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奈落のイロハモミジ  作者: ツルギ
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6、力の受け取り

 王はふーっと息を吐くと空気が動く。すると動けなかった色葉は息を吸える様になり声も出せるようになっていた。

 

 「何故…私にこの話をしたのですか?」

 

 色葉は涙目になり今にでも溢れそうになっていた。


 「そうか…色葉には伝わって見えたんだね」

 

 王は静かに口を開く。


 「それぐらい僕の力は抑え切れなくなってきているんだよ。だから紅葉に私の力を分けているんだ。色葉には紅葉を助けてほしい」

 

 色葉は冗談かと思ったが、王の顔を見ると冗談では無いのがわかる。


 「鬼達には私の力は強すぎて消えてしまう。だが鬼では無い紅葉は力を受け取れるんだ」


 王は苦笑いしながらエレベーターが下に着くのを待つ。

 

 「色葉も、もう3年ここに居る。夢の闇から目覚めるかは運次第。でも君は3年で目覚めた。だから色葉にもって思ったんだ」

 

 「えっ!?私ですか?」


 「そうだ。そうしたら紅葉の負担も減るし、受け取った力は使い放題!」


 色葉は疑問に思っていた事を聞いてみる。


 「紅葉さんと仮に私に力を全て受け取った後、王様はどうなるんですか?」


 「僕は…戻るんだ」

 

 「戻る?どこにです?」


 「真っ新な器な子供に」


 色葉はえっと思ったが言葉が出てこなかった。


「僕の力は少しずつ強さを増している。でも違う器に移したとき力は元に戻るんだ。だが、紅葉でも限界があるその限界を超えたときは我を忘れ力に取り込まれてしまうかもね」

 

 王はガッシリと色葉の肩を掴む。


 「だから!そんなことが起きない様に色たんにも力を分けようと思っているんだ!今!」


 「えっ?今!?」


 「目覚めた君なら大丈夫!それにさっき力使ったけど動かなくなるだけだったし」

 

 そう言うと王は色葉の額に触れボソッと何か言うと色葉に口づけをする……かしないかの近さでフゥと息を吐く。その瞬間、身体が熱くなり少し息苦しくなったがすぐに楽になる。色葉は自分の身体や手をみるが、王は感動して涙を流していた。


 「すごい…もしかしたら気絶するかもと思ってたけど、すんなり受け入れたんだね」


 「気絶!?」


 王は感動に浸っていたが色葉は怒っていた。


 「あの……私まだ手伝うって言って無いです。力も受け取るとも言って無いです!何、勝手にやってるんですか!」


 「い、色たん?」


 「ちゃんと許可取ってからやってください!」


 「えっじゃあ色たんは断ろうと思ってたの?」


 「そ、それは私に出来るなら手伝おうって…思ってました。ただ…少し近かったです」


 王は察したのかニヤニヤしていた。


 「口づけしようか迷ったけど、未来の旦那さんの為にしなかったんだよ。それにあげた力は普通よりも怪我が早くなるんだ!だから色たんは何もしなくて大丈夫」

 

 「怪我が早く治る…試したいけど痛いのは嫌だな…」


 王は僕って優しい!と1人で自分を褒めていると、ある事に気がついた。


 「あっ色たん…ごめん…このエレベーターボタン押してなかったから動いてないや。あーもうこっちの方が早い」

 

 そう言うと王は色葉に抱きつく。

 

 「ちょっ何してるんですか」


 「僕にちゃんとしがみついてないと、反動で大きく離れたりした部位は無くなるよ」

 

 そう言うと2人はその場所から消え色葉が次見た光景は焼肉をするためにセッティングされた部屋だったが既に紅葉はいた。




 「あー美味しかったね」

 

 王が満足そうに言うのを遮るかの様に紅葉が問い詰める。


 「で、2人で1時間も何してた」


 「あれ?そんなに経ってた?あっ!あれをしたからか」

 王は1人納得していたが色葉も様子がおかしい事に紅葉はさらにわざと優しく問い詰めた。


 「あれとは?」

 

 「うーんでも紅葉、絶対怒るもん怖い!」


 「怒らないだから」


 「ほんと?」


 「本当」


 「んー……色たんに少しだけ力をあげたんだ」

 

 王はニコニコしながら紅葉を見たが紅葉からは怒りに満ちてた。


 「何をしてるんだ!」

 

 紅葉は王に大声で怒鳴ると真っ先に色葉のとこに行き額に手を当てたりしたが熱とかも無く顔色も良かった。


 「なんとも無いのか?」


 「なんとも無いです…」


 「大丈夫だよ!色たんには怪我の治りが早いのを分けただけだもん…それに色たんは紅葉の支えになる!ねっ色たん」


 「が、頑張ります」

 

 紅葉は色葉を見ると折れた様に注意した。


 「無理はしないでくれ」

 

 紅葉はそう言うと王が口を出す。


 「それは無理だよ!だって明日から色たんには、紅葉の仕事のお手伝いして貰おうと思ってるから!あっこれは王命令ね!」


 王は満面の笑みをみせると紅葉は悔しそうにこたえる。


 「わかった」


 色葉も一応同じように返事をし、今日はもう遅いとなり王は用意した部屋を案内し2人はそれぞれの部屋へ入る。


 「す、すごい…」


 思わず声に出したのは色葉だった。

 部屋は王が色葉を思って作ったと聞いていたが、その部屋はそこで暮らせるくらい設備が整っており、真っ白な壁にお姫様が使う様な家具で統一されていた。

 豪華な天蓋付きのベッドへ座るとそこから立ち上がりたく無いくらいふかふかで睡魔に襲われそうになるのを耐えながら色葉はお風呂へ入り行くのだった。


 明日はどこ行くのかな…


 ベッドに入るとすぐに眠りについた。

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