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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
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第62話

あぁ、聞こえる。

こんなにも愛のある警鐘が。

こんなにも人情の温もりに溢れた訓戒が。

「ここは…………」

どれくらいの距離を。どのくらいの時間を。

私はこの足で歩き続けたのだろうか。

不思議なことに、痛みも疲労も全くと言っていいほどなかった。あるのはこの気怠さや気が遠くなるような徒労感だけ。

このセカイに導かれてからというものの、身体の異変は一切なかった。いつも私一人としての感情だけが揺り動かされていた。

空の色も。街の騒々しさも。このちっぽけな足音も。

ストレスがなくて、清々しくて、それでいて少しの寂寥感。

居心地がいいようで、快いとは言い難いこの環境は。

私は一人なんだと認識するには、一人じゃない必要があるみたいに、このセカイでは独りなんだと教えてくれる人は誰もいなかった。

「結局、誰だって一人なのよね……」

人はいつだってその人一人。集まるから一人じゃないなんてことはない。

いつだって一人よ。決めるのも、動くのも、受け止めるのも、最後は結局自分一人。

でも、その選択肢を増やすも減らすも、生かしも殺しもするのが人が成し得るこの環境下のみ。

だから、簡単じゃなかったりする。

笑美えみ……あなたは、自分の選択はどうだったのかしら」

あなたが選んだその道は。私を交えて得た答えは。

果たして今、このセカイで私を呼んでなにを伝えてくれるのかしら……。

死んでしまった後悔かしら。私だけを残してしまった懺悔かしら。それとも私を招待する誘いのためなのか。

私にとってはどれも聞きたくはない。

聞きたいのは今じゃない。話をしたかったのは今じゃない。

あなたが生きていたから意味があることがたくさんあったののよ。

だから、別に謝らなくていい。それがあなただけで導いた一人の答えなのだから。

別に無理に笑わなくていい。悲しくて苦しくて叫びながら泣くことだってなにも情けないことじゃない。立派に生きることに立ち向かった証拠よ。

ただ……ただね。

全部一人で決めた答えを。全部一人だけのものにして。

独りにならないでほしい。

私がいるから……二人の時間があったから一人だと言えるように。

私にその声で、なにかあなたの言葉を聞かせてほしいの。

「そのために、私は今からあなたを叱りに行くわ」

少し前に、恋花れんかに言ったようなそれを、全身全霊で届けてあげるわ。


私は、最後の最期に、彼女と別れることも叶わなかったあの校舎の上を目指した。

どうもおはようございます雨水雄です。

もうここ数日でどっと気温が下がり、夏の姿もさっと消え去った今ですが。

今年の終わりもすでに目前というところまで来ていて、時間の流れってほんと早いなぁ……とか思い返していたり。

そんな今ですが、みなさん体調には気をつけて下さいね。

さて、ここまで読んでくださりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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