏡に写っている紅葉と目が合う。いつもは耳に何もしていない紅葉、今日はもみじの葉の耳飾りがゆらゆら揺れていた。


 「紅葉さんその耳飾りは…」


 「この耳飾りは色々な木々達が情報をくれる」

 

 揺れている耳飾りをカチャッと触り片方だけ取り色葉につける。すると心地いい風の音が聞こえる。


 「いい音ですね…でも木々達の情報って…」


 「この風の音は、木々たちの音。だが私には木々の声で聞こえるんだ」

 

 2人で話をしていると勢いよく扉が開く。その人物は1人しか居なかった。


 「2人とも遅い!」

 

 王は色葉を見ると一気に迫る。


 「美しい!やっぱりこのワンピースにして正解だ」


 「えっもしかしてこの服は王様が用意して…」

 

 色葉の言葉を遮る王は不満な顔をし色葉の両手を握る。


 「そんな硬い呼び名で呼ばないでよ」


 「え…」


 「王じゃなくて、お父さんって呼んで」


 王は笑顔で色葉に迫るが、いきなりお父さんと呼べず困っていると横で見ていた紅葉が2人の間を割って入る。


 「無理に呼ばなくて大丈夫だ」


 「えーじゃあどうするの?」


 「普通に名で呼べばいいだろ」


 王は一瞬考えると紅葉をジッと見つめ真剣な顔になり色葉を見る。


 「閻魔…?えー嫌だよ?だからと言ってそうは呼ばないでよ。私のことはマオと呼んでくれ」


 「わ、わかりました……マオさん…」


 呼び始めはいつだって気恥ずかしいと思う色葉にマオは気分が上がっていた。


 「わぁーやっぱり女の子に呼んでもらうのは違うなぁ」


 「あはは…それは良かったです。それより、なぜ閻魔様で呼ばれたく無いんですか?」


 「だってあの呼び名は堅苦しいから嫌なんだ」


 「嫌って…」


 「ちなみに、魔王からとってマオ!それに、閻魔なんて外で呼んだらみんな畏まったりして全然楽しくないし、なんなら全く違う名前にしてた方が良いと思ったまでなんだ」


 マオが自画自賛していると紅葉はマオを残し先に部屋を出る。それに続いて色葉も出ようとしたが後ろに振り向く。


 「マ…マオさん!行きましょう…!」

 

 少し恥じらいつつも色葉の精一杯の声だった。色葉の言葉が嬉しかったのかマオは今までに無いくらいの喜びだ。


 「ああ!良い!!色たん待ってー!」

 

 


ありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ