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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
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第39話

一度だけ、たった一度だけでも会えたら……お別れが言えるのに、なんて。

ただ別れを告げるだけで会うのなら、いっそのこと会わない方がいい。その方が早くすっきり忘れられるから。

不思議と、学校での居心地は想定していた最悪のものではなかった。

あいつらにとって、一番の矛先である笑美えみがもう姿を現さないことがなによりも目的だったから?

それとも私がこのまま笑美えみのことを先生に告げ口しないという自信があったり……? いや、違う。あいつらと先生はもうグルだ。なにを言ってもはぐらかされてしらばっくれて誤魔化される。たとえ他の先生をあたったとしても、まず担任の先生に話が渡るだろうし、結果的に学校側が動いてくれる可能性に賭けるのはあまりに愚策……。

だから、あいつらにとっては今が平穏なんだ。穏便な日常を取り戻したあいつらにとっては、もう弊害はないのよ。

私なんて……ただの笑美えみのくっつき虫でしかなかったのよ……。

最も、笑美えみがこの状況になることを誰よりも理解して身を引いたに違いない。自己犠牲の名の下に守ってくれたのだ。

私を。私を守ることで、自分を。

今はせめてそう想いたい……。少なくとも、私はあなたのなにかになっていたい。

あの日、被害を受けたあなたが一目散に私を求めてくれたことに、私は感謝しているのだから…………。

でも、だからこそ、この日常は違和感でしかない。

昼休みにも放課後にも、屋上に行けばいるはずのあなたが、もうどこにもいない。

その溝はあまりに深くて、長くて、埋めるには先に死んでしまうほど……。

私のこの持て余した時間を、欲情を、慈愛を……どうすれば。

どうすれば、あなたに。誰にもバレずに、私とあなただけの時間を手に入れることができるのかしら……?

そもそも、なぜもう会ってくれないのか。私を襲ったことへの贖罪のつもり? それなら今度は私の方からあなたの元へ覆い被さってあげるわよ。そんなこと、この恋慕に身を任せれば容易いこと。

それでも、私が彼女に連絡の一通を送っても、なに一つ返事が戻ってくることはなかった。




夏が終われば秋が来る。

清々しい緑葉の景色は、すっかりと燃え盛るような暖色に塗り替えられるんでしょう。

近年植物の成長が早まる傾向にあるようで、まだ9月に入ったばかりなのに、いちょうはその姿を垣間見せていた。

紅葉狩りの機会も、今じゃ10月後半ころから見頃だとよくネットニュースなどで見かけるようになった。

春には桜が咲き、夏には海があった。秋には紅葉が広がるというのに……。

それらが包む季節の中で、私たちは隣にいることはなかった。

共に過ごしていたはずなのに、その実感がまるでない。

体に、心に刻んだ記憶は、どれもこれも感触や温感や、その喜怒哀楽の表情ばかりで……背景は常に思い出せない。

取り囲う彩りが忙しなく変わりゆくのに、私たちはまるでついていけず、毎日同じように過ごしているはずなのに揺さぶられ続ける心の変動にいつも気を取られていた。

なにをして、どんな言葉を投げかければ喜んでくれるのか。傷つかずに済むのか。そんなことばかりが思考を支配して、この視界はなにも映し出してはくれなかった。

今、見上げる空はこんなにも綺麗で、こんなにも美しいというのに……。

「今のこの青空を、あなたも見ているのかしら……」

秋が終われば冬になる。

せめて、風物詩の雪くらいは、二人で見られるように……。

どうもおはようございます雨水雄です。

なんか最近、不遇の雨によく見舞われるのですが……梅雨はまだだと聞いてるんですが?

家を出る瞬間は止んでいて、まぁこれから晴れるのかなと思えば道中で降ってきたりと、なんの対処もできないまま被害に遭うのですが……どうやら日頃の行いが悪いのかなぁ……。

ということもありますので、みなさんも傘とか雨具ね。怪しい時はできるだけ持っといた方がいいです。あとで濡れて風邪なんて引いたら自分を惨めに感じてしまいますから……どうかお気を付けて。

さて、今週もここまで読んでくださりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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