表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
7/73

第6話

人はふと、そこをオアシスだとか楽園だとか錯覚を起こしてまるで操られているかのように引力に身を任せるんだけど。

そこに本当のあなたはないのは確かで、蜃気楼と白煙で漠然としたなにかへの期待度がただ高いだけ。


あなたは、あなたをなんだと思ってるの?

「先輩、今日は本当にありがとうございました」

「いえ、私はただ聞いただけ過ぎないわ。余計なお節介だと思うからお礼なんてやめて」

「でも私、明日はまだ頑張れそうか気がします」

「そう、それならいいのだけれど……あまり無理はしないで」

「はい! もしですね……また辛くなったとき……話を聞いてもらってもいいですか?」

「え、ええ……私でよければ」

そう言って、私は彼女と連絡先を交換した。

なんの役に立てそうもないのだけれど……なぜか彼女が私を見る目が、周りと違っているのは薄々感じ取っていた。

ただ、その次の日以来、彼女から連絡がくることはなく。

彼女は私に打ち明けたその日を境に会社から姿を消したらしい。

私がそれを定かかどうかを知るにはもう少し時間が経過していて。

私が彼女のことで真実を伝えられたのは12月に差し迫っていたころだった。


「…………」

ほんの気の迷いだと思うのだけれど……。

私は彼女と話を通したことによって、自己肯定感が芽生えようとしていた。

そんな血迷った感覚などすぐに投げ捨てたかった。私に存在証明も自己顕示欲もましてや承認欲求なんてあるはずがないの……あってはならないのよ…………。

だというのに、この休日に目が覚めると同時に襲いかかる違和感は……なに?

いつものように予定もなく、行く宛もなく、ただひたすらに惰眠を貪り時間が過ぎるのを待つだけ。

なにかに努力を費やし熱情を働かせることなんてもってのほか。私にはもうそんなガソリンの一滴すら残されていない。

どこかに散歩して気分転換して、心機一転を終えた後仕事のモチベーションを蓄積させるはこともない。私にはもう打って響くほどの綺麗な器はない。錆びては腐って使い物にならない心しかないわ。

そんな私が休みの日に……ふと彼女の像を浮かべてしまうなんて。

空っぽな脳内のくせに彼女を汚してしまう悪行に働くなんて……。

なんの取り柄もなくて救いようのない私が……いや私だからこそ、私の方こそ、彼女に縋り付いていたのかもしれない。

あの純粋無垢な笑顔を浮かべる奥に潜む人のぬくもりというものが思ったよりも温かくて。

辛くて苦しいことに抗えず現実に幻滅してしまう本来の人として生々しい姿がむしろ正しいんだと私に現を抜かせた。

あれから彼女と連絡なんて一切取っていない。今なにをしているかも分からない。ちゃんと頑張れているのかしら……。

そんな余計な懸念をしていた休日のど真ん中のこと。

私の悩みの種から久しくなかった連絡が届いた。

そう、それが、私が彼女の現状を知る一通だった。




連絡の内容は、以前私と話したカフェでまた会いませんかとのことだった。

まだ彼女があの職場で踏ん張っていると思っていた私は、また相談ごとかとすぐに出かける準備を済ませた。

今度こそ死んでしまうのではないかという懸念が、私の胸を掴んで離さなかった。

そして、彼女が指定した場所に辿り着いたとき、すでにそこに一人の女性は立っていた。

「あ、先輩……佐奈川さながわさん。お久しぶりです」

「え、ええ……確かに久しく会ってなかったわね」

社内で見かけなくなっていた彼女の姿は、以前のように憔悴したものではなく。

私への呼び名が変わっている時点で違和感しかなかった。

「急に呼びかけてすみません。少し佐奈川さながわさんにお話し……というか紹介したいことがありまして」

「…………」

私が目を向けたのは彼女のすぐ隣に立っている男性。

彼が一体誰かなんて私が知る由もない。

ただ、その佇まいから臭う怪しさだけが私の息を苦しくさせる。

「どうも初めまして」

男性はにこっと気味の悪い顔を貼り付けて私に微笑みかける。

いや、もう……彼だけじゃない。

もう、私が知る鈴の音のようにころころと鳴る笑い声はもう影もなく。

哀愁と憐憫のすえに染め上げられた不憫な笑みだけが残っていた。

彼女が私を呼び出した理由はネットワークビジネスの勧誘。

変わり果てた彼女を見るのは、目を背けたくなるほど拒絶反応してしまって。

どうしてそこまで彼女を追い詰める世界があるのか、私はこのゴミ箱の中みたいに俗塵にまみれた人の闇に対して込み上がる憤りが自身への自殺願望に変わっていく変動に耐えながら、彼女へ一言突き放した。

「あなたの思い浮かべるような明るい未来は、私にはもうないわ」


どうもおはようございます雨水雄です。

ん〜…………どうしましょうか。

こんな朝っぱらからこれなにと楽しいことが語れることもないんですけど……あ、とりあえず9月もう終わっちゃいますね。

さすがにそろそろ秋さんがお顔を出す頃かと思わせるような涼しさが訪れている気がします。なんなら今日の朝も外はちょっと肌寒いくらいです。

そしてなんといっても10月からは秋アニメも始まるわけですしね!雨水はこのままリコリコの余韻を引きずっていきそうですが。いやリコリコを観たみんなならこれは共感してくれるはずなんですよ。ね?

そんなことを言っていると少しずつ気分が晴れてきたのでここで雨水から雨水なりに。

まだ始まった今日はなにもないかもしれないですが、したいこと最優先で!一日が始まった瞬間秒針は動き続けますので、とりあえずあっという間に一日が終わってしまったと思えるくらいしたいことで埋めつくしちゃってください!小さな幸せってたぶんそれをしてる時点で掴んでると思うので!

あなたがまた来週から始まる秋からもまた幸せに過ごせるように祈ってます。秋は美味しいもの多いですし、幸せはいっぱい転がっているはずです。はずです!

さて今週もここまで読んで下さりありがとうございます。

では来週もよければここで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ