第21話
好きになれたものと。
好きにさせてくれたものは。
きっと今にとっては同じ説明しかできないんだけど、
その同じようで違うように燃え続ける情熱を、
あなたはどんな風に好きになってくれるのかな。
「お嬢はさ」
「まだその呼び名続けるの?」
「だって私だけじゃん?」
「そんなの、なんと呼ばれようとあなただけよ……」
「んじゃお嬢でも問題ないよね?」
「なんでそうなるのかしら……」
それは私がいつもと違った憧れのマスクを手にしてから、もうすでに数十分は過ぎ、二人してだらだらと駄弁り尽くしているころのこと。
「ねぇ、笑美」
今度は私から切り出す。
「ん、なぁに?」
「あなた、いつからこういった趣味を持ち始めたの?」
「趣味……? あ、これのこと?」
彼女は近くにあったリップを摘み上げ、ゆらりと揺らす。
「ええ。学校では禁止されているでしょ? 私も少なからず知識は取り入れているけれどここまでは許容を超えているわ」
「ん〜もうあんまり覚えていないんだけど、たぶんちゃんと始めたのは去年。高校に入ってからかな……バイトしてお金もあったしね。でも好きになったのはもっと前……中学のときには出会ってた……かな」
「そうなのね」
「…………ちゃんと好きになれてるのかな」
ぼそっと、本当に小さい声で。
どこか窮屈そうで、苦しそうで、辛々絞り出したかのようなその声を、私はきちんとは聞き届けられなかった。
「今、なにか言ったかしら?」
「え? あ、ううん! なんでもないよ!」
そうやって白けることも分かっていた。
気付かれたくない……だから笑美はこんなにも微細に声を鳴らしていたのよ。
それが警鐘だったかもしれないというのに……。
私は今こうして点と点が繋がったようでぐっと締め付けられる。
苦しめたい人に、今大事で仕方ない人が苦しめられている……! その思う壺の道筋にまんまと嵌っている。
その道楽に吐き気がして仕方がない。同じにんげんとは思えない。
どうして目の前で私の……私の一番の人がこんなにも蠧毒の被害を遭わなければいけないのよ。
「そう、じゃあもう少しだけ詳しく教えてくれないかしら?」
「え……?」
「笑美の好きなことについて……と、過去について」
私はどうしようもない無力さを振り切った。
そう、あえてよ……。
当初の目的である、幸せをかき集めることに専念する。
楽しい話を、私といる時間をいくつも重ねてみせる。
それは、今しかないと暗示してまで。
「うん……。そうだなぁ、どこから話そうかな」
「なら、私から質問していっていいかしら?」
「あ、それいいね! どぞどぞ!」
「笑美は中学のときに好きな人はいたのかしら?」
「うぇ!? なんでそこから!?」
「え、いや……お化粧するなんてそういうことかと思ったまでなのだけど……私、失礼だったかしら?」
「あ……う、ううん! だ、大丈夫だけど! だけど……ちょっとびっくりしちゃった。へへ」
「もし、言いづらいことだったならごめんなさい」
私にはまだ、人の地雷というものを上手く理解できていないだろうから……。
「ううん全然そんなことないよ! ただ、だだね……お嬢からそんなこと聞かれるなんて思ってなかったから……嬉しいなって」
「そ、そう……私らしくなかった?」
「いや! それくらい積極的なのもむしろありだね!」
「…………で、あなたの過去や色々聞いてもいいの?」
「あ、うんうん! じゃあ話そうかな。私の今に至るまで」
「あと、涙ちゃんが知ってる。涙ちゃんに隠してることも」
どうもおはようございます雨水雄です。
いやはや、年が明けてもう一週間経ちましたね!
えぇ……もう七日間も時間過ぎたん!? なにもしてないのに!?
もう本当初っ端から置いてけぼりの苦渋をなめております……。こうして雨水もいずれは初老を迎えてしまうのか……。
この一年、もしかしたらなにも成果は得られない時間になるかもしれない。去年だって特になにもなかったように今では思います。
でも、それでもそれは目に見えないだけで、気になること、始まること、続けること、その度に費やしてる自分の中の闘志や有志はきっと培われています。積み重なっています。次のステップに進むとき、なぜかすでにその鍵を握ってる自分がいるかもしれません。
だからとは言えません。断言はできません。
でも、一年の中に、一日や一週間はいくつもあります。何度も訪れます。今日だって今年一年の中の時間です。
その一日の中で、あなたがなにか一つ小さなことでも勇気が振り絞れるような素敵なことがあるように、雨水自身、自分を鼓舞しながら応援しております!!
さて、今週もここまで読んで下さりありがとうございます。
では来週もよければここで。




