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曇天の下の極彩色  作者: 雨水雄
33/73

第32話

最高点も、知ってしまえば最低限になることはたくさんある。

それくらい、世の中はそんなもんかと思えることで溢れていて。

それでいて、それが小さな幸せであり、毎日は幸せに包まれていることを、やがて忘れていくんだと思う。

朝、目が覚めると、目の前には彼女がまだ私の腕の中で眠っていた。

私は、 一呼吸ごとに彼女の体が上下する感覚を噛み締めながら、しばらくその貴重な寝顔を眺めていた。

笑美えみの頭ひとつ分の重さは私にとってさほど問題でもないのか、不思議と痺れることはなかった。それにしてはしっかりとその柔らかな髪質も、そこから漂う同じはずなのにやけに鼻腔に住み着く甘い香りも、心地よく耳を撫でる息遣いも腕一本を通じて実存を証明している。

それはさておき、私自身、起きたときにはすでに仰向けになっていたのだけれど……彼女を抱いていたはずの体制は呆気なく無意識に解かれていることに悄然としてしまう。せっかく訪れた絶好の……いや、これ以上の被害妄想は一片も内包しておきましょう。

せいぜい私の寝付きの良さと寝相の悪さを悔やみながら。

「んんっ……………」

肘から二の腕あたりの感触がもぞもぞと動き出した。

こそばゆい触感はもじもじと私の腕の一本筋を辿って上り詰めてくる……終いには脇と胸元辺りに顔を埋めてはまた沈黙に戻る。私の顔元にわたがしみたい纏わりつく髪はそれすら彷彿させるほどより甘美な匂いを放っていた。本当に同じジャンプーを使ってるわよね……?

それにしても、笑美えみはいつもこんなに寝起きが悪いのかしら。

窓にかかるカーテンは完全に締め切ってはおらず、少しばかりの隙間から漏れ出す日光は、ちょうど彼女の顔付近に差し掛かっている。見ているだけで眩しくて起きてしまいそうだと私の方が双眸が細まるくらい。

それでも彼女は未だに私の腕から離れはしない。

脱力された全ての重みがずっしりと伝わる。たぶん、もうすぐ私の方が限界を迎えそうだった。

起きたときにはなんともなかったが、どうも意識がある中でしばらくこうしているとさすがに痺れる前兆も薄々と感じてしまう……あぁ、あと少しだけ。あともう少しだけ……そんな私の意思とは反比例して、指先からじりじりと電気が走るような感覚が広がっていく……。

そしてついに、もうダメだと思った瞬間、体が反射的に腕を引っ込めていた。かなり強引に笑美えみの頭が揺れる。

「ん……んん……あ、おはよお嬢」

私の腕一本なんてそんな太いことはない。枕にも及ばないかもしれない。

それでも、その支えひとつ失った高さから頭を揺さぶられた彼女はようやくぽわぽわと意識を取り戻していく。

普段からは想像もつかないほどの無防備で頼りない、なんとも愛らしい表情をしている。

隣にいるって……なんて素敵なことなのかしら。

本当に趣味が悪いとは思っている。気味が悪いことも承知している。

それでも、こんな顔を目の前にして、未来予想図が浮かんでこない方が私にとってはどうかしているほどの破壊力がそこにはあった。

幸せって、こういうことでいいのよね……。

どうもおはようございます雨水雄です。

ぼちぼちと桜色がちらほら視界に差し込んできて、あぁ春が来るんだなとひしひし実感しております。

が、最近はどうやら雨模様が続いてましてそこまで気乗りしてこないなぁ……としくしく。

そんな雨水も今が見頃である春の風物詩である桜いっぱいの景色をそろそろのんびり見たいなと企んでます。頼むから明日は晴れてくれないかなーなんてか細い望みを天に捧げてはおこうと思う今この頃です。

また来週には感想なんか述べられたらいいなと心待ちにしてますね。

さて今週もここまで読んで下さりありがとうございます。

では来週もよければここで。

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