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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
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第40話

過ぎる時間が早いと感じるのは楽しいから?

いや、そうじゃなくてさ……きっと人生で探し物があるから。

時計を見る時間がないから、そう思うだけなんだよ。

再度、顔だけが見たくて。

再三、その声が聞きたくて。

思い出すための写真フォルダにはなにも残っておらず……。

いつしかその笑みを求めるうちに……。

あの笑美えみは付かず離れずまで遠のいていき。

私はついにその音色を失いつつあった。




時間は流れた。

いつか願っていた共に見たいと仰いだ青空は、もうすでに冬の色に包まれつつある。

ほんのりと感じていた寒さは凍えるように冷たく、肌を撫でる木枯らしは私の心をいてつくした。

祈るだけじゃ戻らない。望むだけじゃ帰らない。

でも、動いたから笑ってくれるような単純なものでもない。

きっと、私たちは会いたいと強く、大きく想うほど。

その翹望は叶うことがない。会わない方がよっぽとましだから……なにが? 世間的な人生送りが。

そんな一般論が私たちの中で通じるわけでもないのに、そんな短絡で冗長に思い描く平凡な人生のレールに片足を突っ込もうとする。

私たちはずっと出会ったときから特別で、だったら烏合の衆なんて……普通なんてレールから少しくらい踏み外せばよかったのよ。

それなのに、彼女はそうじゃなかった。

自分が異端だと異物だと思い込んでしまったから。だから私を普通に返そうとした。

そうじゃないと私に迷惑がかかるから……。

そんな異常事態ですら、私にとっては特別なんだよということも知らずに。

いや、いつもそうやって知らせなかった私が悪いんだ……。


それに気付いたのは、ふとしたことだった。

違うか……気付かせてくれた存在がいた。あいつらだ。

いつまで経っても名前は覚えてないし、覚える気もない。かといって復讐しようなんて憤りも通り越した。

ただ憎んで、恨んで、死んでほしいとばかり思っている有る存在だけの空気のようなものだとばかり。

でも、そいつらが教えてくれた。笑美えみが私を守ってくれていたんだと。

笑美えみが来なくなってから、あいつらの矛先が私に向くことは一切なかった。むしろ距離が空いたような気さえした。時々廊下とかですれ違っても避けられる、目を逸らされるくらい離れていると思っていた。

でも、それらは全て笑美えみがいなくなったから。なにも悪くない、なにも犯していない、ただ一人の女の子として人生を謳歌するために学校に来ていただけの対象がついに目の前に現れなくなったから。

彼女が言うには、原因はただ化粧をしていただけ。そのせいで授業を聞かない上に迷惑をかける非常識なやつらにちょっと注意をしたことで、プライドを逆撫でしたことになってしまった。

どちらが悪いとかそんな問題ではない。間違いがあるのだとすれば、それはお互いなんだろう。世間的に見れば。

世の中はゼロかイチ……その枠内の話をするならみんなイチだ。

でも、人を傷つけることは、その枠外だ。

枠組みなんてない、論外。世の中にはその人しかいなくて、良し悪しがある中で必死で幸せを探している。

その道はそれぞれ違う。そんなの当たり前。出会いの環境も数も響き方も全部違うのだから。

だからこそ、その信じた道を、誰しもが邪魔をしてはいけない。ましてやその道中で渡り橋を壊すようなことなんて……あってはいけない。

そんな傍若無人で暴君……人外の思考回路しか持ち合わせていないあいつらは。

笑美えみが学校に来ないことで約束をしていた。

もう、笑美えみはあいつらの前に姿を見せない。もう、気を悪くすることはないように、あいつらの意中を唆さないように、その可能性を無くすために不登校を貫く。

そうすれば、私を……私になにもしないでほしいと。

「そんなことも知らずにあいつはのうのうと学校来れるよな」

そんな会話を、ふと耳にしたことがあった。

いつもと変わらず屋上前の階段で座って昼を過ごしていたときのことだった。

すぐそこの踊り場で話していたのは……。


「………………だったらどうしたらいいのよ」

私はたとえ地獄だったとしてもあなたについていくつもりだったのに。

たとえこのまま無事に学校を卒業できたとて。

その先にあなたがいないのなら死んだもの同然だというのに。

それすら言わなきゃ分からなかった?

いや、言わなくても知っていた。彼女はそういう人。

そうやって全て抱え込んで飛んでいってしまうの。

あのとき……私は離れないと言ったのに。もう二度と離さないと信じてほしかったのに。

逃げるのはいつもあなたの方なのよ。


どうもおはようございます雨水雄です。

最近はようやく気温が落ち着いてきて……むしろ暑いくらいですね。早朝は早くから空が明るくなってきたので、ランニングとか散歩にはちょうどいいです。今の爽快感があると、やっぱ冬はもうちょい後回しでもいいなぁ……とか思っちゃいますね。

とか感慨深く浸ってるうちにもう一年の三分の一も切ってますし、あぁ……年取るなぁって痛感しますね。とりあえず雨水含めみなさん健康であれ……。

さて、今週もここまで読んでくださりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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