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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
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第70話

私じゃもう無理だから……。

あなたにそれをしてほしい。

あなたがそれを無理だと言うのなら。

私はそれでもしてほしいとまた図々しく未来を語るよ。

幸せの定義とは。

広義も狭義もなく、ただそこにあるものを掴み取るような。

それは見つけ出すことも不要で、探し出す必要もなく。

本当に、その場所にぽつんといつもあるものなんだと。

私が知るにはまだ先のことだった。




「私とカフェを……?」

初めて聞いたそれに、私は困惑してまた聞き返す。

「うん。そうカフェだよ。コーヒーとかケーキを出してさ、ゆっくり私たちの人生を歩いていけたらなって……なんかふと考えることがあったの」

「でもなんでカフェなの?」

「また会えると思ったから。これから私たちが出会う大切に思う人たちを繋ぎ止められるような場所を用意したかったんだよね。それがなんとなくカフェだった。本当それは思いつきなんだけどね。でもさ……やっぱ上手くいかないよね。お金だってそんなに簡単に稼げるわけじゃないし、嫌なことだってたくさんあると思う。もしかしたらお嬢と喧嘩しちゃうときだってあったかもしれないし……」

笑美えみの考えや想像力は高校生で止まっているんだと改めて痛感する。

彼女のいう嫌なことだって私は知っている。今まさに経験している。

仕事を押し付けられることであったり、残業しなければいけなくて自分の時間が確保できないことであったり、そんなことをしもなお報われることはあまりないことだって。

社会人とはそういうものなんだと理解しなければいけないこともかなりストレスだった。

生きるということは、そんな負担も背負って進んで行かなきゃいけない。

存在意義を、自分だけの居場所を必死で掘り探りながら……。

「でも、それでも私はやってみたかったかもしれない……」

そんな今だから私は言えることはある。

「今感じてる寂しさも、悲しさも、悔しさも全部半分こにできるなら、喧嘩だってできるわ。その苛立ちも、その後の虚しさもまた私たちだけの居場所だもの」

「お嬢……………」

笑美えみ、あなたはわがままの使い方が本当に下手くそなのよ。自分を塞ぎこんで縛りつけて、押さえ込むことは器用にこなして私には自由にしろだなんて言うくせに……じゃあ私の自由を聞いてくれたことはあるかしら?」

「…………それは」

「私はいつだってあなたのそばにいたわよ。いじめられているあなただからなに? 迷惑かけられるからなに? それも全部含めて笑美えみなのよ。私が愛した笑美えみは全部全然混ぜこぜにしたあなたしかいないのよ……!」

「お嬢は本当にやさしいんだよね……」

笑美えみ……?」

「私はそのやさしさに何度もつけ込もうとした。のめり込もうとした。甘えようとした。でも、それじゃ私がどんどん弱くなっていく気がして……私だってお嬢がいればそれでいいと思ってた。でも私には恋花れんかへの罪を背負う強さが必要だったの……」

「私だってその罪を背負うわよ」


「私はそもそも笑美えみちゃんを恨んでなんかいないよ………」


そう、私たちは単純になにも言わなかった。言えなかった。

だからこうしてすれ違いを繰り返して、勘違いを独り歩きさせて、ろくに相手の答えも聞かずに、間違いの最善を選び続けていた。

だったら……今ここでそんな夢を聞いた私は、これからどうすればいいというの?

「もう私しかいないのに……あとは私だけでどうやって生きていけばいいの?」

あなたの幸せはもう叶えられない。死んでしまってはそれをもう望んではいけない。

ならば、私だって同様に……笑美えみの幸せがもうどこにもないのなら、どうしようもないじゃない。

「それじゃあ、お嬢がこれから幸せになってから決めればいいんだよ」

そう容易く……。

笑美えみは自信ありげに胸を張って、そう言うのだ。


どうもこんばんは雨水雄です。

すみません……今日はどうも外出しておりまして……今日が終わろうとしているまさに今! 投稿させていただいております! まだぎりぎり日曜日だから!でもすみません……本当すみません。

もう今年も日曜が残すところあと二回だそうで……どうなることやら。

さて、今週もここまで読んでくださりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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