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奈落のイロハモミジ  作者: ツルギ
5/60

5、地獄の王

5話です。よろしくお願いします。

 「遅かったな。何故遅かった。我はずっと待っていたんだぞ」

 

 静まる部屋に響く声。

 その声は怒っているのか低く力がこもっていた。


 「………」


 紅葉さん、何で何も話さないの?


 色葉は紅葉の様子は見えず、恐怖から俯き動けないでいた。


 「ああ、この娘が目覚めた…」

 

 色葉はゾクっと身震いしていた。それもそのはず、その声は耳元で聞こえていた。


 えっ?隣に…いつの間に…


 「あはっそして……」


 「うっ…はなっ」


 色葉はいきなり紅葉の苦しそうな声に恐る恐る頭を上げると、そこにはぎゅっと抱きしめる長髪の男と紅葉がいた。

 正確には長髪の男が一方的に紅葉を抱きしめていた。


 「もみじぃぃぃい!」


 「は?」

 

 思わず声に出る色葉だったが、さっきの恐怖は無く長髪の男は紅葉に夢中ですりすりしていた。

 

 「離れろ」

 

 紅葉は長髪の男を投げ飛ばすと、はぁはぁと息を切らしていた。「はっ」と、して色葉に振り返る。

 色葉は目が点になって引いていた。


 「色葉、すまない。これが地獄の王だ」

 

 地獄の王はソファから笑顔で手を振る。


 「これがは余計だよ?紅葉の父でーす!聞いてるよ。よろしくね色葉ちゃん」


 「父ではない。」


 王は紅葉の返答にえーっと口を尖らせていたが、色葉に手招きしソファに座らせる。


 「色ちゃんも僕の事はお父さんと思って良いからね!」


 「は、はぁ…」

 

 「じゃあっ早速呼んでみて!」


 キラキラな眼差しが色葉に向けられ躊躇いながらも地獄の王を見る。


 「お、お父………さま」

 

 色葉は大王に対してお父さんと呼んで良いのかと悩み様をつけた。


 「………」

 

 王の反応に色葉は間違えたっと思い謝ろうとする。


 「すみま…」


 「お父様だって!!」


 王はキラキラした目で紅葉を見る。紅葉は呆れた顔をしていたが、反対に色葉は少しホッとした。

 

 「色ちゃん、お父様に出来ることあったらなんでも言ってね」

 

 王がルンルンとしてると紅葉が口を開く。

 

 「色葉がここに来た理由が知りたい」


 「それは教えない」


 「色葉はどこの神使いだ?」


 「うーん、それも教えない。色ちゃんの過去に関しては色々と規約があるから無理なんだよ。だって記憶だってないでしょ?消滅したってことは、もう元の場所には戻れないのは確定なんだよ」

 

 王はぶーぶーと言いたそうな顔をしていたが紅葉の言葉で真顔になる。


 「その規約は誰が作った?」

 

 「僕と神だよ。天がある様に必ず地がある。私とあちらで決め事として作ったんだよ。あのじーさん頭硬いから切り捨てが早いんだよ。あーヤダヤダ僕的にはそんな事?って思ったけどね〜」

 

 王はアッカンベーと天井に向けてしていた。


 「まぁ、僕たちを通してじゃ無かったら…だけどね」

 

 「そうか」

 

 紅葉は理解したのか少し考えごとをしていた。


 「ねぇ、それよりお腹空かない?色たんは何食べたい?」

 大王は色葉に顔を近づけるが色葉は名前の語尾が気になった。

 

 「たん…?」

 

 「タンが食べたいの?じゃあ焼肉??いいね!みんなでお肉を食べよう!」

 

 色葉は呼び名でそう言っただけだったが、王には着いて行けず、とりあえず食事のことを答えられて良かったと思うことにした。

 王が立ち上がり色葉に手を指し出す。


 「そうと決まれば、早速食べに移動しよう」

 

 色葉は苦笑いしながら王の手を取り立ち上がる。


 「ありがとうございます」

 

 その言葉を聞いた王は目をうるうるさせるが嬉しそうだった。


 「紅葉とは大違いだよ。色たんは良い子だ」


 2人は紅葉を残して部屋を出るとあの螺旋階段の隣の壁に手を当てると壁が両側に開く。エレベーターだ。色葉はきょとんとしていたが、王が色葉をエレベーターに乗せる。


 「やっと2人きりになれたね」


 色葉は紅葉から言われた「2人になるのは危ないからな」と言う言葉を思い出し身構える。

 

 「やだなぁ…そんな身構え無くても大丈夫だよ。ちょっと僕達がしてることや昔話をするだけだよ」


 「……本当ですか?」

 

 「本当に本当だよ」


 「わ、わかりました」


 地獄の王は良し!っと言うと先程とは違い真面目な顔つきになり息をすぅーと吸い込む。


 ん?あれ??何で動けない…それに声も出ない…


 「神はね人が好きだった。でも人が死ぬと良い魂はそのまま成仏するが、そうじゃないのは怨霊や悪霊になったりするんだ。そうなると神の使い…神使いには救えない。そんな時は私が迎えに行き地獄に落とす」


 地獄の王は自分の掌を見る。

 

 「地獄と天国は今より昔は亀裂が無かったんだ。だがある日、神使いが地獄に来て一方的に鬼を襲ったんだよ。不意打ちだった鬼の村は炎に包まれ、大勢の鬼達は…」

 

 王は掌を固く握り遠い目をしていた。


 「私が村に着いた時には、既に家族の様にしたっていた鬼達は無残な姿をしていた。怒りで我を忘れた私を止められるものは誰も居なかった」

 

 王の目には涙が溜まっている様に見えた。

 

 「神使いを消すのは容易。村に戻って来た私は1人1人弔っていると何処かで泣いている声が聴こえたんだ。その声の所に行くと、泣いている子供が居たんだ。それが…ナ鬼」

 

 さっきまで俯き加減だったが少し上を向き話し続ける。


 「私はナ鬼を抱きしめ、育てる事にしたんだ。それからは村の復興と共に悪霊を鬼に変え、村を元に戻した…が、私はそれ以来村には行く事はやめたんだ。また同じ事になるのが怖かった。村を守る為に神使いを監視することが日課になっていたころ紅葉に出会った」

 

 大王は色葉の方を向き色葉の目を見た。


 「紅葉のことは紅葉から聞いてるよね。君が地獄に落ちたのは神の我儘だ。まぁ君はどう思うかだけど。でも、私たち地獄の者は色葉、君を歓迎するよ」


読んで頂きありがとうございます。

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