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奈落のイロハモミジ  作者: ツルギ
28/60

28、寂しさよりも楽しみを。

28話です。よろしくお願いします。

 久しぶりに館へ帰った2人をナ鬼は食事でおもてなしをしていた。2人の前には種類が豊富なナ鬼お手製の料理がテーブルいっぱいに並べられてらいた。


 「腕によりをかけて作りました。いっぱい食べてください」


 「わぁー!!美味しそう!いただきます」


 「いただきます」


 一口食べただけでほっぺが落ちるほど良く煮込まれた角煮に色葉は目を輝かせながら頬張って食べる手が止まらない。そんな色葉の食べっぷりにナ鬼は微笑んでいる。


 「うふふそんな嬉しそうに食べて頂けると作ったかいがありました。それに最近は少量しか作っていなかったので、作っていて楽しかったです」


 嬉しそうに話しそんなふうに思ってくれているナ鬼の言葉に色葉はある事を思いつく。


 「そうだ!ナ鬼さんも一緒に食べよう!」


 「いい案だな。皆んなで食事をした方がもっと料理が美味しくなる」


 そんな2人をよそにナ鬼は静かに首を振っていた。


 「ダメです…私にそんな立場はないです」


 断るナ鬼だがそれでも色葉は箸を置き諦めずに説得しする。


 「立場とかは関係ないですよナ鬼さん。私と紅葉はナ鬼さんと一緒食べたいんです。それに一度も一緒に食事したこと無いし……」


 「それは…」


 一緒に食事できない理由をナ鬼の口からは言えず楽しい空間に一時の静けさが生まれる。

 色葉は下を向くナ鬼にどう言葉を掛ければいいかわからず黙っているが、沈黙を破ったのは紅葉だった。


 「ナ鬼、今はマオは居ない。私からもお願いしたい。一緒に食事をしようナ鬼」


 紅葉にそこまで言われたナ鬼はため息を吐き観念した様に静かに席に座る。


 「わかりました…ただし、今日だけです」


 「やった!ありがとうナ鬼さん」


 ナ鬼が加わった食事は先程よりも美味しく感じ、いつも食事中は静かな紅葉も心なしか笑っている様に色葉は見えた。その時間はあっという間に過ぎ去り、帰り際になると紅葉はナ鬼に疑問に思っていた事を聞いていた。


 「ナ鬼、カ鬼はどうした」


 「あの人は今依頼でいないです」 


 「その依頼とは何だ?」 


 ナ鬼は何故か頭を下げていた。


 「申し訳ございません。それ以上は私からは言えません」


 「そ、そうか」


 初めてナ鬼から何かを隠された紅葉は動揺していたがそれ以上、ナ鬼に迷惑になると思い聞かなかった。

 門の中でナ鬼と別れ館を出ると空は暗く紅葉の言葉で少し歩くことに。


 「さっき言ってたカ鬼さんって誰?私ここにいた時会わなかったよ?」


 「カ鬼はナ鬼の夫だ。色葉がいる時は私を通しての依頼で鬼の村へ数ヶ月行ってもらってたんだ」


 「えっナ鬼さんって旦那さんがいたの!?」


 「ああ…流石にあの館にある畑とかをナ鬼だけじゃ無理がある」


 ナ鬼が住んでいる館は元はマオが住んでいた館だけに館も広いが外には紅葉の木のもみじ林があり、館の裏にはトマトやナス、きゅうり、キャベツに人参その他にも種類がある。それらの野菜は鬼の村や小鬼の村へとわけていた。


 「確かに私も数ヶ月手伝ったけど…あの広さは1人じゃ絶対むりね…それに鬼って夫婦になれたんだ」


 「特にそういった決まりはないが、お互いで決めたなら良いんじゃないか。それに私が子供の頃は良くナ鬼とカ鬼と食事をしていたんだ…今日はその頃に戻った様に楽しかった。ありがとう色葉」


 「お礼を言われる様なことしてないよ。私はいつもナ鬼さんが一緒に食事しないことが不思議だっただけ…それに、ナ鬼さんいつの間にか「色葉様」って言う様になっちゃったから少し寂しい気持ちもあったんだ…」


 「そうだな…ナ鬼の態度が変わったのはマオと関わったか、だ」


 「どういうこと?」


 「悪く言えば、ここでは絶対王のマオに対して鬼は駒にしか過ぎない。マオの力でどうとでもなる鬼はどんなにマオが優しく接してもずっと怖い存在だ」


 「そんな……でもマオさんがナ鬼さんを育てたんだよね?」


 「ああ…まだあの城もないあの館でな…多分育てるより置いていたのが近いと思うが…本当のところは当時、私もまだ居なかったからそこまではわからない」


 「そっか…」


 前の様な関係には戻れないと察した色葉は暗い中を歩きながらでも隣にいる紅葉には寂しさが伝わっていた。


 「色葉、戻れない関係を寂しく思うより、次会ったとき楽しむ方法を考える方がナ鬼の為になると私は思う」


 紅葉から励ましてくれるとは思っていなかった色葉は少し驚きながらもさっきの寂しさは無くなっていた。


 「そうだね……あのさ紅葉、今私の心の声きいた?」


 励ましは嬉しかったが的確な言葉に色葉は怪しんでいた。


 「いつまでも歩いていたら城に着かない跳ぶぞ」


 「やっぱり!ちょっと待って!紅葉」


 

読んで頂きありがとうございます。

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