第41話
その行為が、吉とでるか凶とでるかなんて相手にしか分からない。
でも、私にとってそれは、好意が向けられている証拠があるだけで嬉しい。
でもその分、巻き添いと労力の損傷が、また心を病ませることにだってなる。
あなたのいない人生なら。
いっそのこと無くなればいい。
そう思えるほど厳かで、そのくせ儚くて、その唯一さが美しいとさえ錯覚してしまう。
なににも抗えず寄り添い、立ち向かう勇気もなくただ溜飲を放置し、暗礁に乗り上げる暇もなく目を背ける。
そうやって閉ざされた暗澹たる二人だけの世界を作り出して、そこを楽園だと豪語して手を取り合っている……。
そこになにか一つ、画期的な想像力があればよかったのかもしれない。そんなところに一つ、いいよねって言える悠長さと寛大さがあれば……。
私たちは本当に、私たちだけが救われる世界を作り出せたのかしら。
それは夢物語で、眉唾物で、ただの被害妄想。
机上の空論とも呼べないくらい空っぽで、砂状の楼閣にも見えないくらいただの塊で、私たちは理想を抱く現実にすら手が届いていない。
それだというのに……。
あなたは飛べない翼もありもしないのに、どこから姿を消したというの。
秋は来た。
秋が来たと気付くには遅かったのか、それともまだ秋は片足踏み込んだ程度しか訪れていないのか。
夏の暖気は。あの、いやになるほど皮膚を燃やした太陽は。
すっかり息を潜めて代わりと言ってはひんやりと体を固める夜がやってきた。
それは、もう冬がきたのかと勘違いさせるくらい唐突な変化だった。
ただ、まだ紅葉は見ていない。あの寒色の空に包まれる景色の中に紅一点彩るあの暖色を。私はまだ知らない。
彼女と出会ってからの初めての秋は、結局一人だった。
否、一人になろうとしていた……。
「そっちが離れるというのなら……私は離れちゃいけない」
私はひっそりと覚悟を決めていた。
このまま終わるくらいなら。彼女が今の現状を想定していたものだというのなら。
私は、私の理想をこの現実に描いてあげる。
今度は。今だけは逃げない。待たない。追いかける。
あなたがいないとダメな私だから。あなただけを見つける。
それからどうするって? そんなことは考えていない。
私はいつもそこで立ち往生して、硬直して、最後にはその差し伸べられる手を待っているだけだった。
でも、今はそれじゃダメなのよ……。もう、彼女は伽藍堂で一人蹲っているだけの人形。
私がいやになったんじゃない。私にもう、迷惑をかけたくないから背を向けたのよ。
誰も、それがいいなんて言ってないのに。私の言葉を一言も聞きもせずに本当、身勝手すぎる。
いや、今までの私だって散々勝手だった。
だったら、今回だって勝手を振り翳して彼女の元へ。
私は担任の先生に、彼女の住所を聞いた。
彼女の担任はあのいじめ集団とグルだ。ならばあいつに頼るわけにはいかない。どこかで通じて裏目に出るのだけは避けたかった。
だから私はそっと担任に尋ねてみた。クラスは違えど、長らく来ていない同学年の生徒と絡みがある私はきっと貴重な人材だ。先生はすぐに教えてくれた。
おそらくこの担任はどうして彼女が突如として不登校になったかなんて詳しくも知らないはずだ。いくら先生だからといっても一人の人間。自分のクラスを統率させるだけでも目が回るものよ。高校生の世話なんて余計に神経を使う。学校に来ない理由は大きく絞れるとしても、細かく噛み砕いて真摯に対峙してくれるなんてことまでは手が回らない。それをするくらいなら自分のプライベートを充実させる。そうでなきゃ教師だって、人としてやっていけない。
結局、そんなものよ。人間なんてものは。特別も完璧もない。みんな同じだけ苦しむし悩むし、傷つく。
だから私みたいな普段消極的ない人間が率先して人助け紛いなことに顔を出すと、信用度と説明力はそれなりにあって、担任はなんの疑問も抱いてはなかった。
彼女の居場所を掴んだ私は、早速放課後に彼女の家へ向かった。
どうもおはようございます雨水雄です。
梅雨ももう間近にせまってきてる感じしますね……。
いくら暑いといえど、濡れてしまうと体温は下がってしまうものなので、みなさん雨具ちゃんと持って!健康で!元気でいてくださいね!!
さて今週もここまで読んでくださりありがとうございます。
では来週もよければここで。




